二等水準点「No.10809」標石の選点・埋石

日本最高所 水準点標石の埋石の全て

日本最高所 二等水準点 No.10809 群馬県六合村 渋峠近傍

埋石 国土地理院 測地部
      機動観測課 直営



 設置場所 群馬県六合村 渋峠
  年 月 日 平成21年 8月25日
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選点は予めされていたようで、現地到着後、選点位置の刈払い作業に取り掛かった。 

近くに「地殻変動観測点」の金属標がある。


この間他の職員の方々は工具、材料等を車より現地に運び込んでいます。
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手前にある四個の石は保護石です。 刈払われた場所に標石を設置する穴を掘削を開始しました。

穴の大きさは、縦横 約900×900mm
深さは  約1300mm

ブルーシートを敷き残土の散乱を防ぎます。
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穴掘り作業と並行して、次々と工具材料を車から搬出します。

写真は、標石を下ろす所です。
三人掛かりで丁寧に、とりあえず道路の横に置きました。 刻字面は藁で保護してあります。 
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この二等水準点標石は、日本最高所に設置するものでモニュメントであるので通常の二等水準点標石と違い大きなサイズとなっています。
職員のお話では、一等三角点と同じとのことです。

* 諸元は下記の通り
・刻字面 180mm角 鏡面仕上げ
・地中部 210mm角 梨地仕上げ
・長さ   900mm  頭部に半球がある
・重量  約100kg
・材質  御影石(小豆島産)
・刻字  二等水準点 国地院 基本 No.10809 
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四個の保護石です。 最後に使用するまでここに置いてありました。 調達先不明。
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穴堀りが標石設置の中で一番の重労働です。 写真は予定の半分くらい堀り進んだ所です。 深さ1500mmを予定しているようです。 岩石交じりの山土ですが、見た限りでは意地悪な岩は出ず順調に堀り進んでいます。 出土した岩石を拾い出し一ヶ所にまとめてます。 
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時折、大岩が出ると石割器や鉄棒を使っての取り出しします。 
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時々穴の深さを測ってました。 あと少しのようです。 
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穴掘り完了です。 ご苦労さまでした。 写真では小さく見えますが土の量からしても汗だくの作業でした。 
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標石の保護石をセメント固定する為の仮枠(型枠)製作の様子です。 穴掘りと並行して作業していました。 3×6のベニア板からつくりました。 
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完成した仮枠です。 仮枠の隣に地殻変動観測点の金属標が見えます。
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基礎工事、穴の中に大きなゴロ石を平均に並べ続いて小砂利を均一に入れてから突き固めました。 絶えず深さを計測しながらの作業です。 
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車から砂、小砂利、セメントが次々に下ろされます。  
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セメントを捏ねる、トロ箱を用意して基礎部へのコンクリートを作る準備をしています。 
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コンクリートやモルタルを作るのには、水が必要です。
約40リットルくらいの水を用意していました。  
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穴の中に小砂利に続き、砂とセメントの粉がまかれ均一にし水を降りました。
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標石を穴に入れる準備をしています。 ロープを標石に巻き手掛りを付けている所です。
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紅一点女性職員の方が懸命に持ち上げようとしています。 しかし、この後男性にバトンタッチしました。
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慎重に丁寧に横移動します。
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約100キロの重量ですから慎重に進めます。
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テレビ信州の記者・カメラマンも埋石の取材にきました。
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穴の中に納まると、刻字面を調整しました。 『二等水準点』の刻字面を国道側に向けました。

正面 二等水準点
右面 基本
左面 国地院
裏面 No.10809
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標石が入りました。 コンクリートを流し込む前に標石の位置や仮枠がスムーズに入るかなどの穴との位置を正確測り、固定の準備をします。

次のコンクリート流し込みの準備もしています。
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標石と仮枠の位置を定めるために仮枠を入れます。 標石をコンクリートで固定した後に上面保護石の仮枠を設置する時にスムースに仮枠が入るように仮枠の位置決めです。
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標石の位置を中心に定めるため仮枠との間隔を調べています。
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保護石設置後のコンクリート面のを定めるため仮枠の高さを定めます。
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仮枠の位置がほぼ決まりました。また標石の位置も基礎の中心に高さも計測し決まりました。
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標石の位置が定まりいよいよ流し込みです。 仮枠は一旦外してコンクリートで固定する最後の調整し準備完了です。
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標石の周囲にコンクリートを流し込みました。 標石が動かぬように慎重に進めています。
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次々にコンクリートを流し込みます。
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予定のコンクリートが入りました。 次は土による埋め戻しです。

土を入れる前に、コンクリートと土を分離するための養生をしています。 シートとムシロで養生しました。
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土を入れ始めました。
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土を踏み固めます、次に土を入れますその繰り返しです。
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更に土を入れ、深さを測ります。 
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予定の深さまで土を入れ踏み固めました。 

次に保護石を設置する準備です。 保護石の周りをコンクリートで固めますのでその仮枠を設置します。
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再度、寸法を測って仮枠を位置を定めました。
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仮枠の周囲に土を入れしっかり固定しました。
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保護石を運んできました。
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一個づつ置きました。 
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四個の保護石が置かれました。
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保護石の周囲にゴロ石を並べその後に、砂利を入れました。
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均一に均しました。
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標石の周りに小型の仮枠を入れ標石と仮枠間に砂をいれました。 砂によって標石
と仮枠の間隔が均等になり固定しました。
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セメントを流仕込む前の状態です。 
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トロ箱でセメントを捏ね順次、仮枠に流し込みます。
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流し込みが完了したところで、表面をコテで均します。 水が貯まらないように中央部をやや高めにしていました。
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残土を全員で片付けします。
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道具類を一時保管しました。 

朝作業を開始以来途中の休憩・食事もせず作業を完了しました。 ご苦労さまです。
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標石の周囲の土に砂を撒き、周囲の土を安定させます。
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完了です。 二等水準点標石の埋標(埋石)が完成しました。
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標石と保護石とのバランスもよく、モニュメントとしても立派に仕上がりました。
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渋峠 『日本最高所 二等水準点 No.10809』 は、芳ヶ平の笹原をバックに設置されました。 

ロケーションも素晴らしい所です、ぜひ一度見学してください。

標石と保護石の位置が面か角か、どちらかは、別に無いようです。 見た目でしょうか。

埋石の始終を快く見学させていただき感謝です。 国地院の皆さんありがとうございました。

山部薮人