大鳥屋山(おおとやさん)693.1m NO.039
「黒岩」一等三角点(地図測量の基準点)がある。 

先のシュリエットが大鳥屋山

【山行日】 2010年 2月 7日(日) 【天 候】  晴
【山 域】 安蘇 【所在地】 栃木県佐野市
【地 図】 国土地理院 1/2.5万図
       地図(栃木・仙波)
【同行者】 なな
【関連ページ】 一等三角点 晃石山

【ルート・コースタイム】
越沢バス停 ・白岩柿平林道( 20分) = 林道の峠 −( 50分) − 大鳥屋山 − ( 30分) − 林道の峠・車
(林道は雪道だったのでゆっくり走りました。 適当に余裕を持って楽しみましょう。)


山頂の山名板、ほかに数枚の板あり
【今回は白岩柿平林道へ越沢より入り峠から歩く】
 前回は田沼の白岩町小日向から林道、作業道から尾根に取り付き大鳥屋山まで歩いた。 一等三角点峰であることは知っていたがそれ程の思いもなかった。 久しぶりに時間があったので急遽歩く事にした。 午前中に出流の2山(油羽根、出流)を確認した後である。 今回は秋山川に沿って車を走らせ柿平町越沢のバス停に差し掛かると道標を見ると、「左 野上村ニ至ル道」「右 足尾ニ至ル道」と刻字されていた。 現在のこの道は旗川側に抜けていた昔の峠道だったようだ。 大鳥屋山への道案内を以前調べたら白岩の採石場脇の林道を進むとあった。 この道はそこへ繋がっているのだろう、行って見ようと林道に車を走らせた。  ちょっと進むと工事中の表示あり、雪道と急坂で帰って来られるか不安もあったが4WDだからゆっくり走れば何とかなるだろうと走った。 

 作業小屋の手前にゲートがあったが幸い開いていた、峠に到着し小広い所に駐車した。 先に工事用重機が見えたのでこの先で作業をしているようであった。 峠は雪で足跡が尾根の斜面を上方に付いているのを見る。 大鳥屋山への取り付きはここであると思った、地図を見るとここから尾根をと考えていたのでドンピシャである。

    
白岩柿平林道口越沢の道標

峠からの道は尾根筋を巻いていた

陽射しの尾根には雪は無い

頂上に近づくと再び雪になる

 最初の尾根を巻くようにゆっくりと高度を上げながら付けられている。 雪には山靴のソールがくっきりと付いていた、上り下りが付いていたので下山後と思われる。 途中の靴跡は消えていたので何日か前のものだろう。 陽が当る場所は雪が無かった、この時期の快適な里山歩きが出来た。 植林地の暗い尾根になると雪が現れ、雪も深くなりだした。 今日は愛犬ななが同行している、先行し走り回って雪面に足跡を残して行く、ただそれについて行くだけだ。 それでも尾根の分岐では立ち止まってこちらの顔を見ている、行く方に手を指すとそちらに走り出す。 物音がすれば耳立てて凝視する、時々そのような仕草をするので何かを感じでいるのだろうか。

 雑木越に大鳥屋山のシュリエットが現れ、最後の斜面を登りきるとにぎやかになった山頂に到着した。 以前はただの植林地で山頂なのかはっきり意識出来なかったように思う。 標石の回りには沢山の雪面に踏跡を見る。 栃木百名山になったので本日大勢の人が来たのだろう。 それらの方は白岩町側から来たのが雪に残る靴跡でわかる。 標石の先に石碑や祠があり、先にもさらに一基の石碑がある。 雪の性ではでもないように思うが広く明るい頂上に感じられた。 寒い昨日に続き今日も風が強い。

黒岩標石、側正面「一等三角点」(等:草冠になっている。)

黒岩標石上面の「+」 

 明治三十二年観測の二等三角点網図を見ると、この三角点から周囲の三角点を観測した。 埋標は明治二十七年(1894)高井鷹三である。 補点ではあるが当時はここに測標が建てられたのだろう、この周辺ではこの大鳥屋山が最高峰である。 この大鳥屋山に多くの測量人が登り来たと思うと考え深いものである。 近くの一等三角点は「晃石山」であり、一等三角点は最初約50キロ間隔で設置された。 大鳥屋山は一等三角点補点で本点の間に設置その後設置されたものである。 それでも今年で116年が経過した、風雪に耐え今も測量の永久標識としてその役割を担っている。 雪に埋もれた標石の雪を払った、「+」が白く一瞬輝いた風に木が揺れて陽射しが差し込んだものだ。

 「標石から祠まで14.4m」である、これは「点の記」(三角点の戸籍謄本のようなもの)に記されている。 選点は明治二十六年真田義啓、最終観測は平成六年である。 


三角点標石近くには石碑あり

雪には大勢の足跡


明治三十四年度測図 三等三角網図


 この山が栃木百名山に選ばれた理由はどのようなものだろうか、一等三角点標石があるからではあるまいか。 とりわけ周辺の山と比べての違いは無いように思われるのだか何度この山に来ても分からない。 栃木百名山ガイドを見れば一等三角点が選定理由のようだった、それならばこの山の三角点よりもっと古い日本の測量史にも重要な一等三角点が栃木にある。 「晃石山」一等三角点本点である。 選点は明治十五年、内務省地理課である。 その時に「原三角測點」標石設置された。 この大鳥屋山はそれらの本点を補完するための一等三角点補点なのである。 それでもこの時期の里山歩きとしての大鳥屋山は歩き易い正月で太った体に刺激を与えるのには良い山であろう。 百名山をこの地域に無理に選定するなら隣の岳ノ山を選んでおいたほうが無難ではなかったのであろうか。 どの山も皆同じと思うが分からない、分からない。