黒岩山 2162.8m NO.196・鬼怒沼山 2140.8m NO.195
2141m峰 2141m
NO.195の1・物見山  2113m  NO.194
【山行日】 2003年 8月 23.24日(土・日)
【山 域】 奥鬼怒
【地 図】 1/25000図 川俣温泉、三平峠 地図(加仁湯) 地図(鬼怒沼山)
【天 候】 晴、そよ風              地図(物見山) 地図(黒岩山)
【所在地】 栃木県栗山村 群馬県片品村 福島県桧枝岐村
【同行者】 単独、なな(犬)
山行タイム
(1日目)

自宅発(7:35)=鹿沼IC=日光IC=霧降有料930.=大笹牧場(9:10)=女夫渕(10:00-25)−八丁の湯(12:00)−日光沢温泉(12:30)−オロオソロシの滝・観瀑台(14:50)−奥鬼怒沼(15::55)−巡視小屋:泊(16:30)・・・・散策

(2日目)
巡視小屋:発(6:40)−物見山(7:02-16)−巡視小屋(7:33-40)−2141峰下巻道(7:55)−2141峰山頂(8:05-10)−2141峰巻道(8:15)−鬼怒沼山巻道(8: 25)−鬼怒沼山(8:40-9:00)−鬼怒沼山巻道(9:05)−2069峰下(9:35)−2043峰先・小松湿原入口の水場(10:15)−黒岩清水(10:40)−黒岩分岐(11:00)−黒岩山(11:35-12:05)−黒岩分岐(12:20)−黒岩清水(12:35)−2043峰前・小松湿原入口の水場(13:00)−2055峰下(13:20)−2069峰下(13:50)−鬼怒沼山巻道(14:00)−2141峰下巻道(14:20)−巡視小屋(14:46)−奥鬼怒沼出口(15:00)−アスナロ・展望台(15:35)−オロオソロシの滝・観瀑台(15:55)−日光沢温泉(16:30)−八丁の湯(1
6:50)−女夫渕(17:45-18:05)=大笹牧場=霧降有料=日光IC=宇都宮IC=スーパー銭湯(宇都宮)=(20:00)=自宅:着(21:00)

【はるかなる山・黒岩山への準備〜女夫渕】
 黒岩山のことを考えたのは30年も前高校時代の友人と尾瀬にこのコースを歩こうと計画した事があった。 その時は根名草山から日光湯元までのコースになって、黒岩山へは行けなかった。 先日群馬のjq1hxf 大塚さんからのメールで黒岩山の事がかいてあったので、一泊出来るので大佐飛山か迷ったが黒岩山に決めました。
今回は違う、明確な目標があるそれも奥鬼怒沼周辺の2山を合わせての山行である。 高低差はさほど無いが距離があり、相当の時間がひつようである。 「なな」との山での宿泊もあり泊まる分で荷物も多くなる。 一口に「なな」との山行と言っても、結構大変である。 食料の「なな」の分はそれ程でもないが、水は結構な量を飲むだから夏の水を2人分を運ぶ事になる。 絶対に必要な物以外は持っていかない、それでも山名板3枚を入れると23Kgになる。

 朝久しぶりにゆっくり起きて家をでる、高速に乗り日光に向う。 光徳から女夫渕に行くか、今市から大笹牧場を通るか迷ったが久しぶりにドライブしようと霧降有料道路を走る。 途中の駐車場で高原山から遠く那須の山々とこれから向う県境の山々を見る。 カメラで周りの山々を撮影のドライブである、今日中に 奥鬼怒沼の巡視小屋
に着けばと気が楽である。 さてさてなんとかなるかな・・・・・・。

目標の黒岩山ははるかなる 沼に泊まりて尾根を越えいく
2人分重荷を背負い先急ぐ 鬼怒のつり橋そよぐ沢風
 

女夫渕温泉

日光沢温泉
【女夫渕〜八丁の湯〜奥鬼怒沼】 1日目
 20Kの荷を背負って女夫渕の駐車場を歩き出した。 土曜日は人が多い軽いハイキングの人、絹姫つり橋から戻る家族もいる。 ゆっくり歩いているつもりだが何故か追い越してしまう、それ「なな」が早く歩き過ぎるのである。 「なな」はラブ犬なので吠えもしなければ他の人はあまり気に掛けない性格である。 「なな」との距離は3m〜8mでその時により変える前後も交代する。 ロープで一日中結ばれている、それも気にしていないようである。 鬼怒川の沢音を左に聞きながらまわりをキョロキョロしながら楽しい歩きである。 途中落石があり大石が大木を倒して道を塞いでいた。

 2時間かかって
八丁の湯に到着年取ったゴールデン犬が動こうともせずに迎えてくれた。 流れている水を一杯飲んで直ぐに上流にむかった。 道が整備された分だけ人が増え以前の秘境の温泉場は完全に消えた。 昔は八丁の湯の露天風呂のすぐ横を道が通り、湯かげんを聞いたり風呂のそばの滝を写真に撮ったのが懐かしくいつきても残念に思う。 川に沿って道を歩くとすぐに加仁湯のコンクリートの旅館に着く。 フロントの横を通りしばらく歩くと大好きな日光沢温泉の木造の建物の前に着く。 ここで小休止、何処から来るのか知らないが大量の水があふれるにコンクリートの大きな枡に付いた蛇口を開いてカップで水を飲む。 

八丁の滝のしぶきと湯の香 昔の舘思い出す


 日光沢温泉から日光湯元へ根名草山、温泉岳経由の道がある。 水飲み場のすぐの所だ、その分岐の側に温泉神社がある。 ここから少し進むと鬼怒川を渡る橋があり、渡ると少し樹林の中を歩く。 しばらくすると新しいつり橋がありここを渡ると群馬の丸沼、ヒナタソロシの滝へ向うここから結構登るし遠い道になる。 奥鬼怒沼への途中のポイントの最初の一つオロオソロシの滝観暴台に着く、この辺はサワグルミ、ウラジロモミ、コメツガ、アスナロの木が多くなる。 次のお休みポイントがアスナロの解説板がある展望台でここでまた小休止をする。 この辺から急登が多くなりここを越えれば樹林なだらかな歩きになる。 何人ものハイカーに会う下るひとばかりである。 10人くらいのパーティーが来て先に登ってくださいと道を譲られ最後の人に『どちらのグループの方ですか』と聞きながら胸のネームプレートを見ると、それはなんと国土交通省の写真入りの物でした。 何か水戸黄門の印籠を見た思いがしました。

 つづいて洒落た夫婦連れのハイカーさん2組、すれ違いに顔をまじかに見てあっ・・・岸本さん、お世話になっているSACの岸本さんだ・・・・、山歩きをはじめられたのだなーと思いました。 高度が上がるとシラベ、ナナカマドに周りの木の種類が変わり傾斜も緩くなり、観暴台から約1時間で奥鬼怒沼に到着しました、もうだれもいません静かな草原でした。 雨が多かったことしは沼は各所に有り草の根元は水につかった所がほとんどでした。 木道の改修の真新しい木材が各所に積み上げられていました。 ヘリで降ろしたそのままのネットにくるまれたものでした。 真直ぐに木道を歩き巡視小屋に入りまし
た。

有り難き無人の小屋に連れきたる 今宵の夜はぎやかになり

鬼怒沼

2141峰
【奥鬼怒沼・巡視小屋にて】
 巡視小屋はブロックと木材で作られた立派なたてもので、鉄の扉で入り口は一ヶ所窓はなく空気の出入りのガラリが三ヶ所で扉を閉めると中は真っ暗です。 中はきれいで壁に沿って腰掛が付けられています。 中央に囲炉裏があり天井はススで真っ黒です、しかし中は快適です。 コンクリートの床に薄い銀マット一枚敷き寝場所の用意をして、早速日が暮れる前に食事をしました。 夕日を期待してカメラを持って湿原の木道を歩き回り沢山カメラに収めました。 「なな」が突然尾瀬方面にポイントして凝視しました。 その方向を見ると登山者が一人木道をこちらに向ってきます、明らかに何かを探している様子です。 そこで距離がありますが手が小屋の方向を指しました。 木道のY字路を小屋に向って歩いて行きました。 「なな」小屋に向って歩いていくとY字路を直進して小屋がないので探してもどってきたとか。 地図では鬼怒沼山への道を進みその右にあるように読み取れるのでどうしても物見山方面に向ってしまいます。 

 その方は千葉の長尾さんでお一人で日光沢温泉に前泊して今日はここに泊まり、明日鬼怒沼山ピストン後物見山新道で大清水にて帰宅されるとの事でした。 失礼ながら年齢を聞くと70才との事、しかしもっと若く見えました。 山部がその歳になってひとりで小屋に泊まって山を歩けるかと思うとはなはだ疑問である。 長尾さんが食事をした後また山々をながめ小屋に戻るとすっかり暗くなり明日を思い寝る事にしました。 夜中短パン半袖Tシャツではいくらなんでも寒くその上にゴアの雨具を着て朝を迎えました。


東電小屋

白根山
物見山〜2141峰〜鬼怒沼山】 2日目
 5時に起きさっそく食事、インスタントラーメン(日清チキン)1個+コーヒー、「なな」はドックフード+ホテイのやきとり・たれでおいしそう。 それからカメラで刻々変わる朝焼けの白根、根名草、燧ヶ岳の撮影である。 長尾さんもカメラを持って池の方に歩いて行かれた。 だんだん黒岩山への期待が膨らんでいく。 先に回りの山を登っておかないと黒岩山にいってからでは、疲れて予定が消化出来ないだろうから先に登っておこうとさっそく出発の準備をする。 まず物見山へ水と山名板を背負って頂上を踏んでくる。 所要時間は往復で1時間でした。 巡視小屋に戻ると長尾さんの姿は無くすでに鬼怒沼山に向ったようだ。 山部もこれから鬼怒沼山、黒岩山への準備をして後を追うように小屋の裏から樹林の中を進む。 物見山からの笹を刈り払われた道を急ぐ。

この道を下れば近し片品の 物見の山は鬼怒の聳える

 鬼怒沼山は三角点が置かれているのは奥の山だ、最高峰は手前の2141峰である。 なぜか今日はあわてない、2141峰を巻くように道は進む巻いて下りに掛かるところから2141峰にも寄りたくなり頂上を踏んでくる。 道の近くは笹があるがそこを抜ければ分けなく頂上を踏めた、木々に囲まれ見通しは無い往復の途中赤布のマークを付けた。 沼から見ると以前は2141峰が鬼怒沼山だと思っていたので、沼からカメラで鬼怒沼山の写真を写した。 道に戻り鬼怒沼山に向うすぐに山頂への案内板のある巻道の所に着た。

 ここからさっそく踏み跡を登る、途中で下って来た長尾さんに会ったこれからのお互い無事に山を下りられる事を祈りつつ分かれた。 15分で頂上に立つここからは白根山のみが見られ、他の山は木々の間、男体山の頭
が少し見える。 


物見山 (撮影:小屋横)

山名板
【鬼怒沼山〜小松湿原〜黒岩山巻道分岐】
 
いよいよ本丸黒岩山に向うこの山は難しいのは誰もいない寂しさと、長い往復の距離と時間との戦いです。 鬼怒沼山から少しずつ高度を下げながら歩くと峰と峰をつなぐ尾根ここはコザ沢の源頭部で次の山の下をスーパー林道が通っている。 ここから2069,2055峰を巻いたり上り下りを繰り返すきつい所はない。 2055から2043峰へ向う下りの道左側に湧き水がある、下りてみると量もあるありがたい「なな」も乾いたノドをうるおした。 道に戻ると小松湿原のブリキの小さなプレートがおちていたので取り付けにかかる。 細い針金で付いたいたのであろう持参したIV線(銅線)で取り付けた。 それは水場の表示ではなく[小松湿原]であったので、白マジックで (水→) の書き込みをした。 この水場は鬼怒沼山と黒岩山の中間地点で涸れそうそうでないのでとても重要なものだ。 ここから小松湿原に行けるらしい今日の目的は黒岩なので道をたどり2043峰との鞍部に下って歩く。 2043峰を巻いて下り2021峰の手前の黒岩清水が直ぐにあり水場が近くに2つも有りこのルートの水は安心である。 2021ポイントを過ぎるといよいよ黒岩山本体に登るぞと気合を入れて以前と変わらない道を歩いていると、突然道端の石に[尾瀬5時間・奥鬼怒湿原3時間10分]の案内板が立てかけてあった。 そこの周りの木々にテープが付けてあり、その内の一つに[黒岩・薮漕ぎ40分]書き込みがあるものがあります。 

はるかなる山我が手の中に 黒岩山の薮に分け入る

【分岐〜黒岩山〜分岐】
 さっそく尾瀬へのルートから外れて黒岩山への踏み跡に分け入る。 そう言うと薮と思うだろうがしばらくは倒木を跨いだり、潜ったりだが薮ではない。 歩くが一向に登りにならない巻いて歩くだけです。 しかし段々木々を交わすのが多くなり薮を呈してきた。 巻くように黒岩山の右に回りこみ東側に出て、頂上の南の肩と言うか尾根と言うかそのピークに向って今度は真直ぐに登る。

 それは薮と直登を組み合わせたものである、そのまま強引に上がると突然尾根に出る。 ここからは薄い踏み跡とわずかなマークを追う尾根の岩場に大木があり巻けない状況に前行者の跡がある枝渡りしかない。 山部は越えたが「なな」はここで5分迷っていた結局、山部がサポートした初めて2人を繋いでいたロープをはずした。 そこを過ぎすぐに大岩登り、そこを通過すると足元の見えない潅木の尾根歩きである。 こう書くと大変と思いがちですがこれが楽しい眼前にピークは見えないが直ぐそこだろう。 周りは潅木だけで視界は遮るものはない。 足元が見えない胸までの木々に漬かりながらいくとぱっと開けた岩の点在する頂上に着いた。


県境の合わせた峰に今達す 黒岩山の威風堂々

黒岩山 (撮影:2043峰)

三角点

 黒岩山山頂は潅木に囲まれた10畳間のような広さの場所で、大きな岩や木はなく冬季の風雪に厳しさをうかがわせる。 中央に三角点の標石がどーんと埋まりあとは自然の岩が箱庭のように、配置され回りに潅木が巡らされている。 しかしその潅木に悩まされ時間は短かったが自分ひとりで無いので頂上に立った気分は上々である。 360゜遮るものはない、栃木、群馬、福島の3県の分かれ目に近く尾瀬、会津、栗山、鬼怒川、日光の山々が遮るものもない。 とりわけ尾瀬の燧ヶ岳と奥白根山が目を引く、ここから北へ栃木県境の稜線が台倉高山へと延びている。 東側の下方には黒沼田代が芝生のように見える。 南へ今来た鬼怒沼山への尾根が同じようなピークで延びている。

 記録写真を15枚くらい写し、山名板を取りつけ次の来訪者の感激に花を添えたい。 「なな」は疲れた様子で木下で横になり目をとじて休憩している。 本当によくここまで「なな」も一緒について来た物だ、今まで栃木の山の頂上を踏んだ数では「なな」を越える犬はいないと思う。 ひとしきり休憩して下山する、「なな」はこれで帰れるなと直感して尻尾をふっている。 元来た非常に薄い踏み跡の潅木を分けて進むと「なな」が付いて来ない、ミスコースすぐに戻りマークを探すルートを確認して下る。 急登を滑るように駆け下る、そこからまた倒木を跨いだりくぐったりで巻道の分岐に着いた。 ここでリュックを一度降ろし、水を飲み体制を整えて これから歩くぞ と大声を出して出発する。 時は12時20分沼まで
[3時間10分]のプレートから計算すると沼到着PM3時半であるいそがなくては・・・・。

【分岐〜鬼怒沼山巻道分岐〜巡視小屋】
黒岩山分岐から黒岩清水また直ぐに小松湿原入り口水場、たっぷり飲んで元来た道を歩いて歩いてただ前に進む。 何度か解らないが登り下り頂上部を巻きながら歩く、さすがに鬼怒沼山分岐に着いた時はやれやれと内心ほっとした。 ここから巡視小屋まではなんなく着いた。

【巡視小屋・奥鬼怒沼〜日光沢温泉・かに湯・八丁の湯・女夫渕】
巡視小屋で一服して沼に出たがもうだれも居なかった、なにか寂しさを感じた。 誰かにどこから来ましたとでも聞いてほしい心境であったる。 それはそれとして沼から休まず懸命に歩き、日光沢温泉の建物の下をくぐり水を飲んだこの時の充実感は大きな物でした。 カニ、八丁を急ぎ足で通り過ぎ、女夫渕に着いたのは5時30分を回りこの時間はもう誰も人は無かった。

【今回の山行】
 2日目の歩行時間は11時間05分であった。 黒岩山へは尾瀬の沼山峠からが日帰り可能だ、栃木273山の倉持氏も沼山峠からだった。 山部は黒岩山と鬼怒沼山と物見山があったので一泊とした。 この夏は天気は雨ばかり週末ごとにうっとうしい、しかしながら山は呼んでいる行か
ずばなるまい。

水場(湿原入口)

黒岩清水

黒岩山への分岐

黒岩山へ突入

栗山の山々

燧ヶ岳(山頂から)

白根山(山頂から)

黒沼田代