葛老山(かつろうざん) 1123.7m NO.226 |
今年初めての山歩き。五十里湖(湯の郷トンネル)から雪の斜面を歩く。 |
山部薮人 04.01.05記 | |
【山行日】 2004年 1月 4日(日) | |
【地 図】 1/25000図 五十里湖、川治 地図 | |
【所在地】 藤原町、栗山村 | |
【天 候】 晴 風花舞う 温度低い | |
【同行者】 単独 | 登頂リスト 2004年へ |
【コースタイム】 自宅発(6:05)==鹿沼IC(6:33)==今市IC(6:50)==日塩道路入口(7:30)==川治温泉街(7:35)==葛老トンネル入口(7:38)==湯の郷トンネル・巡視路入口・発(7:45-8:05)−−送電鉄塔11号(8:24-30)−−植林地上部(9:51)−−TVアンテナ(10:10)−−葛老山山頂(10:20-42)−−TVアンテナ(10:54)−−植林地上部(11:05)−−送電鉄塔8号(11:20)−−送電鉄塔9号(11:28)−−湯の郷トンネル・巡視路入口・着もどる(11:45-12:05)==鬼怒川・日光さる軍団(12:50)==今市IC(13:08)==宇都宮IC(13:20)==鹿沼IC(13:25)==壬生・今井交差点(13:43)==自宅着(13:55) 今日の歩行時間 約3時間40分 |
|
![]() 湯の郷トンネル入り口で |
![]() 巡視路の案内ポール |
![]() 山頂に山名板を付けられた |
![]() 湯の郷トンネル・左手に巡視路 |
【今年の初めての山歩き・取り付き点】 |
|
今年の初歩きは4日になった。年末は29日まで仕事で、正月はゆっくりと静かな日だった。3日の初詣に大平山に行った。3日にどこに行こうか計画を練った。目的はどこでも良いから歩きたい、行ってから歩けないではしょうがないので候補をいくつか持っての出発になった。本命は葛老山、馬老山で雪で敗退なら南平山、そこもダメなら鬼怒川の丸山で全て用意をして出発する。途中の道も雪はなく川治まで約1時間半である、東北高速道、日光宇都宮道路、鬼怒川有料道路、竜王有料道路とこれ以上早く来られない時間で来た。途中でコンビニと今市で日の出の写真も撮影した。 |
|
川治温泉の中の何ヶ所のカーブを曲がり国道121号会津西街道をひた走る。五十里湖の海尻橋を直進して湯西川方面に向う。最初に本命の葛老山に向う、取り付き点を探しながら五十里湖岸を走る、左の崖を見ながらいくつかの沢にかかる橋を渡る。「湯の郷トンネル」に入ろうとする所で、入り口の左側に猿の家族が居てそばに巡視路のポールが見えた。直ぐに止まって確認する、見上げると尾根上に送電線の鉄塔が見える。(葛老山から湯西川温泉駅への尾根)そこの鉄塔からこの沢の上、そして川治方面へ何ヶ所かの鉄塔が見える。巡視路を使い尾根上の鉄塔まで行けば1/3は高度を稼げる。早速準備に掛かる車を道脇に止めた。車にはスノーシュー、アイゼン、輪カンジキ全ての道具は持参してある。状況からピッケルと輪カンジキを持っての歩きとなる。巡視路の黄色ポールは2本で、湯西川線11と8,9である。途中からの2つに分岐となるようだ。 |
|
*ご注意* このルートはあまりお薦めできない、 @ 11号鉄塔まで行くと薮の急登と雪の岩の急登りがある。 A 8,9号鉄塔ルートへはナメ沢を上がらなくてはならない(山部は下りに使ったが、ロープまで使って下った、登り下りともに手掛りがない。又この巡視路はいままでに利用した巡視路とは違う、終始手すりのような鋼ワイヤーが取り付けてある。無いと歩けないであろう、鉄塔の点検に使用するのでは過酷である。)、一般なら湯西川温泉駅からが無難です。尾根の鉄塔に下りの道があるがその巡視路が沢を通って湯の郷トンネルの所に出るのである。 |
|
![]() 鉄塔下の東電の旧稲妻マーク |
![]() ここはまだ余裕があった |
【葛老山への往路】 |
|
準備をしている間そばの木の上に子連れの猿がのんびりと陽を浴びている。こちらをあまり警戒していないようである。巡視路のポールから歩き始める。ジグザグに少し上がると、鋼のワイヤーでしっかりとした手すりのようなガイドがある。廃物利用で付けたのかと思ったが、このくらいしっかりとしないと危ないルートだとすぐに解かった。最初の涸沢から隣の沢にでる。(沢の名は不明だが橋の名は、六左見送橋の沢である)そこから山部は沢を越えて、反対側のステップのある雪の巡視路をのぼる急でジグザグに上がる。雪があるのでけっこう辛い。下山時下って来て解かったが、そのナメ沢を上がると巡視路がある、8,9号だ(尾根上の鉄塔)まだこちらが安全度は高い。 急登を上がると直ぐに11号鉄塔に着く、一汗かいたので上着を抜いて長袖の下着一枚でザックを背負った。ここまでは巡視路があるが、ここからは笹に雪が50cm積もった薮になる。笹に雪が上に乗り歩きにくい。うまく雪が笹を倒してその上に雪が乗っていれば良いが、中々そんなに甘くはないもので雪がない方が良いのに決まっている。下の道を車で走っていて見上げるとかなりの傾斜であり、巡視路のポールを見なければこんなルートを選ばなかったろう。こんな所ではピッケルが前進を大いに助ける、体の前で垂直に地面に打ち込みそれを支えにして上方に片足づつ一歩上がる。 笹の急傾斜を終えると次は雪の付いた岩場で垂直に近い所は巻いて行くが巻けない支尾根上に近づくと岩を避けられない。雪と岩だけならここのルートは無理で敗退の所であるが、岩の所々に木があり支点が確保できるので雪岩を登る。一度だけヒャットした、凍っていた木をつかみ体を引き上げた途端氷が剥がれ支点を失った。生木以外はバランスと考えているので事無きを得た。岩場を上がるとヤセ尾根で反対側からへも切れ落ちていた。そこから雪のヤセ尾根を歩くと笹が雪に埋まった所に出る。ここまで来ると雪が多くカンジキを付けようとも思ったが、上方を見ると笹の薮が見えるので脚さばきを考えるとこのままでのラッセルである。笹の薮の先には尾根の北斜面に檜の植林地があり、その境目の笹を分けて檜の植林地の上方へ進んだ。「後を振り返って下りには使えないな」と独り言を言った。 |
|
![]() |
![]() |
植林地の上部に来ると、雪の広い尾根に足跡が植林地の北の中から上がってきてい。ここが野岩鉄道の湯西川温泉駅からの道であろう。足跡は広い尾根を植林地からやや右に向きを変えて上がっている。跡から判断すると2,3日経っているようだどなたか正月に入って歩いているようだこれでルートは間違えない。足跡に靴を入れて一歩一歩進む。この尾根に来ると冷たい風が吹き付ける、さっき脱いだ上着を着て前を空けて温度を調節して出発する。暑く無いので水は呑まないで済む。その先の高みが頂上かと元気が出て歩くと、その先にまだ尾根が続くようだ。頂上かと思った尾根は南側からの主尾根の原で五十里湖の西側の葛老山から川治に至る山脈のような尾根だった。 そこの雪原にはTVアンテナがあり隣に避雷針もある。アンテナケーブルは地中線のようで雪ノ下に入っているので、どこに行っているのか不明であるが山部の職業感からすると葛老山の北側の湖の縁の打越、西川地区の山地のTV共同設備が考えられるので北斜面をケーブルは下っているであろうか。そこからも広い尾根が高みに向けて北へ上がっている。気持ちが良い青空、木の葉の落ちた見通しの良い林、笹薮が雪の下になった尾根、足跡をたどってどんどん歩ける。足跡がやや解けて固まりむぐらず快適だ、さっきまでの直登ルートの上部の笹原の雪にはカンジキも考える程だったのでここの歩き安さは有り難い。広い尾根がやや西に方向が変わり歩くと尾根に大きな木が見えてくるとその先に木々の枝の切れた場所が見えた。頂上に近づくと匂いがする訳では無いが感じ取れる。 雪原に短い赤白の折れたポールが立っているのが見える。頂上に到着だ足跡を見るとその先の木の所に行って戻っている。明らかに山名板を確認にいったようだ。3×5センチのベニヤ板にマジックで葛老山の字が微かに見える程度の一枚があった(RKさん)。足跡は少なく三角点を探した様子も無い、動きまわらず直ぐに戻ったのであろうか数少ない足跡だ。ピッケルでポールの周りを探ると直ぐに標石が確認出来た、掘って見ると雪面から30センチ位の所に標石の上面が出て来た。そこから地面まで20センチ位であった。吹く風の温度が低いので写真を撮って早々に下山する。静かな広い頂上で気分の良い所だ、夏は一面の笹原であろう。 |
|
![]() 掘り出した、三角点標石 |
![]() 葛老山山頂のポール |
【葛老山からの復路】 |
|
周りの山々を、目に焼き付けながら下った。アンテナの所は素通りで広い雪原を過ぎると、下りで登りで気づかなかった尾根の北側の雪の風紋と雪庇がそこに道でも有るかのような形作っている。 檜の植林地の上部のさっきの踏み跡に出会った所に差し掛かり、ここで葛老山との別れを感じる。ここからは湯西川温泉駅へ向って植林地の暗い中に入って行く。ここからも雪の中に延々と足跡が付いている。コース取りは最短でよい所通っている。しばらく下ると送電線の鉄塔に着く。湯西川線8号だこの鉄塔は下の道からでも尾根にあるので良く見え確認し易い。始め巡視路でどの鉄塔が何号柱かが解からないので、尾根の鉄塔に付いた時号数を探したが確認出来なかった。またここに最初に出たいなと考えていたが宛が外れたのである。8号鉄塔の周りを見渡すと五十里の海尻橋方向へ下って行く道がある。足跡が一人分、融けかけた雪の上に巡視路を下っている。 この巡視路もすごい道で終始道に手すりがある、しっかりした鋼より線の支線がありがっちりとした物である。足を滑らせても手を添えていれば安全である。急な尾根を下ると9号柱に着くここからも急な道は、なおも傾斜が急になりこんな急な巡視路はもちろん初めてであった。鉄塔の点検に使えるだろうかそんな事を考えてしまう。手すりのワイヤの終わりはナメ沢の5M上部で終わりそこから沢まで下りるのに考えてしまった。飛び降りるには下の沢が滑りそうで出来ない、ピッケルで確保してようやく降りた。ナメ沢は岩がなく滑りやすい、ここで滑ったら骨折では済まないか知れない。ロープをだして少ない支点に掛けてやっとの思いで下った。途中で1M滑って尻を打った、家に帰って手で撫でるとコブが出ていた。 このナメ沢は登って来た時渡った沢だった、その沢に朝立った時まさかこの沢の上部に巡視路が有るとは思わない。雪で道は見えないので仕方ないだろう、それにしてもすごい巡視路だった。夏なら尾根の鉄塔に上がる最短だろうが、落石と滑落には細心の注意が必要で薦められない安全第一である。車に戻ると猿たちがのんびりとこちらに構わず陽だまりで毛づくろいしている。 |
|
![]() RKさん・山名板 |
![]() 尾根の様子・木の間に鶏頂山が見える |
![]() ナメ沢の降り口写真・写真より傾斜を感じる |
![]() 今回の道具・(アイゼン、カンジキ使用せず) |
写真集 |
|
![]() 鶏頂山 |
![]() 送電鉄塔8号柱 |