崖湯・瓜伊ノ沢 (三等三角点峰)
 
NO.364    .
   

           谷の奥の屈折部左に△3等『崖湯』 その左の白崖が目立つ


△3等『崖湯』は、栃木と会津(福島)の県境にある。 荒海山から安ヶ森山へ峠から枯木山への県境の峰が複雑に屈曲するその中間部で直角に屈折部分に『崖湯』がある。 今回、安ヶ森峠から『崖湯』三角点峰へ県境尾根を歩いた。 その県境尾根から南へ派生する尾根上の△3等『瓜伊ノ沢 』も合わせて歩いた。 

   

三等三角点「崖湯」 標石 花崗岩 保護石なし ( 2010.11.13 ICタグなし )



【山行日】 2010年 11月 13日(土) 曇り、一時陽射しあり
【山 域】 
湯西川・枯木山周辺  
【所在地】 「崖湯」 日光市大字湯西川   冠字・之 27 
       「瓜伊ノ沢」 日光市大字湯西川字ウッルキ沢

【地形図】 1/20万図日光  1/5万図 湯西川 ・ 糸沢
       ・「崖湯」は、こちら>>  ・ 「瓜伊ノ沢」は、こちら>>
【同伴者】  ノラさん、山部の二人


【 △3等 『崖湯』 を歩く 】
安ヶ森峠とは福島県側では鱒ヶ沢林道(村道)と、栃木県側では安ヶ森林道の名の県境の峠である。 この林道は昭和34年11月竣工の日本初の峯越林道である。 栃木と会津(福島)の間には沢山の峠道があったがその中で自動車の通行出来る道は4路線である。 国道121号線(山王峠)は通年通行が可能であるが、他は積雪時は通行止となるがその中でも安ヶ森林道は整備され比較的遅くまで通行できる。

『崖湯』と『瓜伊ノ沢』の3等三角点標石確認にノラさんと歩く。 前夜に湯西川の安ヶ森キャンプ場にて車中泊し、翌朝6時に目覚め安ヶ森峠へ向かった。 峠への林道は秋も終わり落ち葉に霜が薄っすらと白くしていた。 カラマツの黄葉も半分は落ちて紅葉見物はすでに終わり出会う車も無く峠に到着した。 峠の東に安ヶ森山があり愛犬「なな」と歩いたのは2003年10月だった。 それから7年も経ったが何も変わった様子は無かった。


   

                             安ヶ森峠


7時過ぎに峠を出発、県境尾根は薄い笹で雑木も少なく快適なアップダウンを繰り返しながら尾根を進んだ。 途中にサルノコシカケが付いた枯れ木をカメラに収めた、なんとなく薄っすらと付いた踏跡か獣道が落ち葉に隠れているながら道案内してくれる。 ブラやミズナラの広葉樹林は気持ちが良い、常緑樹の塊があるが名は不明だが青々しく枯れ木の山には目立つ存在だ。 1294m峰に到着すると「主三角点」があった。 苔が付いているが傷もなくどっしりとしたものだった。


   

                         1294m峰の主三角点


1294m峰から勢いあまって直進し(西進)、ここは南へ直角に曲がる所なのだった。 ノラさんが指す方の尾根に下るのが正解で、正規ルートへは斜面をトラパースし復帰した。 その先が最低鞍部の1190m地点である、鞍部の先を20m登ると△3等『瓜伊ノ沢』への尾根を分ける1210m峰だ。 この辺から尾根が細くなりそれに合わせてシャクナゲ濃くなり、進行に時間が要するそれでも単独と違い気楽な尾根歩きといった気分で進んだ。 薮があってもアップダウンが適度に来るので薮も気にならずに『崖湯』へ近づく、どの峰に標石が埋まっているのだろう。 県境尾根の途中のやや平らな所にブルーシートが落ち葉に埋もれていた、トタン板や丸太柱の残骸も見える。 鳥屋跡、何にの小屋跡だろうか、尾根の切株に錆びたワイヤーが残されていたので伐採関係の小屋だったのだろう。






この尾根にもキノコが付いた着いた枯木がある


△3等『崖湯』峰は、曲尺のようなL字形の尾根で標高 1390m前後のピークが連らなって見える。 さて、どの峰に標石があるのだろうかと思いながら歩いた。 地形図を良く見ず歩いていたのではっきりここだと言えなかったが、結論は地形図通りの場所だった。 現地では、屈折部の高みが標石位置に見えたが標石は無かった。 県境尾根の屈折部には「M大プレート」があった。 M形はそのままだが塗装は剥げ落ちて文字は無くなっている。

    

                    
M大プレートあり


そのプレート付近にいた笹に埋もれていた標石をノラさんが見つけた。 私とノラさんが一緒だといつもノラさんが先に標石を見つけるのがお定まりとなったようだ。 三角点名『崖湯』はなぜ付けられたか分かったような気がする。 それはこの三角点まで歩いた人は分かるだろう。 県境尾根の栃木側が切れ落ちて崖になっている、それを印象付けるように崖は白岩で周囲の樹木との違いが引き立つから目立つのだ。 標石の所でパンをお茶で流し込み食事とした。 また、標石を水で洗って写真と拓本を採る。




△3等『崖湯』峰から西側の眺望は樹林越しで見通しは無いので東側の180度のみが見える。 今日歩いた尾根とそれに続く尾根の先にある荒海山(太郎嶽)の尖った峰のシュリエットである。 南方の眺めは明神ヶ岳と日光連山の女峰山あたりまでである。 今日予定のもう一点、△3等『瓜伊ノ沢』尾根も鳥瞰出来る。 さあ、『瓜伊ノ沢』三角点へ出発だ、今歩いた尾根を 1210m峰まで歩き始める。




中央奥が荒海山、手前の松の尾根が県境




 
【 △3等 『瓜伊ノ沢』 】

点名の『瓜伊ノ沢』とはどの沢なのだろうか、調べてみると湯名子沢の支流に架かる湯名子沢橋の下を流れるのが「瓜伊ノ沢」である。 そこから三角点名としたのだろうか。 同三角点の西側の谷はヌーグラ沢という。 今回は頂上から瓜伊ノ沢支流に下る、おすすめ出来ないルートである。 一般には安ヶ森キャンプ場から尾根を詰めるのが良いようである。

    

                       △3等『瓜伊ノ沢』標石

 

△3等『崖湯』から県境尾根を戻り歩く、1210m峰から南尾根へ下り進む1197m峰あたりからシャクナゲが出て来た薄っすらと獣道があるが樹木の下を潜る跡なので役立たずである。 それもうるさいほどではない。 地形図で見るほどの上りではないような歩きである。 それは眺望のよい尾根だからだ、途中にはアスナロの大木が何本かあった。 アスナロの切り株の所で一服し振り返ると、『崖湯』峰がヌーグラ沢の源頭部の白崖の上に見えた。


     

                 県境尾根の一部ではシャクナゲ薮がうるさい



いよいよ、『瓜伊ノ沢』峰頂上部が近づくと尾根は濃いシャクナゲ薮となる、それを漕ぐとヌーグラ沢側(西側)にカラマツ林がありいよいよ頂上だ。 この辺の樹種はブナと楢が主体、笹は濃くはない雑木が無くて快適だ。 目立つ大木のある標石峰に着いた、△3等『瓜伊ノ沢』標石は100年近い風雪に耐え変わりなく鎮座し続けている。 


    

          『瓜伊ノ沢』峰、大木が印象に残る、前週(11/6 7:24 Y.K)赤テープあり


前週に Y.K氏がここの三角点峰に訪れた証であろう、赤テープに期日が記されていた。 単独であったようだ、県北部の峰を回峰されている多くの足跡を残されている。 さて、時間を気にしながら出発点の安ヶ森峠への戻るルートを決めなければならない。 県境尾根へ戻るのが時間的にはそれが早いのだろうが、ビストンを避けられるなら違うルートをと思っていたので、ノラさんと”下の林道へ下るルート”でと直ぐに決まった。

    

               瓜伊ノ沢の支流枝沢がこの小沢(空沢)である


    

               写真では傾斜が解りづらいが、急な斜面である

『瓜伊ノ沢』の支流の枝沢に下りず終始斜面をトラパースしながら下る。 最終的には尾根筋をつかみ瓜伊ノ沢に到達した。 瓜伊ノ沢には、3ヶ所の滝が見えた、水量は少なく沢渡渉に問題はなく見え沢に降り立った。 砂防ダムがありそれを高巻きし(たいした事なし)沢を少し下り土手に上がると安ヶ森林道へ出た湯名子沢橋の所である。

ここから林道を歩き安ヶ森峠へ向かった、しばらく歩きショートカットのため再び尾根に上がる。 尾根にシャクナゲ薮が出た時は、”距離が長くても林道歩きをすれば良かったか”と思った。 尾根を登りきると再び林道に出る、そこから峠まで歩いた。

 
【所要時間・歩行距離】
安ヶ森峠 7:05  -  ・1398.7m峰(主三角点) 9:35 -  △三等『崖湯』 1731.8m峰 9:00-10:30  -  ・1714m峰(県境尾根分岐) 南の尾根へ 11:20  -  ・1714m峰南 -  △三等『瓜伊ノ沢』 1731.8m峰 13:10 - 湯名子沢橋 (安ヶ森林道)  -(林道歩き)13:50- 尾根取付点 - 林道復帰(林道歩き) - 安ヶ森峠 15:00

所要時間 約 8時間  分  ( 『崖湯』 約  時間 20分 ・ 『瓜伊ノ沢』 約  時間 35分 )
 * 三角点標石の、清掃作業などの時間も含む

7:05安ゲ森峠-9:35,1398.7m峰10:20-12:40,1210.9m峰13:10-13:50林道-15:00安ゲ森峠

この三角点へは明瞭な道はありません、ご自身の責任で行動してください。


 「栃木の山283」は、 こちら>>