白髪岩・原三角測點 NO.600-1

地図測量の創生期に内務省地理局が実施した「関八州三角測量」その時選点され 明治15年10月標石設置した「白髪岩 原三角測点」標石。群馬県下仁田町白髪岩の急峻な深い山中にある。 現在は付近に御荷鉾スーパー林道が開通、笹尾根をつないで現地に立てる。

白髪岩(しらがいわ)原三角測點

【山行日】 2009年 10月24日(土)         【山 域】 群馬県西上州
   【天 候】 晴れ午後曇り 微風 気温 13℃  【所在地】 群馬県下仁田町
   【地 図】 国土地理院 1/2.5万図 神ヶ原(長野)こちら>>
【メンバー】山部単独
   【近くの山々】日向山は、こちら 赤久縄山は、こちら 西御荷鉾山は、こちら

   【栃木の原三角測点・晃石山】探索は、こちら

【タイム】

小山(5:30) = ( 太田本IC = 庄児玉IC ) = 児玉(6:50発) = 万場(7:30-45) = 塩沢峠(8:00) = 林道(8:50) - 日向山(9:10) − 林道(9:20) = 
杖植峠先に駐車(9:30) − 1499m峰(9:55) − 白髪岩・測点(10:20-12:20) − 1499m峰(12:35)杖植峠(13:00下山) 林道
(13:20) − 赤久縄山(13:30-35) − 林道(13:40) = 林道(14:25) − 西御荷鉾山(14:45-55) − 林道(15:10) = (木ノ沢林道) − 万場・水の沢橋(16:10) − 鬼石町 = ( 藤岡IC = 太田IC ) = 小山(18:20)                    * 林道とは、御荷鉾スーパー林道 *

この岩峰が白髪岩の尾根

白髪岩尾根の西端の岩

関八州三角測量・原三角測点

 日本の地図草創期に始められた三角測量が、「関八州三角測量」である。 那須西原基線が設置され、その基線から次々に各測点を観測し三角網を完成させていった。 白髪山(白髪岩)測点もその時に選点された、測点の1つでその時の数は約100点に及んだ。 約50点を観測をした時点で内務省地理局の業務は陸地測量部へ移管された。 その後改めて陸地測量部により選点設置されこの地域では一等三角点は赤久縄山になる。 白髪山(白髪岩)測点はその時から置き去りになり忘れられた測点になった。 しかし、それが幸いして現在までそのまま残ったと思うと幸いなのか。 

 内務省地理局の測点標石は、「原三角測點」と刻字された四角錐形で東京都の雲取山と新潟県の米山で発見されているので白髪山(白髪岩)測点標石を含め三点であり貴重な地図測量遺産でもある。 今回、関八州三角測量の内務省地理局設置の原三角測点の見学に歩いた。

標石設置雰囲気は最高

「白髪」の文字が当時を彷彿

白髪岩へ
 日本の中央構造線の南側に位置する西上州の山々は渓谷に深く刻まれ、岩は露頭直立し人を容易に受け入れない所である。 標高は1500m前後で高山ではないが、幾つもの峰を越えなければ目的の白髪岩の峰に立てない。 現在は林道が奥深くまで作られ峰をつないでいる。 白髪岩の峰は下仁田町から稲含神社のある稲含山から尾根を通すか、下仁田町森本集落から杖植峠へ古道の尾根を歩く。 御荷鉾(みかぼ)三山の尾根には多くの峠名があることから尾根越えの古道もあったようだ。

 今回は鬼石町-万場町-塩沢ダム-塩沢峠で御荷鉾スーパー林道に出て林道を西進し杖植峠付近に着いた。 杖植峠先に駐車しここで靴を履き替えて尾根をつないで白髪岩へと歩いた。 笹と疎林の尾根は快適なものである。 駐車地から測点標石までは踏跡が明瞭、道標(白プレート)もあって迷う事はないだろう。 劣化し枝に絡むマークのテープが痛々しく途中にあったマーク類(梱包テープ・赤黄ビニール)を撤去しながら歩いた。 この測点へ来られる方は地図の読める方でしょうからゴミ化したマークがなくても問題は無いと思う。 駐車地から測点までの笹尾根歩きの詳細は、難度はハイキング道程度なので省略。 歩行約50分。

「内務省地理局」の刻字

全身くまなく調査、刻字を読み

原三角測點
 測点標石は四角錐上面カット形の六面体でどっしりと設置されていた。 苔生した台座に載り白髪岩の長い尾根中央のピーク端にある。 原三角測點標石には地上標と地中標があるとされているが、この測点に地中標があるのがは定かでない。 この測点標石は台座の載っているだけなのでこれが測点として使用されたのか標なのか不明である、標石上面に×が刻ざまれいるので測点標石そのものとして使用されていたのだろうか。

 詳細データ収集、記録のため拓本をした。 測点標石は凝灰岩(白河石・芦野石)で表面は滑らかに仕上げられ、刻字も精細に仕上がっている。 
「原三角測點」「内務省地理局」「明治十五年十月」の刻字が各面にあり一面は刻字なし、上面に×。

* 「原三角測點」のの刻字は厂(雁垂れ)の上に点がある、广となっている、* の刻字は中の作りが肉のようになっている、* の刻字は里占の下に?となったいる(黒、占ではない)

上面の拓本

側各面を拓本

台座の諸元、二分割構造である。
 ・ 四角外寸 610mm  ・ 四角内寸 390mm
 ・ 外側厚さ  150mm
 ・ 測点標石内側摺合部深さ 50mm
 * 内側の四角は上部標石の錐形に添って
   テーパーが付いている
   底部にレンズ形の穴がある

測点標石本体の諸元
 ・ 高 さ 450mm  ・ 側辺 455mm
 ・ 上辺 150mm  ・ 底辺 400mm
 * 四角錐の上部を切った形である。

上面寸法 □150・150 × 210・210

標石上面には、精細な「×」線刻

地上標石をガードする基部
 

 

原三角測点傍の図根点「高85」

近くの一等三角点「赤久縄山」
測点から15mの直近に図根点( 公共 山 図根 高185 + )が標石がある。 また付近の尾根には界標「山 三三一」「山 三三二」「山 三三三」があり見出標も多数確認した。 この「原三角測点」標石は森林事務所や山人に以前から存在は認識されていたのであろう。 しかし、この測点の歴史的意義を知られていたかは定かではない。 この測点を埼玉県在住地図測量研究家の飯島氏により山岳誌「岳人」に紹介され広く存在が知れたのである。

 以前設置が有ったと言う、案内板や表示板などはなかった。 立木に「白髪」の板のみ。 

地形図 長野 ・神ヶ原  白髪岩・緯度経度 36 09 02 / 138 49 16


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