本谷山(ほんたにやま)1860m NO.800-1
ノラさんに誘われて「越後沢山」、「本谷山」を目指して中尾ツルネを歩く。 日本の中央分水嶺が通る群馬新潟国境で豪雪地帯の厳しい所でもある。 群馬県側は利根川の源流域でもある。 内膳落合の登山口に本谷山(中尾山)と記されていた。 
【山行日】 2005年 9月 24日 (土)
本谷山頂の杭には紐のみが結ばれていた
【山 域】  奥利根(利根川源流域)
【地 図】  1/2.5万図地理院 ・奥利根、兎岳
       地図(本谷山、越後沢山)
       地図(内膳落合・本谷山登山口)
       地図(十字峡)
 
【天 候】  雨のち曇り、時々日差し
【所在地】 群馬県利根郡 新潟県南魚沼市
【同行者】 ノラさん、山部の2人
【参考HP】 「利根川水源地域 本谷山を再訪」
        (2005.07.23) 群馬山岳移動通信さん

       河川情報Cのリバーネット
【コースのタイム】
 9/23 自宅(10:20)==前橋IC=(関越道)=六日町IC==六日町コンビニ(9/24 1:10)==十字峡(2:00-5:35)==
栃ノ木橋・丹後山登山口(5:40-50)−−内膳落合・本谷山登山口(6:20-23)−−傷ブナの(6:50-52)−−建物(8:25-30)−−1296.8m三角点峰(8:50-55)−−鎖場(9:25)−−森林限界(10:15)−−稜線・中央分水嶺(11:10-13)−−本谷山(12:00-35)−−稜線(13:50-53)−−鎖場(13:50)−−三角点(14:10-15)−−建物(14:25-30)−−内膳落合・本谷山登山口(15:35)−−栃の木橋・丹後山登山口(16:10)−−十字峡(16:45)=六日町温泉(入浴)==六日町IC=(関越道)=前橋IC==足利==自宅(10:20)

本谷山山頂手前

稜線を通過
挑戦、越後の山、奥利根の山】三国川(さぐりがわ)
 越後湯沢、六日町、浦佐は以前はよく来たしかしスキーとマラソンなどで山歩きでは巻機山、苗場山だけである。今日は上越の山に明るいノラさんが一緒で心強い、今回の越後沢山と本谷山は日本の背骨に当たる中央分水嶺の稜線上にある山だ。訪れる人も少ない山で安易には挑戦できない山のようである。ノラさんとは今年はルートの長い山(長時間の山)、深い薮山と立て続けに歩いてきた。ノラさんから「群馬山岳移動通信」のオーナーである重鎮さんが今年挑戦された越後沢山へとの誘いだった。情報は少ない山であり関東の水がめである八木沢ダムのある利根川の源流域を取り巻く所である。情報は「群馬山岳移動通信」さんのページを参考に歩いた。

十字峡、落合橋

利根川源流部、、、生態系保護地域
十字峡からスタート、丹後山登山口
 六日町から魚野川の支流三国川(さぐりがわ)を遡上して三国ダムへさらに上流の十字峡の落合橋に着くここがスタート地点となる。目指す登山口への林道はここで通行止となっている。太い鎖に鍵が掛けられている。午前2時そのまま仮眠となる、橋の側の広場にはすでに4台の車が止まっている。関越トンネルを抜けて湯沢側に出てからズート小雨である。

 4時頃に起きて5時頃スタートと言って寝たが、目が覚めたのは5時だった。トンネルの中に車をバックして準備をしていると軽トラが1台やって来た。ゲートの鎖を外して中に入っていった、続いてバイク2台が続いていった。入っていいんだ自分達も登山口まで行きたいなーと思いながら準備も終盤にするとまた軽トラがやって来た。今度は止まっていた車から登山の格好の女性が3人軽トラの所でなにやら話をしている。その場に行き『車入ってもいいんですかと』聞くと地元の人の車だけとの事である。状況を察ししてか乗せて行くからと言ってくれたのでお言葉に甘える事となった。早速ノラさんとザックを軽トラに積み込む、すでに3人の山仕度の女性が荷台と助手席にいる、おじさんもそそくさと運転席にエンジンがかかる。元気よく走り出した。舗装された道は直ぐに終りダートの道になる、深い巨岩の三国川(さぐりがわ)に沿って軽トラが走る。これは楽チン得したと思っていたら5分も経たないうちに車は止まった。栃の木橋先の丹後山登山口に到着したのだ。もっと先まで行くのかと思ったがここまでのようだ30分の短縮ありがたいと言っておこう。女性とおじさんは丹後山へ行くと言う、我々はここからさらに奥へと林道歩きとなる。登山カードに記入していると女性から我ら二人に山行の安全にと「ミニわらじ」のマスコットを頂いたそのままザックに付けた。
(登山者カード箱は本谷山口には無いので丹後山登山口の箱に入れるようだ。)

内膳落合・本谷山登山口(6.0K)

中尾ツルネの大木
内膳落合から中尾ツルネ
 丹後山登山口からは道幅のあるダートであるが整備された道を歩く、この先の銅倉沢に発電所の施設の所までのようだ。約30分で内膳落合の本谷山登山口に到着する。ザックの荷を確認していよいよ尾根に取り付く。ここから長い尾根が上越国境まで延々と続く、登山口の標識には[内膳落合・本谷山(中倉山)6.0K・十字峡4.3K]と記されてる。さっきのおじさんが刈り払いしてあるからと言っていた、登山道は明瞭で迷う所はない。ただ高度さ1300mの尾根を6.0K歩くだけである。「群馬山岳移動通信」さんのページによるとこの尾根は「中尾ツルネ」と言うらしいどんな意味なのだろう。中尾ツルネの始まりである。洒落た名で耳に心地よい響きがある。寄り道無しの一本調子の急登の連続になる。ノラさんが新潟の山は皆こうなんだと言うザックの重みが肩に食い込む約2時間半で1296.8m三角点峰に到着する。途中に正体不明の建物があった、アンテナがあるのでどこかとつながっているらしいが(後で調べたら雨量観測施設でした。)三角点峰までの上りはタオルを何度も絞らせてその度に汗が滴り落ちた。ガスと時折の雨粒に湿度も高くメガネも曇る、ザックを下ろしてふと見れば突然丹後西尾根のシュリエットが見える。朝丹後山に向ったあの人たちも同じ高度に居るのかなー、そしてすぐに尾根が消えてそのまま尾根の姿は最後まで見えなかった。ノラさんの言った『新潟の山は皆んなこんな感じ』が解って来たような気がした。

 どの山も歩かなければ語れないものがある、この中尾ツルネはツルネの言葉の響きと黙々と歩く縦走の手本の様な所でした。(ツルネは八ヶ岳にもありますがどんな意味なのでしょうか。)


尾根の木々は清々しい

雨量観測施設、裏にアンテナがある

1296.8m三等三角点標石

中尾ツルネの鎖場

憧れていた稜線へ
 イワカガミが張り付いた岩の尾根があり鎖もある、中尾ツルネは変化に富んだ尾根である。紅葉の時期には少し早いようだが赤いナナカマドの実は着実に色づいている。シジュウカラの群れに出会う近くの木々に次々にやって来てせわしく鳴きながら渡っていった。笹が見え始めるとしばらくして森林限界に出る一気に尾根が開ける。森林限界は密生の笹はきれいに刈られていて快適だ。このまま越後沢山までなら一気に目的達成である。しかしそれはこの後直ぐに稜線までで終わっていた。遅いマツムシソウが咲いていた、マツムシソウの名は草木に詳しいノラさんから教えてもらう。尾根の笹原の下部は草地になっていた。雪田がありそうな雰囲気で探したが雪は見えなかった。岩の露出した所から僅かで稜線に出た。ミヤコザサは背が低くなり風が強いのが解る、寒いというより涼しく快適である。ノラさんが地図を広げて感慨深げに見ている、地図を見ても回りはガスで見えない近場の笹原の活き活きした青さだけが見える。ノラさんが立ちあがって巻機山への笹原の踏み跡らしき笹のみだれを南に様子を見に行き、少し進んで戻って来た。

ガスの国境尾根を行く

尾根は両側に落ちている、稜線を通して歩く

本谷山
 この稜線が国境の連なりである、ガスの先にどこまでも続いているのであろう。ここからは中尾ツルネのような手入れはない微かな踏み跡を探しながら、腰程も有る藪漕ぎをしながら進んで行く。両側から迫った岩の所もあるが概ね問題となる所はない。尾根をなぞれば本谷山へ行ける、先行するノラさんから下に池があるとの声が掛かるがよく見えない、一時見えたがカメラを用意している間にまたガスが消し去った。池はこの後見えることはなかった。笹の背丈は場所によってまちまちで切れ落ちた縁は膝下、くぼ地は背丈を越える所もある。一ヶ所深い笹の中に劣化したビニルテープがあった。ノラさんが10m先行して程なく本谷山らしいおおらかな笹の頂点に立つ、勘違いで三角点標石があるはずと探したがノラさんからここには無いよと言われ捜索終了です。相変わらずのガスで視界は僅かである、時間も12時で昼食とする。山渓の「簡単山ご飯」を試しておいたので作ってみた。平たく言えばたまごスープにレトルトご飯を入れたおじやである。ノラさんはいやな顔をしない人なので、美味いと言ってくれた。温かいものはその後の行動の元気を得るものだが、食事準備の途中からまた雨粒が落ちてきた。

 食事しながら恨めしそうに越後沢山方面を見るが濡れた笹原が広がるのみである。前線は停滞したままのようで動く気配はない。仮に越後沢山へ行っても視界がないのなら、再訪の機会を伸ばさないためには今回は撤退の方が良いとの意見集約となり食事後戻ることにした。本谷山から撤退するが奥利根、上越国境を垣間見たことで一応の成果はあったと少しだけ満ち足りたものはある。

頂上手前の池が見えるかな

笹とナナカマドの本谷山山頂
中尾ツルネをもどる
 元来た国境尾根を戻り始めた、笹原は風にそよいでいる。途中のヤセ尾根は三角錘である群馬新潟どちらにも巻けない笹原とは対照的だ。往路で山部が20m位先行してヤセ尾根を進んでいた所、ノラさんが来ないので戻ったら手前の痩せた所で1m位落ちたと言った所である。三角錘はガスに包まれている、上り進むとやせ尾根の連続した所だ。後は忠実に尾根を下る、さすがに下りは早いが何度も濡れた木の根と岩に滑る。三角点標石に着いたがここで約半分その後も足を取られながら内膳落合に下り降りたときは安堵した。態勢を整えて十字峡への道を下った。

帰路に着く、森林限界付近

美味そうに見えないが、「たまごスープおじや」温まった
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