南三岳 (幻の岩峰)  1714m NO.096-7
南三岳 1698m峰   1698m NO.096-x
幻の岩峰の標高を1714mに変更しました。 詳しくは文末に記載しました。

三岳を何度歩くもまた違う 凹地と岩の迷宮の峰
【山行日】 2006年3月5日(日) 【天 候】  快晴 気温 朝−10゜C
【山  域】 奥日光(湯元、光徳) 【所在地】 栃木県日光市
【地  図】 国土地理院 1/2.5万図 男体山
       地図(南三岳・光徳) (湯元) 
       地図(大正四年の地形図)
    
【参加者】 第七次三岳探検隊(計 7名)

三岳トップのページはこちらです。
栃木の山283+へはこちらです。

K班(光徳発) 上野さん、北尾さん、
         ふーせんさん、山部(記)
Y班(湯元発) ガルーダさん、FM大野さん、
         のみねさん
【コースタイム】
光徳駐車場(7:50-8:22)==湯元駐車場(デポ車)(8:38)==K班・光徳駐車場(8:50)−−光徳沼(8:54)−−1555m(9:25-30)−−1610m(10:20-25)−−岩峰下・小休止(10:40-50)−−幻の岩峰(1714m)(11:25-40)−−1698m下・宴会(12:30-14:05)−−1698m峰(14:30)−−1740m峰・東下(15:00)−−1752m・南下鞍部(15:30)−−林道(兎島〜小峠間)(15:58)−−湯元・金精道路入口(16:10-17)==K班・光徳駐車地(16:28)・・・Y班(湯元発)・光徳駐車場(17:10)

宴会前に全員でポーズ

幻の岩峰ピークにて


【再び幻の岩峰へ】
 日光光徳の県営駐車場にメンバーが終結、予ねての計画通り二班に分かれての三岳探検である。 今回で第7次の探検になりメンバーも三岳の概要はつかんだ。 三岳は探検に足を踏み込む度にその姿は違っていた。 踏み跡は皆無だ、時に『踏み跡だ』と叫んでもそれは鹿の足跡だったり、さらに奥に進むとそれもない。(冬季は鹿も奥には踏み込まないようだ) さて定刻二班に分かれてほぼ同時に光徳と湯元からスターととなった。 昼食の待ち合わせ場所は幻の岩峰下の展望の陽だまりの広場付近という約束である。 もし会えなかったらそれぞれで下山で最終五時半に集合の予定である。 

 さあ、迷宮の扉を開らこう。 誰もが今年の雪は多いと思っていたようだが以外に少ない。 光徳駐車場脇の積み上げられた雪に乗るも締まっている。 全員スノーシューをザックに付けてつぼ足スタートとなる。 光徳牧場の中はクロカンのスキー溝跡が締まった雪についている。 光徳沼の畔でクロカン、スノーシューハイクの人達と別れて逆川の木橋を渡る。 地図上の破線の道には踏み跡はない。 今日のふーせんさんは快調の様子である雪の急斜面に取り付く。 ここの雪も締まっているこんな感じの雪ならばアイゼンなら楽だろうと、取り付きの斜面にキックを打ち込む。 急な斜面も雪の付いた所をルートを定め高みを目指す。 三岳は磁石で方向を定めてもその方向へ進めない。 大岩が幾重にも重なっている絶えず全体を見極めて方向感覚を研ぎ澄ます。 それでも南から歩くと解っていてもやや西にぶれる、そんな事を話しながら先頭のルーファンを着実に追う。

今朝の温度は−9.5度・戦場ヶ原

さあ出発・光徳沼(K班)
 K班には新婚の北尾さんがいる彼女のルーファンの時などは、いたわりながらも厳しくあっちだこっちだと口うちるさくい、まるで嫁いびりの姑状態である。 それはその筈地図読みの達人と言われた上野さんが同行しているのである。 前回はその上野さんをも惑わした三岳であるから、今回はルートをバッチリと決めたいとの思いも感じられる。 どうしても西にブレがちな地形もあったがほぼ計画のラインを歩いた、もちろんジグザクである。 また今回は締まった雪にスノーシューはザックに付けられたままである。 途中で二回の小休止を取るも時計を見るたびに早い早いの連発である。 今回は締まった雪の快適つぼ足である。

 幻の岩峰を最初に彼女に見せてあげたいと岩峰下の展望スポットへは自然と先頭に。 薮と雪を避けながら倒木を乗り越えて密な針葉樹林から明るい広葉樹のスポットに到着した。 陽だまりのスポットから見上げる岩峰は垂直に立ち上がり急峻な岩壁を見せている。 大きなダケカンバが青空に枝を伸ばしている、いよいよ岩峰の頂上に向けてのルートへ向かう。 幻の岩峰と言われる由縁はその姿を見られた人は僅かで人知れぬ幻の頂である。 地図にも標高の記載はない、また麓から3時間半の迷宮樹林の森で眺望もなく目標を定められない、以上が人を近づけぬ幻の岩峰と理解している。 それが三岳のミステリアスな魅力なのであろう。 

1714m幻の岩峰をバックに(K班)

岩峰直下の急登の順番待ち
 幻の岩峰は見てしまえば幻ではない、ここからは1690m峰と言おう。 岩峰は周囲が垂直岩壁で、ルートが東にある。 前回はその岩に雪が付いて危険な状態であった。 今回は山部がトップである、展望スポットから岩峰へは壁の下を東へと巻きながら進む。 今回は雪は少なく以前は雪の壁だった所が岩が露出してに間に雪の残っている所がある今回はここのルートを登る。 初めは元気に山部が先行したが氷化した雪に靴が歯が立たず上野さんが交代してくれた。(山部は本日靴を忘れてきました。 底の磨り減ったローカットの靴で歩いた。) 一段目のテラス(いや広場かな)に上がる。 ここにザックをデホ゜する、この上に岩をよじ登り潅木の中をくぐる所があるからだ。 最少の物を持ってするすると北尾さんが上がって行った。 雪がポロポロと落ちてきた、声を掛けると大丈夫と返事が返ってくる。
 (幻の岩峰の標高は1714mという事が大正四年の地形図で確認しました。 現在の地形図では1690mと見えますが。 06.11.15.追記 山部)

 次に山部が進むともう上の段に上がっていた。 上野さん、ふーせんさん次々に頂上に視界が開けて絶景を連呼、360度の眺望で日光の名だたる山々が等距離に見える。 眼下には、光徳、戦場ヶ原、中禅寺湖、湯ノ湖、北には三岳の名の由だろうか三っのピークがなんと素晴らしい眺めだろう。 頂上は一畳位のスペースで四人でいっぱいである。 快晴の陽差しが春を感じさせる、小鳥のさえずりが聞こえてきそうなうららかな感じである。 カメラで周囲の山々とお互いを撮りあい一服する。 北尾さんに伏せていましたが、結婚されたと聞いていたので記念にプレートに「祝結婚 北尾」を掘り込んで持参した。 カメラで北尾さんのスナップ゜撮影する時に持ってもらったら、笑顔を最高の雰囲気で撮ることができた。 その山名板を枯れ木に取り付けた、ここのピークに立ったとき裏を見たら祝福をしてほしい。 
 岩峰からの下降はロープを出して、Y班との集合地点に向かう。 ここの岩場はロープ持参が安全なようだ、特にグループの場合は必携だろう。

 この頃Y班では湯元から急斜面を登りきり、最高峰1752mと鞍部を隔てた1740m峰の中を鞍部に向かって大岩を巻いたり薮や木立を通り抜けていた。 のみねさんがぐいぐいと進むその後をナスノガルーダさんそしてFM大野さんが追う。 しかしなぜかお互いの距離が開いてしまう途中で前のナスノガルーダさんが見えない、声を掛けると返事があるが解らない、スノーシューの音も聞こえるでも方向が違う。 声は反射するのか東から聞こえ、スノーシューの擦り音は前方の北から聞こえる。 結局前方に居たのであるが、姿が見えないと声掛けしても合流できないのも三岳だからなのだろうか。 1740m峰は緩やかな山に見えるが侮れない、ピークやキレットが多数ある。 下山後Y班の様子を聞くとナスノガルーダさんは連日のハードな仕事で寝不足、絶好調なのはのみねさんだけのようだった。
新婚は楽しき事の多かりき 長き人生共白髪まで

裏は「祝結婚 北尾」

後方は前白根、五色山

K班もピークに(撮影:上野さん)

Y班もピークに立つ(撮影:のみねさん)


【岩峰下〜陽だまりの空間〜南三岳最高峰の鞍部〜湯元(K班)へ】
 岩峰から降りて集合地点に向かう途中で「おーい、おーい」と男達が叫んだ、意外と近くから声が帰ってきた。 のみねさんが「やー迷っちゃったよ、凹地と薮で現在地不明が一部あってね」と言うが、よく聞くと1698m峰はちゃんと踏んで来たとのことで予定のルートを歩かれたようであった。 続いてナスノガルーダさん、FM大野さんと間隔を置いてニコニコ顔を見せた。 直ぐ上に岩峰を見上げる陽だまりの林で宴である。 例によって各自持参した菓子類、アルコール類(ビール、日本酒、ウイスキー、ワイン、スパークリングワイン)、おつまみなど、、。 まず北尾さんの結婚を祝してスパークリングで乾杯。 早速例によって記念撮影である、宴は豪華になったような。 集合写真を何枚もシャッターを切った。 結局1時間半の宴会になった。

酒宴材料

祝結婚・スパークリングワインで乾杯
 午後の部はここからはトレースが付いているので楽勝だろうと、Y、K班ともスタートした。 K班のトップは山部でふーせんさんが続いて来られた、しかし千鳥足、ふらふらと踏み跡を正しく踏めない。 心臓の鼓動は早鐘を打つ、宴でちょっと飲み過ぎた。 程なく上野さんが追いついて来た一人である、北尾さんはY班と一緒に行動とのことだった。 上野さんは追いつくと千鳥足の山部をパスして先頭で1698mに立ち、ピークで待っていてくれた。 ここまで来れば後は地図上では下りのみで楽勝と思っている。
 トレースは南の最高峰1752mの鞍部(峠)へ向かったついていた。 しかしY班の言葉が気になっていた、迷ったよ、地図上の現在地把握が出来なかったと言っていた。 しかし、トレースは1698mからやや窪地側を歩いているが、正確に鞍部に向かっていた。

 所々の岩は南西側を巻いていたがK班は北東側を歩き、前回光徳に下った1740m下に着いた。 ここで地図読みの達人上野さんと経験豊富なふーせんさんが1752mの鞍部へのルートを、Y班のトレースを追わずに変更しようと言った。 山部は三岳は地図はアバウトで良いと思っている、方向感覚が重要とだからどこを歩こうが同じと。 上野さんが後、3,40m高度を上げると傾斜の緩んだ所があり、鞍部への斜面トラバースに良いとの声がある。 しかし山部には同じに見えるのだが、ふーせんさんが急斜面に高度を上げる、ふーせんさん、上野さんに遅れて後に続いた。 この辺から巻こうと言い歩き出す、どんどん1752m峰の壁が近づくベストである。 どうして地図からこのルートが見えるのだろうか、長年歩いていると想像が付く地形もあるがここでは通用しない筈、今でも上野さん、ふーせんさんの能力には舌を巻く。  

急登すると快適トラバース帯へ

大岩の間を抜けると1752m峰下へ出た

【湯元へ下山】
 最高峰(1752m)下で、時計を見ながら「どうする行きますか?」と、Y班の雪の足跡(カンジキ跡)を見ながら打ち合わせ。 今日は素直に湯元に下ろうということになる。 Y班の足跡は1740m峰へ続いている。 1740m峰は地図で見るとなだらかなゆったりとしたピークに見える。 しかし実際は地図に無い大岩の乱雑な重なりで一つとして平地は無い、ここがピークかと登ればその先に同様の大岩が見られる。 いったいどこが1740m峰のピークだろうか、いやピークなど固定できないのだろうか、まだまだ三岳は知りえない未知の峰がある。 そんな1740m峰の中をY班は湯元から急登して歩いてきたのだ。 雪の上には足跡が続いていた、ここで分かれて一直線に湯元に下山して行く、やや沢ぽくなってくると程なく林道のカーブ地点に出た。 林道から振り返れば下った鞍部は急峻に見えた。 上野さん、ふーせんさんの後姿が赤穂浪士の凱旋を感じさせた。 この後デポした車で光徳にもどりY班と合流、中禅寺の温泉で汗をながした。 (完)

振返れば男体山が赤く染まる

光徳沼合流

光徳沼合流 (撮影:上野さん)

北三岳 (撮影地:光徳牧場)

幻の岩峰とは、】
 
いつからなのだろう三岳探検隊の中で「幻の岩峰」として、注目されここ何回かは南三岳を歩いている。 南三岳の中心火口付近と思われる窪地の横に凛と聳えているのが幻の岩峰と呼んでいる1714m峰である。 岩峰の隣に窪地(凹地)があるので窪地からでは60mの垂直壁が直立している。 基部の周囲が約300-400m 頂上部の周囲が約80m位だろうか、北、西、南面が垂直壁に東側がやや斜面になっている。 やや斜面とはいえロープなどが欲しい所だ。 雪があると足場も作れるが無雪期の様子は不明である。 南の視界の良いピークからは槍の穂先のように見える、もちろん岩峰の頂上からは360度の展望は素晴らしい眺望が得られる事は言うまでも無い。 岩峰は火口の端に出来た一個の塊で周囲には針葉樹とダケカンバたどがある。 

【幻の岩峰の標高について】  06.11.15 追記
地形図にて幻の岩峰の標高が分かりました。 現在の地形図では1690mまでしか読めません、実際に頂上部にてGPSで測ると1700mを越えています。 地形図との違いを感じていましたが今回大正四年の地形図を見ることが出来ました。 それによると南三岳の岩峰に1714mの標高が記載されていました。 南三岳の最高峰ではありませんが、認知されたような気がしました。
地形図は「日光稜線紀行」の
starionさんの所有のものです。 ページはこちらです。


ご注意】
 
山はなんとも楽しいものです。 しかし山歩きには思いも掛けないも危険も潜んでいるものです。 簡単に考えて下ったら崖だったり思っていない所に出たりで充分注意しても予期せぬ事に直面してしまうものです。 そんな時こそ冷静に安全な行動をしましょう。 大切なのは安全です。 特に道の無い山は地図を読む習慣をつけてから、はじめは経験者の同行も必要て゜しょう。 
 
三岳は大変迷い易い薮山です。 地形も複雑ですので安易に近づかない事です。 積雪時は特に危険です。

            このページ頭へ  2006年登頂リストへ 栃木の山283+ページへ