錫ヶ岳 すずがだけ 2388M NO.173
  
前白根山 白根隠山 白檜岳
2077峰 赤岩滝
【山行日】 2006年 8月 14日 (月)
               錫ヶ岳           8/14撮影
【天 候】  快晴(夜明け前・午前晴れ、午後・曇り晴れ
【山 域】  日光
【所在地】 日光市、群馬県境
【地 図】  1/2.5万図 国土地理院
        地図(湯元、外山、天狗平)
        地図(前白根山、白根隠山)
        地図(白檜岳、錫の水、錫ヶ岳)
        地図(2077峰、林道終点、赤岩滝入口)
        地図(柳沢川林道渡渉点・壊れ橋)
        地図(西ノ湖、千手ヶ浜)
 
       地図(宿堂坊山)
【関連ページ】
        錫ヶ岳  (2003.05.11)
        宿堂坊山 (2003.08.03)
【同行者】 斉藤さん(SKさん)とご一緒した山々は、
           庚申山・皇海山、大真名山・小真名山・女峰山、於呂倶羅山・三岳、ほか

【コースタイム】

自宅(0:10)=斉藤さん宅(宇都宮)(1:00)=湯元県営駐車場:発(2:40)−湯元第4リフト(3:10)−外山鞍部の尾根上(4:20)−天狗平2325m(4:50)−前白根山(5:25-30)−白根隠山東峰2385m(6:00)−白根隠山・西峰(6:15-40)−白檜岳(7:10-15)−2296峰−錫の水場入口2170m(8:10-35)−錫ヶ岳(9:30-10:20)−2077峰(11:35-50)−林道終点(12:30)−山部ルート−赤岩滝入口(13:30)−赤岩滝見物(13:40-50)−赤岩滝・分岐(14:00)−柳沢川林道渡渉点・壊れた木橋・赤岩滝分岐(14:15)−西ノ湖橋畔(15:00)−千手ヶ浜バス停:着(15:25)=赤沼バス停(16:10))=宝木の湯(宇都宮)=自宅(20:30)

メンバー、スケジュール

 リフレの斉藤さん(宇都宮)に「錫ヶ岳」を誘われて一緒に歩くことになった。 斉藤さんは錫は初めてで山部に声が掛かった。
最初8/12の予定であったが直前にの仕事の忙しさで14日に変更した。 変更は的を得て天気には恵まれた。
斉藤さんは昨日20KMのランニングをされたとか、山部も昨日益子CCでプレーしてきたのでお互い多少の疲れはあったが決行となった。

 最初に錫の相談があった時は、湯元からのピストンを計画されていたようだ。 斉藤さんの脚力という事で時間があれば宿堂坊まで、また林道終点までの山部ルート(林道終点〜赤岩滝入口)の再確認(時間、利用状況)もしたい。 ルートを湯元発、千手ヶ浜着とし余裕の早朝発と決めた。

日光湯元(2:40):発天狗平(4:50)−前白根山(5:30) -
 お盆の期間中とは言え真夜中で道路はガラガラで、途中菖蒲ヶ浜駐車場(県営・無料駐車場・プリンスホテルスキー場)に山部車をデポする。 ここで乗り合わせて日光湯元県営駐車場へ、お盆で満車状態であったが数台のスペースはのこっていた。 2:40駐車場を出発する。 広いスキー場は時折鹿のキャーンとの甲高い声を聞きながら、黄色や白の花畑を歩いた。 やや靄っているが星や月の光で明るい。 スキー場上部第三リフト下からネットをくぐって白根沢左岸尾根に上がる。 ネット付近から尾根に上がるまで笹が夜露に濡れてズボンはズブ濡れ、しかし歩き始めると体温で乾いてしまった。 道はガレ場のように新しい石があり完全に道幅は広がり、木々の根は洗われてむき出しになってきている。 上りの道幅が狭まって来るとひょこっと外山(とやま)の鞍部へ到達する。 2325峰したの天狗平で初めての給水をする、今日はペットボトル500ml×3本持参した。 食料はパン、パウンドケーキ、ブドウ糖1袋、結局パン以外は食べなかった。 天狗平で木々の間から日の出を見る、三岳の上で大真名子山の肩であろうか。

 天狗平から尾根に上がると男体山のシュリエットがどっしりと、今日も山頂を目指す人が沢山いるのだろうなどと会話する。 次のピークを越えると前白根と白根山が青空にくっきりとどっしりと眼前にある。 朝日に誇らしげに今日の山行を祝福しているようだ。 斉藤さんも快調だし我がパティー独り占めあろうこの自然、この山並みである。 前白根の丘では雲海の中に明神ヶ岳が日向明神の丸いシュリエット、湯西川明神の尾根が温泉へ落ちていく途中まで雲に埋もれている。 黒く沈んだ中禅寺湖、社山、黒檜山もまだ黒い山並みを見せている。 白根山は太陽に輝いている、白根隠山への笹尾根は清々しく陽をいっぱいに、また黄色(ミヤマアキノキリンソウ?)の花に避難小屋分岐付近埋まっているのが見える。 

    太郎山 撮影:前白根

トタン小屋

白根隠山のケルン

−白根隠山東峰2385m(6:00)−白根隠山・西峰(6:40)−白檜岳(7:10)−2296峰−錫の水・2170m(8:10)−
 前白根からこれからの南へ伸びる県境尾根が長く折れながら続いている、遥か先に目的の錫ヶ岳が見える。 白根山が威風堂々と構え、遥か先に尾瀬の燧ヶ岳の双耳峰が青空の先に見える。 眼下に目を向けると五色沼にテントが二張り見える、早いのか人影はない。 前白根からの下りの岩場にイワギキョウの紫が可憐に咲いている。 避難小屋分岐には沢山の案内プレートがありました、それでも間違って下れない人がいると言う地図を持っていないか、見ないか、理解しないか何なのだろう。 いよいよ人に会わない尾根に向かう、尾根には踏跡があり進む。 上から見えたトタン小屋の側を通り三つある最初の白根隠山に上がる。 次の2385mの東峰に続いて登る、ここが地図記載の2385mだ、ケルン(石積)が何ヶ所かある、最近少し増えたように思う。 白根隠山は好きな山の一つである、なんとものどかな山で吹く風は快い、眺望はすばらしい白根山の外輪山である。 その外輪山の白根隠山と白檜岳と群馬県境の2353m峰に囲まれた所がカール状になっている。 避難小屋から白根山登山口をさらに南西に進んだ所である、氷河に丸く削られカールになったと思うと地球の歴史を感じる。 カールには真夏のこの時期でも雪渓が見える、知られざる栃木の山の深さも楽しめる白根隠山である。 ケルンとバックの白根山は絵になる、ああー快適だなー、このままここでズートコーヒーの香りのなかでCDで終日いたいなー。

 白根隠山から白檜岳へ向かう、白檜岳の手前のピークの西側を巻きながら通過する。 この辺から葉の濡れたミヤコザサが出てくる、ここで雨具のズボンを着ける。 ベルトを忘れたのでずれ落ちてくるのをたくし上げながら進む。 積雪期と違って道も明瞭、また笹も浅く実に歩きやすい、枯れ木の林立する白檜岳が笹原の向こうに見える。 あと一歩きで白檜岳である、稜線歩けずに笹原の中と樹林の中を交互に進み一歩一歩前進する。 程なく平たい笹に覆われた白檜岳に到着する。 何枚かの山名板「栃木山紀行」のプレートが増えていた、カメラを取り出して記念撮影のシャッターを押す。 積雪期は自身でルートを描いていく、ここ白檜岳は今歩いて来た道を直進する地図もそのように読める。 しかしなぜか道は直角に折れて南下している進む方向が違うように思う。 やや南西方向を見ていると斉藤さんが『道はこちらだ』と言う、ま良いかと進むと少し下ると西にトラバース気味に方向を修正する。 今日は地図読みは不要のようでただ足を前に出せば錫に連れて行ってくれる。 山部はこのルートは積雪期だったので、イメージがぜんぜん違う。 白檜岳から次に頂上で90度に屈折ピークがある。 夏道は明瞭な踏跡とルートを示すブリキの表示が10m間隔にうるさいくらいある。 積雪期にはその道もブリキも見えない、積雪は5Mくらいだろうか倒木を乗り越えて歩いた思いが過ぎる。 90度に屈折峰はハイキング道のようでピークを過ぎるとやや西側を歩いて下り始める。 そこから樹林の中を下って下って錫の水に到着する。 大書された赤のブリキに「水」が書かれ、地には焚き火跡の炭化した木々がある。 樹林の中で何の変哲も無い所だ。 今回は水場の状況を見に下ってみた、約1分直ぐにチョロチョロと水音が聞こえる、下の沢音のザー音も聞こえる水もにごりも無く良質のようだ。 呑んでみたが良質と感じた?、ルート上にあまり水場が無いのと近くにあるので錫の水は貴重である。 水場からこれから向かう錫ヶ岳が木々の間から大きく見える、何本かの爪あともくっきりと見える。

白檜岳・奥に錫ヶ岳

カール・奥が避難小屋方向

錫の水

−錫ヶ岳(9:30-10:20)−
 錫の水(2170m)からいよいよ錫ヶ岳へ向かう、樹林の中は陽射しを遮って時折涼しい風が通る。 錫ヶ岳はやや三角錐のどっしりとした山、栃木群馬県境はその二つの尾根を通している。 群馬県側に西に延びる尾根があり先には2351mのピークがある、その先には群馬の薮山の笠ヶ岳へと尾根は続く。 錫の水から錫山頂までの標高差は約220m、県境尾根を登り最初の小高いピークからは、錫ヶ岳の北斜面とその下のなだらかな大きな台地見える(2138mの台地)。 時折鹿の声が聞こえる、人のまったく入らない地域である。 ページの最初の写真はここから撮影したものでどっしりと雄大な錫ヶ岳が見られた。 倒木、ミヤコザサ、コメツガの若木を交わしながら進み、次のピークを下ると、地糖なのか、ヌタ場なのか黒く汚れた水溜りがある、ここからは笹原を約150m上がればよい。 振り返れば白根山、今歩いて来た尾根の先にはガスが覆い始め、男体山もガスに消えている。 2077m峰の尾根の下に柳沢林道終点付近の崩落であろうか、赤茶けた地肌が緑濃い樹林の中に目立って見える。 白根隠山や白檜岳からの尾根が長く延びその先に中禅寺湖がある。 錫ヶ岳の笹は乾き歩きやすい、ここのミヤコザサは雪や雨の時は滑って難儀したと書かれてあったページを見た。 途中何度か休みを取りながら高度を上げると樹林の上方が明るくなり頂上が近い事が感じられる。 やはり頂上に達したようである、錫の水から1時間弱である。 頂上部はやや西北の小さな台地に出て溝部を越え高みを上がると標石と山名板のある頂上だ。 前回は雪の為国土地理院の標石は見れなかったが、今回は御料局三角点と国地の標石を見た。

 時間は9:30に到着である斉藤さんの用意してくれたプレミアム・ビールで乾杯となった。 標石の所では眺望は無いが栃木側は立ち上がれば広大に戦場ヶ原、小田代ヶ原、男体山、太郎山、、、奥日光の山々が見れる。 蒸し暑く斉藤さんは短パン、山部はランニング用のパンツとなった。 時間的にはここに柳沢林道からや、お盆休みを利用した縦走者に会うかも知れない、少しだらしないように、、、。 休憩をやや多く取りすぎた感はあるが、錫山頂でゆっくりと時の過ぎるのを満喫した。 はや立ちは心に終始余裕を持って歩ける、ここまで誰一人と会わない独り占めだった。 遥かなる錫ヶ岳も日帰り山行の山となった感じだが、まだまだ簡単に安易には踏めない山であることは肝に銘じておこう。 

御料局三角点

国地 三等三角点

1975.6 設置

−2077峰(11:35-50)−−林道終点(12:30)−−赤岩滝・分岐(13:30)−
 錫ヶ岳からはとにかく下りの急斜面の連続である、しかし錫の頂上からはもう下るだけと足の負担は無いと気も楽である。 下ること約1時間2077m峰下手前の柳沢林道への分岐に到着した。 木々に大きなプレートが何枚も付けてある。 下るか先に行くかあったがとりあえず2077m峰は直ぐ上なのでピークに上がる。 錫ヶ岳山頂にいる時に何度か携帯に着信があったが、発信できなかった。  2077m峰ピークでは感度良好であった。(群馬側のアンテナを拾っているようだ)
 2077m峰には御料局の境界杭(標石)があり、標石は角が面取りしてあり高級感がある。 これと同じものは何ヶ所も今日歩いて来た尾根にあった。 奥日光のどの範囲が御料局だったのだろうか。 2077m峰はこの尾根では標高は低いが、顕著なピークで眺望は良い。

 さて、これからのルートをどうするか斉藤さんと打ち合わせ。 二人共に宿堂坊山経由で西ノ湖へ出ようと考えていたが、宿まで2時間、西ノ湖まででは4時間掛かってしまうと言うことで錫も踏んだのだからここから下ろうということになった。 柳沢林道終点から赤岩滝入口までの尾根(以前山部の歩いたルート)はその後利用されているか確認したかったこともある。 この尾根は危険な所も無く、上りは右に下りは左に沢を感じながら尾根や斜面を適当に下れば安全なルートだ。 柳沢林道が川を越えてネギト沢に沿って林道終点までの区間は道は放棄され崩落、落石が進み危険な道となっている。(歩くには危険な道iなってしまったがゆっくりと自然に戻っているのだ。) 安全に県境に行くルートは、赤岩滝入口からだと確信しているので、今回は下山に使ってみることにした。 

2077m峰のプレート

薮を下る 斉藤さん

山肌の横線が林道終点
 2077m峰ピークから一旦錫ヶ岳側のプレートのある分岐点に戻った。 しかし県境尾根には沢山ブリキのプレートがあるが、進む方向にはプレートは見えない。 しかし、地図でも分かるように2077m峰の東へ伸び1874m峰までの尾根に乗るには2077m峰を巻いて東側に向かう。 すると100mも進むとブリキプレートが現れた。 以前は無かったのでここ数年のうちに付けられたと思う。 尾根に乗り笹原を進む、尾根はやや北に向きを変えてしまうので次の尾根に乗り換えなければならない。 この辺の地図読みと地形との照合が薮歩きの醍醐味である。 特に下りはスピードがあり勢い分岐点を過ぎてしまいがちである。 尾根を乗り換えて1874mのピークが目の前に見えてきた、ピーク手前から林道に下れば良いのである。 いくつかのビニルテープやリボンが導いてくれ、下に林道終点の赤茶けた道が見えた。

 林道終点からの錫ヶ岳はガスがかかって今日は見えない、2077mもガスがかかり始めてきた。 林道終点付近も崩落が進んでいる、若い鹿が一頭林道上の茂みに駆け上がって行った。 さて、いよいよ最短安全ルート下りである。 林道終点付近から真北に細い尾根が伸びている、細いのと一段下がった所から派生しているのでやや分かりずらいが慎重に確認する。 尾根に乗ると雑木の薮があるが鉈で開かれている踏み跡を進む、そこを過ぎると下草の無い明るい樹林となる。 後は適当に左に沢を感じながら、時々あるシャクナゲなどの密薮を巻きながら下る。 さほど急でない尾根は適当に右にぶれても問題は無い。 尾根は途中で一旦窪んだ所がある、その辺からさらに傾斜は緩み明るい森となる。 沢を感じながら歩かないと右にブレ過ぎると東の柳沢川へ出てしまうとガレ場になるので注意したい。 赤岩滝入口が近づくと尾根と沢の高低差が無くなり難なく赤岩滝への道に出る。

林道終点

崩落の林道

林道終点〜赤岩滝入口の尾根

−赤岩滝見物(13:40-50)−赤岩滝・分岐(14:00)−柳沢川渡渉・壊れた木橋・林道分岐(14:15)
                                   −西ノ湖橋畔(15:00)−千手ヶ浜バス停:着(15:25)
 時間もあるし地図を見ると10分くらいの時間で赤岩滝まで行けるようなので見る事とした。 飛び石で沢を越えると道があり、斉藤さんから『滝だ』の声見ると凄い、大きい、立派、予期していたスケールを超えた滝である。 赤岩滝、大した滝ではないだろうと近くを通っても見ることが無かったが一見の価値はある。 赤岩滝は観光ガイドにも載っている有名な滝である。 しかし訪れる人は多くない、それは柳沢川の渡渉が問題である。 滝見物の後柳沢川の河原を歩き、柳沢林道が川を渡る所にやってきた。 もちろん昔あった木の橋は対岸に残骸が見られるだけになっている。 我々は最初から渡渉するものと思っているので水量が気になっていたが本日は少なく問題なく飛び石伝いに越えられる。

 柳沢川を渡渉すればあとは林道をゆっくりと千手ヶ浜へ向かって歩く、途中S字カーブがあるが当然ながらショートカットである。 斉藤さんにこの上が大岳でその尾根を詰めると白檜岳へ行ける。 大岳山頂のその先が薮で難儀な場所だなんて話していると、突然どこから現れたのだろうかこざっぱりした単独行者がいる。 ここまで誰にも会わなかったので『第一村人発見』なんて言って追いつこうかと思っているうちに段々と距離が離れて西ノ湖バス停方面に消えていった。 どこから現れたのだろう。 

【柳沢林道】
 柳沢川の砂防ダム下を渡った林道は一旦ネギト沢に沿って宿堂坊山に向かう、そして途中から北に方向を変えて2077m峰から東に派生する尾根の1874m峰の北側で終点となる。 しかし林道は前にも書いたが落石、崩落で通行不可能に近い。

壊れた柳沢林道の橋

赤岩滝 落差約100m

菖蒲が原のスキー場
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