![]() 錫ヶ岳 2388m |
![]() 山名板 |
【山行日】 2003年5月11日(日) 山部薮人 2003.05.16 |
【コースタイム】 |
自宅発(1:05)==湯元県営P・スキー場口(3:30)−−上部第4リフト降場(3:50)−−外山下の尾根(5:07-5:13)−−天狗平2325m(5:40)−−前白根山(6:03-6:10)−−白根隠山・東峰2385m(6:45)−−白根隠山・西峰(7:00-10)−−白檜山山頂(7:30-7:40)−−2296峰(8:12)−−錫の水場入口2170m(8:44)−−錫ヶ岳(10:00-10:15)−−錫の水場入口(10:50)−−2296峰(11:55)−−白檜山−−白根隠山・西峰(12:40-55)−−白根隠山・東峰2385m(13:10)−−前白根山(14:00-14:05)−−天狗平2325m(14:20)−−外山下の尾根(14:34-14:40)−−上部第4リフト降場(15:15)−−湯元県営P・スキー場口(15:40)==南河内町リフレ・(風呂)着(17:30)==自宅 |
【地 図】 1/25000図 男体山/丸沼 |
【所在地】 日光市・群馬県片品村 |
【天 候】 朝曇り・風強い 日中晴れ・微風 午後曇り風強い (気温)朝5゜C/日中10゜C体感肌寒い |
【同行者】 なな |
【ストーリーの始まり】 |
いよいよ錫ヶ岳に挑戦。 私の20歳代には錫ヶ岳はとても行ける山ではないと思っていた、そして現在その錫ヶ岳が視野に入ってきた。 この山をピストン出来たら薮山仲間入りできるか。 栃木273山の著者、倉持裕至氏も夢に見た山と書いている(1997.5.29の頂)。 どんな山だろう、烏ヶ森の住人さんのHP(2002.8.26頂)を参考に計画を立てる。 フーセンさんのページも見た。 山行時間約12時間長丁場である。 以前足尾から皇海山往復で14時間歩いた。 前日11時就寝2時間軽く寝た、目覚めると直ぐ車のエンジンを掛けた。 |
【日 光・湯 元】 |
中禅寺湖畔をスピードを上げて走る深夜午前2時25分。 丸山の金谷ホテル手前のカーブに人影と車がある釣り人だ。 釣り人も夜行性である。 赤沼は星があるが真の暗闇だ、音も走行音しかない。 中禅寺の二荒山神社から湯元まで10分で来た。 先週の5/3は金精道路は雪崩で閉鎖だったが、途中の案内板で5/5に開通となっていた。登山口はやはりいつもの。 白根山は湯元に限るがいつもの合言葉。 湯元の駐在所前の県無料駐車場に止まった。 4時には空が白んで来る、準備にかかりヘッドランプのスイッチを入れ深夜の湯元の街を歩く。 白根山登山口の標識と登山者カード入れが目に入る。 カード入れのポストを開けてカードに目標山名、錫ヶ岳と記入。 ちょっと誇らしくも引き締まる、いよいよスタートだ。 深夜に闇には多数の光がこちらを見てる。 ヘッドランプを回りに向けるとあちこちで目が光る怖がりには恐怖だろう鹿だ。 こちらには強い味方がいる「なな」である、ななも落ち着かないようだ。 綱をはづしたら鹿を追って夜中スキー場で運動会だろう。 雪のないスキー場の草原を歩く真の闇でランプを頼りに歩く。 第4リフトの所の雪だまりの雪の量が前週の1/3になっていた。 |
【前白根山・白根隠山】 |
前週より白根沢左の尾根道は快調で歩ける。 東の大真名子山の上が赤くなって来た。 暗くて天気は解らない。 真っ赤な太陽がちょっとだけ顔を見せて、雲の中に昇っていった。 掘れた道を上がり外山下の尾根に着いた。 尾根はまだまだ大量の雪がある。 一週間でもここはあまり変わっていない。 ななも先週と同じ所だと解っているのかどんどん雪面を駆け上る、それを追って先を急ぐ。 いよいよ天狗平、空がますます明るくなって来た。 ここで外山の山容をカメラに納める。 |
![]() 白根山と解け始めた五色沼 |
ここまで来れば前白根までは、もう少し出来るだけ早く着きたい。 風も止み雪の壁をピッチを上げて進む。 ピークの林を抜けると白根山が青空に静かに今日もどっしりと座っている。 もちろん上だけしか見えない、前白根に急ごう。 植物のない裸地の岩場を走るとすぐに前白根の標識に着く。 白根山が沼と一緒に一つの絵だ。 |
五色沼の氷が割れ、半分ほどの水面が瑠璃色に五色山を映している。 五色山へ向って鹿の群れがピョーンと跳ねていく。 ななも鹿の速さにただ見ているだけである。 おにぎり1個で少しだけエネルギーを補給再び前進。 避難小屋分技を過ぎ、観測小屋が雪から半分出ている。 一週間前は屋根だけ見えていた。 その後1mくらい解けた雪解けは急ピッチのようだ。 白根隠山の1つ目ピークを過ぎもう一登りで、次のピークの2385峰(東峰)に立つ。 今日はこれから徐々に白根山の東から南西からの姿が見られ楽しみである。 ナイスな写真を存分に写そう。 隠山の東峰から西峰まで15分で着いた。 いよいよここからが未知のルートである。 前週の偵察はここと白檜山間の地図の崖マークが通れるか知りたかった。 確認したらぜんぜん問題なし拍子抜けである。 しかし雪の量が多いのでストックも持参した。 西端のガレ場を降りると、踏み跡が続く岩場の道、尾根を巻いて北側を通る。 岩場を過ぎると大雪渓が目の前に立ちはだかる。 白檜岳に向って尾根の白い帯が長くつづいている。 雪は尾根だけでなく一面銀世界である。 尾根の栃木県側に6mくらい積雪があり雪の回廊を作っている。 群馬県側は樹林で雪の量が少なく歩くと足が股下まで刺さる。 所によっては雪のない所もあるが僅かです。 【白檜山】 雪の回廊は下りは傾斜にもよるが、走ってくだれる快適さである。 しかし登りは一歩一歩ビッチを切らなくてはならない所もある。 どちらかと言うと隠山から錫の水場までは下りである。 白檜山までは30分で隠山から着いた。 白檜山山頂は広くどこがピークか解らない、大きなシラビソが雪で枝を折られ無残である、立ち枯れそうなものもある。 トタンの派手なマークも雪からちょっとだけ出ている、前週だったら雪の下であったろう。 ここまではマークは雪の下でマークは無かった。 ここから小田代ヶ原方面が良く見える、大岳も下に見える。 遠く2296峰の肩に錫ヶ岳が少しづつ大きくなって来た。 白檜山からまた雪の尾根を下る、楽しい雪遊びのような歩きである。 2296峰の峰に着く、雪で太い木が倒れ枝が折れている。 折れた木で通行出来ず、下がって巻いて通る。 2296m峰のピークは樹林の中ここは積雪が多く全くマークはない。 地図をたよりに感で歩くが、ここはむずかしい支尾根はないので良く見て歩けばルートを外す事はない。 【錫の水場】 2296峰からひたすら下って行くと、樹林の中に雪の少ない鞍部があり、錫の水場入口に着く。 まだAM8:45だが気がせく。 前に急な雪の斜面が立ちはだかって居るのと、帰りの各ピークの登りを考えると一刻も時間の無い心境だ。 積雪8mぐらいだろうかとにかくすごい雪、水場の樹林を過ぎると白の世界が開ける。 ここからジグザグにステップを切って雪の傾斜をひたすら登る。 途中に一部雪が無くひざ下くらいの急な笹原がありを笹をつかみながら直登する。 |
![]() 御料局三角点 |
約1.5時間笹原と雪の斜面を登りきると樹林帯に入り足が刺さるようになり傾斜がゆるむと、錫の頂上に近づく尚もピークの標石(三角点)を探す。 ほどなく県境尾根が続く下る所にそこだけ雪がなく顔を出している標石を発見した。 「なな」も元気に三角点を踏んだ。 【錫ヶ岳】 標石は御料局三角点標石だ、国地院標石は見えない雪で見えないのだ。 近くにトタンに錫ヶ岳2388mのプレートを見て来たなーとやや安堵した。 AM10:00到着だ。 山頂からの眺望はわずかに南側に開けた県境尾根の方向には皇海山が望める。 その前に三俣山、宿堂坊山、2077m峰があり、中禅寺湖方面には柳沢林道終点ガレた先に大岳も見える。 深いなー日光足尾で一番深い所なのだ。 |
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ここで羊羹をななと食べ水を飲み、一休み今日最後の白根山の姿をカメラに納め湯元に向う。 天狗平付近の雪の上に、靴を滑らせた跡があり真似てスキーのように下りる。 ななは雪を避けて林の中を歩き始める。 外山下から掘れた道を下る。 第4リフト降り場で空からポツリ、時間も15:15あと少しで12時間になる。 急ごうと、スキー場の草原を急ぎ足で下り歩く。 湯元のスキー場登山口で登山届書を箱から朝投函した届書を取り出して無事帰還と書いた。 車に戻ると雨がザーと降り始めた。 |
![]() 錫ヶ岳山頂 標石は御料局三角点 |
【ひとこと・つぶやき】 マラソンの有森さんが「自分を褒めてやりたい」と言ったがその心境であった。 ふつふつと充実感が湧き上がって来る。 その味わいが山の魅力なのだと思った。 実に良い一日だったこの山に感謝する。 白根山の姿を180°見るコースが一つ増えた。 栃木県境歩きにも少し伸びた。 また今日の錫ヶ岳を一緒に歩いた「なな」は本当にすごい犬と思った。 単独行と違って「なな」と一緒だとこんなにも心安らかに歩けるものなのであろうか「なな」に感謝である。 帰りの車の中でふーと息を吐いて「なな」は眠りについた、気が張っていたのだろう「山部が褒めてやりたい」がんばったのだね。 |
![]() 白檜山からの白根山 |
![]() 白檜山の入口の門柱(柱状節理) |