奥日光の県境尾根への顕著な尾根である大岳からの尾根を歩きました。
赤沼から大岳1343.4m・1919m峰2320m峰(県境)白桧山2394m・
県境歩き(白桧岳〜白根山鞍部)五色沼・
五色山 2379m・中曽根から湯元

              白桧山頂の南東斜面のミヤコ笹原  撮影:大岳からの尾根
【山行日】 2006年 9月 9日 (土)
【同行者】 
ノラさん、山部
【天  候】
 
晴れと曇り 午後は日光はガス
【山 域 ・所在地】  奥日光日光市 群馬県沼田市
【地  図】 1/2.5万図地理院 ・尾瀬、男体山
            地図(大岳)  地図(白檜山〜白根山) 地図(五色山〜湯元)

   
【参考ページ】   同日、白根山周辺を歩かれた『烏ヶ森の住人さんのページ』はこちらです。
            同じ尾根を歩かれた、貴重なページです。
              『ふーせんさん』のページはこちらです。  『日光稜線紀行さん』のページはこちらです。

【関連ページ】   大岳はこちら、 白根山はこちら、 栃木の県境尾根はこちらです。
           06.08.14の前白根−白根隠山−白檜山−錫ヶ岳ページはこちらです。
           XTERRA スクランブル(山岳レース)のページはこちらです。

【コースのタイム】
   ( −− 県境 )
自宅発(0:00)==鹿沼IC・清滝IC==赤沼(2:00-4:30)=(バス)=
小田代(4:40)−−西の湖入口(5:25)−−大岳取付(6:05)−−大岳(7:35-55)−−1919m峰(8:40)−−2020m付近赤岩沢側薙上部(9:00)−−2190m付近ツメタ沢側薙上部(10:00)−−県境尾根2020m峰(10:50)−−白桧山(11:20-25)−−白根山と白桧岳の鞍部(11:50-55)−−カール(12:00-40)−−避難小屋(12:55)−−五色沼(13:10)−−五色沼・山・池分岐道標(13:18)−−五色山西・沼池山分岐・県境(13:40)−−五色山(14:15-20)−−国境平(14:45)−−湯元(15:55)==赤沼(16:20)==やしおの湯(清滝)==清滝IC・鹿沼IC==自宅


【県境尾根歩き・奥日光の県境への尾根歩き】
 白根山前後の県境が残っている、山頂前後のアプローチだ。 今回、赤沼から県境まで歩きその後少しでも残りを歩きたい。

奥日光(戦場ヶ原周辺)の県境への顕著な尾根は、@湖上山から外山への尾根、A白根隠山から半月峠への尾根、B大岳から1919m峰から白桧山への尾根である。C2077m峰から林道終点への尾根があり、その他に宿堂坊山などから派生する尾根など県境から多数ある。 今回はBの大岳からの尾根を歩いた。

       
  早朝の林 西ノ湖入口周辺               大岳の標石はダケカンバ抱かれて    

赤沼=小田代ヶ原〜大岳
 この日の関東地方は局地的に大雨であり、天候を心配しながら家を出た。 夜中の道を眠い目をこすりながら赤沼へ着き、バスの発車時刻に合せて仮眠する。 ガヤガヤと周囲がして写真家が集まりだし、目が覚めて山仕度をする。 バスはあっと言う間に小田代ヶ原の停留所に10分たらずだった。 ヘッテンを案内に歩き始める自分達だけが山に向かう、残りの方々は「貴婦人」のある湿原に向かったようだ。 ここから弓張峠を越え長い下り坂を千手ヶ浜へ歩く。 うっすらと上空が白んできた、シラカンバと白い下草の暗い林が輝きだした。 バス停の西ノ湖入口には小田代ヶ原停留所から45分かかって着いた。 休むことなく柳沢林道へ入る、大岳からの尾根の1502.4m三角点峰を巻いて林道を柳沢川に沿って歩く。

先日(2006.09.02)錫ヶ岳の帰りこの道の大岳の下でH@上三川さんにお会いしたなー、早足で追いつかなかったなー、などと歩きながら今日の大岳に思いを巡らした。 川に砂防ダム(突堤)が見える林道が広くなった所で小休止した。 対岸の大きな尾根が宿堂坊山の1707m尾根の先端になる所である。 今日の柳沢川の水量も少ない、宿堂坊から降りて来ても渡渉には問題ないだろう。 さて、いよいよ大岳へ取り付きである、以前は取付点の所に「落石注意」の標識があったが今は無い。 今回は大岳山頂と1605m点を結んだ延長線上の尾根から取り付いた。 前回の大岳の時より200m手前である。

 ゆっくりと高度を上げていく下草の無いガランとした樹林帯で薄暗い、GPSからは衛星が補足出来ないとの警報音が鳴る。 1500mからは鹿道をたどることとなる、見慣れたシャクナゲがぽつぽつと現れると1605m点のシャクナゲの密薮となる。 初めて大岳に向かった時は密薮を強行突破したが、最近は目が肥えて鹿道が見えるようになってきた。 1605m点はあまり高度を上げることにとらわれずに東側の鹿道を使って巻くと簡単にその先のヤセ尾根に出られる。 後はズート鹿道を歩き大岳から南へ伸びる尾根を東側の小薙(ガレ場)の横を登る。 高度が上がるにつれて急傾斜になる一度ガレ場の反対側に渡ったが結局戻ってガレ場の左側を登る。 頂上は以前より倒木が少なく歩きやすくなったようで、大岳にも沢山の人が来るようになったようだ。 ダケカンバに抱かれた標石に着いた、東側の樹木が消えたように思う視界が開けている。

      
       1919m標高点付近                 錫ヶ岳 撮影:2000m付近ガレ場上部付近        

核心部の尾根・大岳〜1919m峰〜県境尾根・白桧岳
 前回の大岳に来た時に山頂の北のピークまでいって見たがシャクナゲとコメツガの薮に戻ったことがあった。 今回はそこを突破した強引だった。 ピークを確認してシャクナゲ帯を一旦下ってピークの裏に回り込む。 ここで1741m点からの尾根を合わせて県境に向かう。 ありがたい事には鹿道がある、道は先ほどの密薮の西側下方を巻いていた。 鹿はあそこまで高度を下げていたのか。 ここからはさほど急な傾斜も無い快適一本尾根で頭の中にある地図で十分である。 密なシャクナゲ薮有るがこの程度は問題ない、一度鹿道と別れて歩くが自然とそのうちに鹿道に出てしまう。 『藪が出てきたら鹿の気持ちになってルートを探せば』の自然体の心境で歩くと道が見える、その道が鹿道である。

 尾根の中間地点である1919m峰に着く、ここから見ると真西にどっしりとした錫ヶ岳がある、薙の爪跡の無いおおらかな山容で私的にはここからの錫ヶ岳が一番美しいのではないだろうか。 同行のノラさんもシャッターを切っていた、早立ちなので腹も空いたのでザックを下ろし小休止となった。 大福を食べてエネルギー補給デザートにノラさんから梨をいただき口がさっぱりした。 さてこの尾根で両側が急峻なのはこの1919mの峰付近である。 特に南側は樹林に覆われて見えないが赤岩滝付近で垂直な岩壁になっている所である。 出発である、特に急な所も無く1919m峰から少し下りだらだら登りに入ると、ゆったりとした広い倒木多いの樹林になる。 ここでやや右に方向の高みに向かえば県境に進むことになる、この尾根で方向を間違えるとすればここだろうがそれほど気になる所でない。 この真下に赤岩滝がありこの先は赤岩沢とツメタ沢の上部の薙に挟まれ尾根となる。 しかし尾根は割合と広く両側は気にならない、かえって周囲の景色が得られるようになる。
     
県境尾根の笹道から白檜山を見る                              白檜山        .

 やや急な傾斜を登ると突然左の視界が開けた薙の先端部に出た、錫ヶ岳が真近にあるここはこの尾根の展望台のようだ。 地図の薙が尾根に食い込んでいる所なのだ、現在地が明確になると先を読むようになる県境まであと高度差350mくらいである。 歩くにつれて県境の尾根が近くになる、男体山も戦場ヶ原の上にどっしりと見える。 さらに登り笹が見え出す、先に大きい赤布が二つ見える近づくとスパッツであった。 痛んでいないので忘れ物かと思ったがそのままにして置いた。 尾根全体が密生した笹原になると斜度も急になりスピードが落ちる。 高度2170m付近でツメタ沢側の薙のガレ場が接近してくる、その先には見上げれば白檜岳の山頂が時折ガスに隠れるが見て取れる。 薙の彼方には先ほどの男体山が白根隠山からの尾根に半分隠れている。 実に清々しい眺望であり快適な尾根である、しかし笹原は歩きづらく何度も小休止しながら山部は九十九折に歩く。

 いっぽうノラさんは鹿道を上手に拾って快調に見える、どうも強引さと繊細さの違いのようだ。 それでも一歩また一歩と足を出した分だけ高度も上がり、県境の稜線があと少しの所まで到達した。 白檜岳の写真を何枚か撮影していたら、ノラさんから『観音様に似た枯れた立木がある』という見るとそんな感じもする。 それを目標に進み栃木群馬県境稜線にたった。 ここまで歩きはじめてから実に5時間10分を要した、ここの風は快くここでしばらく一服した。 ガスが切れ目の前に大きな白根山がドーンと聳えている。 南からの眺めである、白根山の南側の大きな薙はVの字の形であり、その右が今日の二つ目の目標である県境の通る所である。 ここからは稜線上にトレースされた道があり、笹原なれど足への負担も無く稜線散歩を楽しみながら歩く。 遠くなっていく錫ヶ岳を何度も振り返りながら、今来た尾根をなぞるように見ながら広い白檜岳に立った。

 
      
   白檜山から見る白根山                          白根山との鞍部に下る・ノラさん


白桧岳県境・鞍部〜カール・避難小屋
 栃木群馬の県境尾根の中でもこの周辺は樹林ではなく背の低いミヤコ笹で快適な所である。 その中でも白檜岳はその中心の峰、日光湯元から白根隠山を経由でここまで来るのが変化に富んだ良いコースだ。 稜線の夏の縦走路は白檜岳の上で90度屈曲している、しかし積雪時は屈折せずに尾根を真っ直ぐに通して歩く。 ここから縦走路は県境と分かれて稜線上を進み白根隠山へ向かうが、我々は白根山へと続く県境を歩くこととする。 白檜岳山頂から北側へ回り込むと大きなツガの木があり一見御用松のような枝ぶりである。 その木の下が白根山との鞍部である、地図で見ると下方には鞍部を挟んで群馬側に窪地があり、栃木側にはカールがある。 急な斜面は水を含んで滑りやすいコケ類が青々しく生き生きとしている。 そこにも鹿道だろう獣道があり濡れた土にはカモシカの足跡がくっきりとついている。 倒木を乗り越え鞍部に下りた、群馬側には水の無い沼、いや湿地(窪地)がある。 栃木側のカールは明るく快適そうだ、目を引くのが白根隠山の大岩壁である。 白檜岳からの縦走路からではほんの一部しか見えないが、西側からは迫力のある岩肌が垂直に立っている様は圧巻である。

 鞍部から白根山は見えない、鞍部の上には2353m峰がある。 鞍部から直登を考えたのであるがここも巨石の岩場であり今日はカール通過も目的にあり白根山頂下から鞍部間の県境は次回とした。 鞍部からカールへは笹原を下る事となる笹の中には多数の岩が隠れていてつまづきながらの下だ。 2353m峰からの巨石の落石が所々にありオブジェのようである。 カールの中は深い積雪で僅かな草しか無く砂礫地となっている。 カールの底から20m上から樹林となりその上は隠山・西峰は岩壁であり、東峰は頂上下まで色づきだしたダケカンバの樹林となっている。 2353m峰は巨石と樹林で不安定な大岩や石が多数見られる、白根山は樹林となっている。 カールは白檜岳の下が一番深く2200mで、隠山東峰下で20m上がって2220mです。 そこから避難小屋のレベルへはさらに4,50m登らねばならない。
      
鞍部から群馬側の窪地を見る                    白根隠山を鞍部から見る
      
山部、カールの中の大岩にて                    カールから白檜山を見る
 白根隠山東峰下のダケカンバが枯れたように見えていた、よく見ると紅葉が始った所のようだ。 一週間前の8.27に白根山から見た隠山は濃い緑の山であった、ここではもう紅葉が始まる時期なのである。 東峰のダケカンバの下草は黄色一色に染まっていた。 安心なのは「オオハンゴウソウ」でなくて、「アキノキリンソウ」であった。 「オオハンゴウソウ」は外来植物で駆除対象になっている、菖蒲が原スキー場が黄色に染まっているが「オオハンゴウソウ」である。
 カールの底から上がって避難小屋に向かう今日はまだ山中で誰にも会わない、白根山の登山道には小さくハイカーの姿は見えるが、白根山と避難小屋を結ぶ道に出る。 ここには人口物である道標があるなぜか人懐かしい、出迎えてくれたのは鹿である。 近づいても草を食んでいて逃げようとしない、若い家族のようだ五メートルくらいの距離になってようやく道を空けてくれた。 先に避難小屋が見え人影が見えた。
      
白根隠山東峰下部のダケカンバの紅葉始まる             草を食む鹿たち 避難小屋先道標近く   .



避難小屋〜五色沼・五色山〜国境平〜湯元】(長野の健脚軍団に遭遇し、中曽根を駆け下る) 
 いつもの道に出て避難小屋の前から五色沼へ向かう、今日は県境−五色山の中曽根を下りたいので前白根山へは行かない。 先日の山岳マラソンの案内板は撤去されて何も無くいつもの道になっていた。 今日の沼の水はエメラルドグリーン色だ、相変わらず水かさは少ない。 平野部ではけっこう雨が降っているような気がするが、まとまった雨は降っていないようである。 沼の端の道標の所から五色山への道に入る。 前白根、隠山、白檜岳の尾根をガスが東側から尾根越えているのが見える。 今日我々が歩く時はガスがなく快適だった、1,2時間後にガスが覆っている。 登り始めて高度が上がると白根山が真近に見え、沼の縁を歩いている人も手の届きそうな所に見える。 ヤッホーと声を掛けると帽子を振っている。

 シラネアオイの保護柵に下りる弥陀ヶ池からとの合流点に着いた。 ここから県境が沼と池との鞍部まで通っている。 池の方からにぎやかな話声が聞こえてきた。 ちょっと待っていると三人の女性が上がってきた、長野から来たというまだ歩き始めたばかりのような感じに見えた。 お先にと先行して五色山に向かった、途中で3人の家族連れとランニング姿の人とすれ違った。 五色山手前の小さな沼があった、以前何度も歩いていたが見ていたのだろうが記憶に無かったので今回はよく見てきた。 五色山頂の標識、境界杭の石杭があった、その杭には「上野国」「下野国」と彫られていた。 さらに前白根よりに新しい石杭がある。 いくつかのケルンも積まれている、ここから見る前白根山は立派な山に見えた。 白根山が沼に映る写真を撮ろうと角度を見ているうちに太陽の位置が群馬側に僅かに動いたようで影になって無理となった。                                
      
五色沼                              白根山も初秋に
       
カモシカ隊                             どっしり感がする前白根山

 後続の長野の女性に余った水を渡してお先に国境平に向った、自分の中の国境平までは僅かな距離と思っていた中々分岐に着かないので地図を開いている所で長野の女性達に先を譲った。 ノラさんから『もう少し先だよ』とのアドバイスがあり先に進んだ、しばらく下り歩くと見慣れた国境平に着いた。 道標は長い間のご無沙汰中に立派になっていた、休まずにそのまま中曽根の笹道に入った。 先行の長野カモシカ隊に追いつき、先を譲られ先行しばらく歩き下った所で休んでいるとカモシカ隊がやって来た再度パスをして先行してもらった。

 そんなこんなの下りはあたかも自転車競技の団体追抜のような状態になった。 早いスピードで下っているつもりであったがカモシカ隊の女性も付いて来る、今日一日歩いて来たとは思えない。 カモシカ達は今日深夜長野を発って湯元からスキー場、前白根山、五色沼、避難小屋、白根山頂、弥陀ヶ池、五色山、中曽根と歩き湯元だそうである。 凄いなー長野カモシカ隊にはタジタジであった、平らな樹林に入って程なく登山カード入れのある林道に出た会話をしながら駐車場へ向かった。 その後ありがたい事にカモシカ隊の四駆車に乗せていただき赤沼まで送ってもらう、カモシカ隊は明日、男体山へ向かうようだ無事の登頂を祈りたい。 今日の長い歩きの一日が終り、「やしおの湯」に入り快い疲れと眠気が襲ってきた。
 
     冬の国境平                                  今回の国境平

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