
於呂倶羅山からの尾根 |

尾根上から山王帽子の上に太郎山 |
【2193峰へ】 |
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今回は新雪でワカンでも物足りないが踏み抜きを気にしなくても良いので装着する。 もちろんアイゼンとの併用である、しばらくは尾根からの景色に足取りは遅くなる。 時折雲の切れ間から日が差して明るくなる、しかし風は白根山、温泉ヶ岳方向から黒雲を絶えず送ってくる。 男体山はガスに曇っている、尾根からは雪をまとった高薙山を深い谷の先に見られる。 一息ついたあと2193峰へ向う、しばらくはヤセているが問題とならない移動である。 いよいよ2193峰本体に登り始める。 途中に岩場が現れるが以前のルートは覚えているもので立ち木を伝って上に出る。 2193峰の頂上部はやや平たい樹林である。 2193峰の最高点の南端は向わず、北端へ直行する。 峰の中央には吹き溜まりの高い丘が出来ている、これは前回もそうであった。 吹き溜まりの横に噴火口のような大きな穴が開いている。 どうして出来ているか今回も不思議に思った。 相変わらず風雪は強く厳冬期の山になっていた。 高薙山側の北端にはシンボルのダケカンバが主張するかのように一本立っている。 |
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2193峰北端のダケカンバ |

A峰大岩の上 |
【A峰〜B峰〜高薙山へ】 |
2193峰の中央から雪のスロープが高薙山に向って隣のA峰との鞍部まで延びている。 スロープは風が直接当たりアイズーンと吹き溜まりが交互にある。 問題にはなるものでないがコメツガの密生の樹林を進む。 枯れた枝が人の通過した所だけ無くなる。 雪が枝の裏まで付いたモンスターになりきれないのコメツガがA峰に手前に並んでいる。 ミニモンスター間をぬってA峰の大岩に立つ、大岩だと知っているから言えるが今日は岩は全く見えない。 今年の雪の多さ本当に驚きだ。 強風であり西の根名草山方面は雪雲に隠されていた。 A峰は360度の眺望の所であるが今日は遠望が利かず残念である。 日光連山の先に高原山がスキー場の白い筋を見せていた。 その前に川俣のダム湖が緑に見えていた。 A峰からB峰へは雪がより深くなり、直接B峰ピークへ向うのを止めて東側を巻いてピークの先へ回り込んだ。 立木につかまって強引に斜面を上がった。 高薙山山頂はいよいよ手の中にあるように近くに見えた。 吹き溜まりのをラッセルしながら下る。 戻りの苦労を軽減するためラッセルはややジグザグしながら下る。
最後の登りの途中で踏み抜いた、大岩と雪に隠れた樹の間だ。 この大岩の上に乗ると東に飛び出した感じの所で早速カメラで高薙山の頂上部を収めた。 今日今まで歩いた尾根も見渡せた。 スノーモンスターを交わしながら進むと枯れ木の林立する頂上の下に着く。 ここも雪が多く完全に雪に埋もれた上を歩けた雪の多さに驚かさせられた。 コメツガ、シャクナゲの上に無事に通過する、高薙山の頂上部はやや長いが三角点標石は奥にあるが直ぐに着いた。
今日は前回歩いていたルートを覚えていた、ルート探しの時間は一切使わずに効率よく歩けた。
頂上の南端の枯れ木に手を掛けて日光の山を見ながら立ったぞと気持ちの中で胸を張った。 そこからすぐに山名板のある所に行く。 3D山名板は健在だった、そのほかの山名板も以前と変わりなかった。 ブリキの達筆山名板の裏にマジックペンで「DJF 05.03.19」の書き込みがあった。 そのほかAKI山の赤物、
KUMOの山名板、マジックのものも健在であるしかし古賀志山の会は無かった。 雪下の三角点標石は姿を見ることなく低温の風に追われるようにピークを後にした。 |

山名板は変わっていなかった |

DJF 05.03.19さんの書込が最新? |
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【B峰〜A峰〜2193峰へ戻る】 |
戻りは頂上の雪原を東側から回り込みながら南端の見通しの良い所にでた。 そこから薮が埋まった所を拾いながらシャクナゲ、コメツガ薮を通過する。 登りに付けたラッセル跡は歩き易く、帰りにとわざと傾斜を和らげた登りも上手くいった。 ,B峰そしてA峰はパスして巻いた。 2193峰までA,B峰を登り下って北端のダケカンバに戻った。 次に北端から南端のピークに向かった。 足跡も無い雪原は新雪にうず高い深雪である。 南の端のピークで遅い昼食とした。 冬場の昼食はパンだ、湯も沸かさない簡単にする、長時間じっとしない。 今回はピッケルからのテープが手袋に凍り付いて取れないのでインナーでパンをかじる。 氏山さんの差し出したソーセージをナイフで分けて食べた。 ペットボトルの水は凍って飲めない。 刻々変わる天候、風が巻き上げた雪煙が前の峰を覆う、雲の合間から青空も時折見える。 青空に合わせてシャッターを切る。
今回はここから2207峰へ向って温泉ヶ岳への計画である。 雪庇の通過に備えて50mのロープを持参している。 前回に比べて雪も多く条件は揃っている。 視界は遠望は望めないながらも、薄っすらと温泉ヶ岳も見える。
同伴者の氏山さんの様子がへんである。 黙りこんで手を手袋から出して感触を確かめている。 聞くと感覚が無い、色が変わってきたと言う。 手袋の中が濡れている、途中で素手で雪を食べていたので濡れたのだろう。 こんな温度の中手を濡らしたら凍傷になってしまう、手袋を毛糸の物に替えカメラ用のカイロを渡した。 見るからにつらそうだったと判断して高度を下げて少しでも温かい所への移動を決断し戻る事にした。 残念であるがまたしても新たなルートを目指せなかった。 眼前に2207峰が次の機会を約束したような顔をこちらにむけていた。 白根山は終日見られなかった、太郎山、女峰山だけは上空を青空が覆っていた。 |

2207峰 |

三岳 |
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帰路は、刈込湖、小峠へ】 |
2193峰の頂上を南端から中央に戻る、途中にジェット機のエンジンの排気口、火山の火口のような穴がある。 穴から空気が吹き抜けているような感じである。 直径1.5m位有るだろうか、深く底は見えない。 吹き溜まりを巻いて登ってきたトレースに乗った。 風に背を押されるように樹林を急ぎ下る。 直ぐに崖の岩横を通過すると次に新雪の斜面を登りのラッセル跡を横に見ながら直降する。 後は尾根を忠実にトレースを辿る。 於呂倶羅山へ尾根から刈込湖に下った、支尾根の最後は登りより東の雪の緩斜面を快適に下った。 このルートが登りでも正解と思えた。
終日、雲と風の山だったが湖畔に来ると穏やかなものだった。 何枚か写真を撮って湯元に向う。 朝付けたトレースには多人数の足跡が付いている。 湖畔から忠実に戻ったがトレースは50cmの幅で綺麗に踏み固められていた。 グループによる雪のトレッキングだろうか。 少し自慢に思ったのは朝付けたトレースのみが新雪の上に一本だけ延々と続いていた。 逸れている踏跡もなく整然としていた、後に歩かれた方が整然と歩かれたのであるがベストのトレースを付けたと少し自信があった。 整然と踏まれていたので歩き易く快適にドビン沢出合、小峠に着いた。 ここからの踏跡も蓼ノ湖に降りたものはなく本来の三岳山腹の登山道へついていた。 途中には踏み抜きが多数有って乱れていたが順調に湯元にもどった。 朝の雪がすっかり消えてどうしたのかと思うような変わりようだった、今日の山歩きを無事に終えた。 |

小峠 |

湯元まであと僅か |
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