大佐飛山(おおさびやま)1908.4m NO.251-1
残雪のこの時期が最適期、狙うなら今しかない単独で歩く。
【山行日】 2004年04月18日(日)
【山 域】 那須 
【地 図】 1/2.5万図  日留賀岳
        板室
    地図(大佐飛山)A
    地図(男鹿岳)B
    地図(黒滝山)C 
【天 候】 快晴(やや靄が掛かる) 微風 
【所在地】 那須塩原市 
【同行者】 単独
【関連HP】 無雪期の大佐飛山はこちらです。
タイム】
自宅発(4/17 23:30)==鹿沼IC・西那須野IC==百村の巻川木ノ俣林道・巡視路岩原線17号口着(4/18 1:30)仮眠/
ブラブラ梯子・出
(4/18 3:00)−−尾根分岐(3:06)−−百村山−−平成大ブナ(3:25)−−三石山(3:40)−−双子山・サル山(4:25)−−那須見台(4:45)−−山藤山(5:04)−−河下山−−黒滝山(5:50-6:10)−−西村山(6:32)−−大長山(7:35-40)−−1813峰(8:08)−−大佐飛山(8:40-9:40)−−1813峰(   )−−大長山(10:31-37)−−西村山(11:30)−−黒滝山(12:10)−−山藤山(12:45)−−那須見台(13:10)−−双子山(サル山)(13:21)−−三石山(1344)−−平成大ブナ(13:50)−−百村山(14:05)−−尾根分岐−−帰着(14:30)==板室・風呂(15:05)==西那須野IC鹿沼IC==壬生・買物==自宅(18:00)帰着
 歩行時間  11時間30分(休憩含む)

【大佐飛山 1908.4m】

これは大長山

見通しは無い山頂・山名板
【山行動機】
前週と二日前のYoshiさん烏ヶ森の住人さんが日帰りでの踏破の情報に山行を決める。当初から日帰りでは頂上を踏めないと思っていたので感激だ。コースは百村から黒滝山、西村山、大長山、大佐飛山への往復です。黒滝山から大佐飛山は雪庇の尾根があり快適な歩きが出来ました。この時期のみのプレゼントです。しかしもうこの所の気温上昇で踏み抜き発生、残雪の量などその年により違いありです。

【自宅から取り付き】 3:00 〜

深夜11時半過ぎに自宅を出発する。一時間寝てそそくさと百村の林道に向かう。百村山、黒滝山、鴫内山の山行および偵察のため何回か来ているので林道巻川木の俣線の取り付き場所には真直ぐに来た。この場所に来るには百村本田の光徳寺の横から入ると去年の土砂崩れで通行止で取付点の沼原線17号の巡視路のぶらぶら梯子には行けない。最短は板室街道のニューこめやホテルの前の木の俣川に沿って林道に入る。道は途中に砂利の所もあるがきれいに舗装されている。しばらく走ると林道を示す白い杭と沼原線15号の巡視路マークを入ると道は百村山の尾根に取り付き高度を上げる。稜線の所で光徳寺からの登山道を横切る。ここから尾根の南側になり道が送電線をくぐるとブラブラの梯子のあり百村山への最短尾根直登ルートの入口だ。早くついたので少し仮眠をして時間を過ごす。

ぶらぶらの梯子・取付点

三石山

双子山(サル山)

【黒滝山】 〜 5:50-6:10 〜
午前2時半に車を降りて準備を始める。深夜の夜空の星と市街地の明かりが青白く輝いている。おおむね家でパッキングしてきたのでチェックをして出発する。道は黒滝山までは解っている。ヘットランプの明かりを頼りに梯子に取付いた、尾根に上がって百村山山頂らしい所を通過するが暗くて解らず大ブナの所に着いてしまう。25分しか経っていない懸命に歩いたので足元以外は見えなかった。夜明けは山藤山で迎えた。河下山が赤く染まった、山藤山のダケカンバと山頂の残雪も赤く染まった。歩いた事が一度でも有ると気持ちに余裕が出来る。河下山から尾根の雪庇に乗り黒滝山を目指すとあっけなく三角の山名板が目に入る。途中の笹に乗った雪の上を歩いたが、すぐに薮に阻まれて少し薮を漕ぎ出て登山道に復帰する。三度も10m位の薮を通過した。黒滝山で大福と水を補給する。途中靄に霞む幻想的な那須の山を見ると今日の山行の安寧を願っているようにも感じた。

夜明けの那須の山々

山藤山のダケカンバ

山藤山から河下山の朝焼け

朝の黒滝山頂

鴫内山と尾根

西村山

【西村山】 〜 6:32 〜
黒滝山でクォウター(1/4)で一区切りである。黒滝山からは1500mを越えるので雪になる。黒滝山からの下りは石楠花と笹の混じった所であるが問題にはならない。3-40m下ると鞍部の広い原を南側の鴫内への尾根を見ながら、北側の木の俣川の西俣沢を感じながらゆっくりと歩くと南の尾根が消えると西村山頂に着く。ここまでならハイキングでもちょっとだけ薮と雪を感じられるだろう。しかし慣れないと迷うかも知れない、いずれにしても経験のある人との行動になるだろう。山頂はコメツガが目立ち高度のせいであろうかトタンのプレートがなければ通過してしまう所だ。時間は6:32ここまで踏跡は黒滝からの下りは明瞭だったが西村山への上りは消えていた。西村山頂は西側はクマイ笹の薮で、北側は雪原で雪が消えると一面の薮になるのだろう。いよいよ長い雪庇の尾根歩きの始まりである。
写真 西村山の前後の周りの山々

小佐飛山

奥は高原山・中は弥太郎山

長者岳

奥は飯豊山

三倉山

那須の山々

【大長山】 〜 7:35-40 〜
西村山から大長山の尾根は狭いが今は雪庇が有るのでルートには問題になるところはない。一部雪が消えて雪が繋がっていない所も有るが少し笹を踏めば問題ない。眺望は北から東の正面に大倉から三倉山の尾根それにつづく県境の山並みが残雪ですがすがしく見えている。その上には磐梯山、遠く飯豊山も白く雪を纏って見えている。何度もカメラのシャッターを押す。とりわけアップダウンもなく淡々と歩く。大長山の最後の登りになる直前に南、西側の開けた所があって小佐飛山高原山長者岳遠く日光の山々も望めた。ここから見た小佐飛山から長者岳の尾根の様子がよく見えた。一ヶ月前の吹雪と薮との中、尾根を歩いたのが思い出される。ここの尾根と違って小刻みにピークがある尾根で変化に富んでいる。大長山の山頂にひと登りするとコメツガ樹林の山頂にたどり着く。しっかりと根の張ったコメツガの木々の日陰で涼をとる。抜けるような晴天で真夏を思わせるギラギラの日差しで西村山Tシャツ一枚でも汗が流れる。山頂はM形のトタン板が沢山打ち付けてあった。あそこまで有るとゴミとしか思えなかった、M大のものらしいが古いものばかりで少しは安心した。まだ8時前ここで給水して次に歩き出す。

大長山(大佐飛から見た)

1813峰の先から北を見る

大長山からの北尾根

【1813峰】 〜 8:08 〜
大長山からの尾根は広く北に延び、この山域の盟主大佐飛山も姿を現す。北への尾根はコメツガとオオシラビソの混じる人の手の入らない原生樹林が尾根の両側に広がる。大長山もどっしりとした山であるが大佐飛山へ続く北尾根はなだらかなスキー場の林間コースのようなスロープが長く続いている。スキーがあれば楽チンだろう。その北尾根と大佐飛山の中間のピークが1813峰で雪のあるのでピークはほんの少しだけである。日陰にくっきりと足跡が残っていた、二日前に歩いた烏ヶ森の住人さんの物であろうか。ピークの日陰でまたも給水する。Yoshiさんは大長山と大佐飛山の間を約一時間、山部もここまでタイムはほぼ同じである。見通せるだけに距離が有りそうだが歩いてみるとなだらかで歩きやすい。1813峰先の所は枯れた木々が他にない景色を作っている。
【大佐飛山頂】 〜 8:40−9:40 〜
大佐飛山下の鞍部から約30分で頂上に着けた。振り返って見た大長山の姿は大佐飛山以上に立派に見えた。コメツガとオオシラビソの木がダケカンバに変わると大佐飛山に到達した。雪が積もり山名板も一週間前は雪の下だったようだ。取り付けの針金も片側がなかった。山頂の木に巻かれていたビニルテープと針金のみが巻かれていた。それを取り除いた、見通しがないので少し西に行った所の開かれた雪庇に乗って写真を撮った。少し下った樹林の中で動くものを感じた。ちょっとすると登山者だこんにちはと声を掛けると挨拶が返ってきた。少しするともう一人上がって来た。新ハイ川崎所属の平塚のお二人でした。ひょうたん峠からテント泊でここまで4時間とか今日あった最初で最後の人だった。頂上で小休止、大福と豆パン、そしていただいたトマトのうまかった事ごちそうさまでした。山頂では約一時間カメラを持って歩き回った。こうも時間が充分あると気持ちにも余裕もでる。それにぜんぜん疲れていない、歩き始めから高度を1000m上げたのにである。

雪解けの進む山頂

長者岳の上に高原山 ・ 中は弥太郎山

奥が日留賀岳

塩那道路と大倉山の尾根

【下 山】

雪に耐えたコメツガ(米栂)
大佐飛山へこんなに楽チンな山行が出来るとは夢にも思わなかった。こんな時期が山にはあるのである。厳しい一ヶ月前までと打って変わった優しさである。山は厳しい時ばかりではない、こんなご褒美もあるんだ。前週の栗山の明神ヶ岳の敗退の時は結構がんばったが達成できなかった。いろいろあるなー。

大佐飛山からは登りで歩いたトレースをたどって、景色を楽しみながら大長山へのスロープを一人アイゼンでピッチを刻んだ。
(アイゼンを付けなくても問題ないが、ピッチを刻むのに労力を使わずに済むので楽したのである。)途中の西村山の前後は和カンが必要になった何回か和カンのまま股までズボーと足を捕られた。しかしこんな事は問題ないが雪がかなり緩んできている。

大長山には10:31に戻る、西村山に11:30到着する。実はここから鴫内山に行こうか迷ったのである、時間もあるし車の位置もOKなのだ。西村山から南の尾根を進んで1723峰を望める所まで行った。しかし今日は止めようと考えて途中まで戻って、鞍部から黒滝山へ歩き始める。朝のルートを懸命に探すがなかなか復帰できない。朝の踏跡が消えている見覚えのある木があったが消えている。地図でルートを作って木の俣川側に進むと赤布、ペンキが塗ってあった。ここが夏道かなんてつぶやきながら雪の少なくなった石楠花と笹を踏んで上がると程なく黒滝山頂の裏に出た。踏み跡から三角点標石に出る。黒滝山頂からはいったん南側の雪庇に出て河下山へダケカンバの林を下る。笹の上に乗った雪は所々消えて笹が青々しくなっている滑らないようにすれば下りなので問題ない。ちょこっと上ると山藤山に着いた。トタンのプレートの所は朝も雪はなかったがダケカンバの頂上原は一面の雪のままだ。

大長山下の米栂の森・那須山々を遠望
双子山、三石山百村山へ淡々とすすむ。途中三石山からカタクリが咲いていた。ショウジョウバカマも見られた。鴫内山に向かわなかったのは板室の温泉に入りたくなったからである。今日はいつも一緒の「なな」は長距離で時間が不明なので家で留守番させた。途中から花の写真を撮りながらの歩きになった。まだ日も高いが予定通り『板室健康のゆグリーングリーン』で汗を流した。


西村山

黒滝山頂から百村を見る

山藤山

ショウジョウバカマ(紫)

ショウジョウバカマ(ピンク)

シロバナショウジョウバカマ(黄)

回収したマーク

若芽を食べる猿

花に見えた若葉
【ご注意】
山部は今回ツエルトを持って行かなかった、しかしどんな状況でも復帰に必要な歩行具には万全を期した。 もしもの事を考えて山中泊も想定準備はした。 この山域は懐が深いのでくれぐれも細心の注意をしてください。 ご自分でよく情報を集めて無理なさらないようにしてください。 この日も誰にも頂上以外に人には会わなかった。 計画にはくれぐれもご注意ください。
                       

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