台倉高山(だいくらやま) 2066.7m NO.266-4
と引馬峠へ再訪問


初霜の台倉高山
【山行日】 2007年 10月 7日(日) 【天 候】  晴れ 風もなく静かな日
【山 域】 栃木栗山 ・ 福島檜枝岐 【所在地】 栃木県日光市
【地 図】 国土地理院 1/2.5万図 帝釈山
      地図(台倉高山)
【同行者】 黒田正雄氏
【関連ページ】 水準路線


【マイタイム】
馬坂峠3:50− ( 40分)− 鹿の休み場4:30−( 25分)− 三段田代4:55−( 35分)台倉高山5:30-6:10( 35分)−湿原6:45-7:00−( 120分)引馬峠9:00-10:30( 60分 )−越ノ沢南尾根・県境尾根接合点11:30( 50分)−湿原12:20-30−( 50分)台倉高山13:20-30−( 60分) − 三段田代14:30( 20分)− 鹿の休み場14:50( 35分)馬坂峠15:25
この日のコース所要タイム 往路 5時間10分 / 復路  5時間55分  (探索・休憩を含む)


夜明け前


【暗夜の山歩き】
この山域に造形の深い黒田氏と引馬峠への山行である。前夜は風も無く穏やかだった、その分放射冷却で温度はどんどん下がっていた。今回はゆっくり歩きたいので用意が出来次第早く立ちたかった。それでまだ明けきらぬ午前4:50発となった。朝食はパンとコーヒーを軽く取って暗夜の登山道へ歩み出す。台倉高山へは何度行ったかな、覚えてしまった道であるが昼なお暗き樹林の中を早朝の5時前は暗夜航路である。今は整備され階段が作られ途中の沢を越す前後が木の根やらに注意が必要だった。ヘッドランプを手に持って歩いた、1898m峰の南の稜線に出るとやや東の空が白んできたように思える。

私の山の師匠でもある黒田氏は70歳も過ぎてなおバリバリ現役でいつも教えられる事ばかりである。この山を私も黒田氏の年齢になっても歩けるか分からないががんばろう。新しく道が整備され最初の休み場が「鹿の休み場」である。ここでは時間記録にカメラで道標を撮影して、水を口に含んで出発する。台倉高山へのルートでの連続上りは一気に130m高度を上げて2033m峰のまで上がる。ここを登りきれば後は快適楽チンな県境歩きとなる。まだ道が整備されない頃に一人で早朝の樹林をルートを探しながら歩いた事があった。その時に木々に付けられていたマークが不気味で今でもここを通過する時は思い出す。マークにトイレットペーパーを使っていた人がいて、木々に太く白い紙が張ってあるようでどこかの宗教団体のものかと思えるものだった。



帝釈山脈(県境)奥の中央は帝釈山

【モルゲンロードすばらしい】

2033mを越えると空はピンクも燃え出しそうに思えて気がせいた。三段田代の所で朝日が昇る写真を期待して時間を見るがもう少し後のようでここで待とうかどうするか思案する。今日の三段田代の湿原は枯草に霜が降りて白くなっている、ここに朝日が当ったらさぞ綺麗だろう。時計を見ると日の出はもう少し後だろうか、黒田氏から次のピークへ先に行ってもいいよと言ってくれたのでお言葉に甘えて一人先を急ぐ事にした。走った2030m峰で見えるかと思ったが、県境尾根と2033mから派生尾根に遮られだめ更に先を急いだ。台倉高山の北に対峙する2060m峰の巻き道で見通しが利くがここまで来たら山頂まで走るしかないだろう、最後の末足を利かせて一気にと思ったがやはり息切れた、20秒ほど休んで東方を見ると大分明るくなったもののまだ日は見えない、最後の力を振り絞って頂上にたった。

ランプを今来た方向に振って黒田氏にここまで先行したと伝えたかったが伝わったかは不明であった。ザックを下ろしてカメラを準備する。周囲の山々はまだ暗い影に包まれて今か今かと日の出を待っているように感じた。日光連山、高原山、明神ヶ岳、特に燧ヶ岳、会津駒は待ちわびているようである。
日の出である、空をピンクから輝く赤に染め丸い太陽が彼方のに輪郭を現すとそのスピードを上げてあっと言う間に大地から宙に浮いた。朝靄に包まれた高原山と明神ヶ岳の上に昇り周囲の山々を赤くする。県境尾根の影が燧ヶ岳の裾野を暗くしている。赤く輝き燃える朝日に山々が起きだした、紅葉に染まり始めた山々を染め上げてきた。


高原山・明神ヶ岳(中央)

燧ヶ岳

【越ノ沢湿原】
黒田氏が台倉高山に上がって来た、少し休んでピークから笹に隠れた踏跡を下る。南の越ノ沢の源流部湿原へ途中は笹薮を避けて拾い歩きで鞍部に下るが笹を避けすぎてやや越ノ沢側にブレた。少し薮を漕いで湿原へ出た。霜で白い、氷が張っている真っ赤に紅葉している木がある。秋を感じ直ぐそこにやって来た冬に凍えた湿原である。湿原は地形図にも記載あるもので三段田代より大きい数ヶ所に分かれている。


湿原から見る台倉高山

凍える湿原・今年初めての氷を見る

【引馬峠へ】
湿原から小沢を越えてブーメラン尾根(1895m峰)は密な笹薮がありここを避けて通過しなければならない、ブーメランの西の稜線に立ち前回ルートの稜線を歩き、古道ハイウェーへ下りる。稜線から南側に下れば古道があるのは分かっている、下ろうと思ったが少し進んで激薮なので下りをやめた。

古道ハイウェーとは、引馬峠と越ノ沢ルートを結ぶ標高1900mの樹林の中をほぼ直線的に残る古道である。今回もこの道を歩く天気の良いからか昼なお暗き樹林帯と思っていたが今日は明るい。道には倒木が増えた枯枝もある、前週よりも多いいつもの清々しい県境の道だ。峠に近づき道が消えた勘でやや右に少し下ると沢が現れたがちょっと違う感じである。GPSで確認すると大きく外れて火打石沢を越えてしまったようだ、どこかで見た雰囲気の斜面に出たがここが水準点のある場所ではない。思い出してみるとなんと孫兵衛山への県境尾根への取り付き点であった。広い引馬峠の西側を横切ってしまった現在点が分かったので水準点へ真っ直ぐに歩き到着した。
樹林の中を真っ直ぐに貫く古道を歩く黒田氏


【引馬峠水準点】
標石の所に新しい峠名板が掛かっていた。二本の木に赤のビニルテープが幅広に巻かれていた。訪問者があったのだろう、案内板が掛かっていても中々見つけられないそんな不思議な場所なのだ。ここまで来られて見ずに戻るのは忍びないだろう、昔の古図にも明瞭にある道であるが昭和になって消えた道の峠に、何を思って皆訪れるのだろう言わずもがなであろうか。

今回は峠の点の記を手に入れたのでその中に記してあった小屋の場所を探索に来た。標石から70m檜枝岐寄りに小屋があったとある、巻尺を持参したので測ってみると、錆びたプレート・ビス止めプレートの手前の所であった。小屋は錆びたプレートの10mくらいの所のようなので笹を刈り払ってみたが何も無かった。割れた湯飲みでも落ちていればと話ながらの探索であった。約1時間半くらい峠に居たが収穫はなかった。

戻りはハイウェーを歩きブーメラン尾根の先まで歩き、越ノ沢ルートと別れて湿原に戻った。湿原の午後は霜も消え春を思わせる湿原であるが、木々の色づく紅の葉を見ると直ぐそこに冬の近づく気配を感じた。台倉高山で郡山からの単独者にカメラのシャッターを押してもらった。台倉高山からは往路をそのまま戻った。台倉高山から馬坂峠間の全てのマークを撤去した、収穫は約1kgである。(整備された道にはマークはいらないでしょう。)
今日の峠は明るい感じだった。 回収したマーク


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