栃木県境尾根(山王峠〜1131峰)
国道352号藤原町横川・山王峠から西に1131峰まで。下山は高土山・八総へ

芽吹き時萌黄の色は目にやさし 会津の峠石仏が待つ
【山行日】 2005年 5月 1日(日) 【天  候】 晴、曇り/日中 微風
【山  域】 県境(山王峠) 【所在地】 栃木県藤原町
【地  図】 国土地理院 1/2.5万図  男体山
       地図(山王峠) 地図(1133.8峰)
       地図(山王トンネル上) 地図(1131峰)
       地図(高土山) 
【 メンバー】 Satoさん、烏ヶ森の住人さん、山部の3名
       
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【関連ページ】
       荒海山 03.10.04


【コース所要タイム】
横川山王峠駐車場−( 20分)−旧道峠上の石仏−( 40分)−雨量観測ロボット小屋−( 30分)1133.8三角点峰−( 20分)−1062峰−( 25分)−野岩鉄道・山王トンネル上( 60分)−1173.9三角点−( 40分)−1131峰・分岐−( 30分)−巡視路−( 14分)−鉄塔(下郷線68号)−( 5分)−高土山−( 10分)−鉄塔(下郷線67号)−( 25分)−旧八総小学校( 10分)−駐車地・帰着(置車)==横川山王峠駐車場       歩行時間 約5時間30分 (通過時間は文末に掲載)

山王峠の石仏

高土山

【メンバー紹介・栃木県境山歩き】
 気の合う山仲間との県境歩きである。 共に栃木の全山歩きの最後の山を一緒に歩いた「Satoさん」、栃木の尾根歩きこだわりの達人「烏ヶ森の住人さん」と3人で歩いた。
 あっという間に雪も消えて芽吹きの木々の淡い色どりは視覚的にも良いものです。 県境尾根は人家から遠く深い山並みに踏み込まなければならない。 今回は二台の車があるので高土山近くの旧八総小学校跡近くに置き車で対応した。 あらかじめ知っている人工物は尾根の途中にある、雨量観測施設だけである。 特に今回のルートは踏跡は無く、薮の様子は歩いて見ての対応になる。 薮なれた仲間でスタートは談笑しながらのゆっくりになった。   

【山王峠へ出発】
 藤原町横川の国道121号山王峠駐車場を出発する。 ゲートが掛かった舗装されたくねくねとつづら折れの旧道を歩く、旧山王峠の切り通しに着く。 旧峠には積雪量計の柱があった、冬の積雪量は相当なのだろう。 峠から県境尾根に向う、尾根に上がる途中から踏跡(作業道らしい道)が見出された。 これをたどって進むと道はさらにしっかりとしてきた。途中に石仏がある。 「弘化元辰十一月七日 中三依、施主大黒屋」と刻まれていた。  この道は会津への旧峠道ではないだろうか、尾根を少し行った所で会津(福島)側に下って行っていた。 峠道と分かれて尾根道へは県境は明瞭で、良く整備されているのだと思いながら進む。  

旧山王峠、白い柱は積雪量計

雨量観測小屋

【観測小屋、1133.8三角点峰へ】
 明瞭な尾根道は落ち葉を踏みながら、獣が歩いている痕跡が延々と続く道である。 会津側は何ヶ所か崩落している所がある。 ミズナラと雑木の樹林の清々しい道は整然と続いていた。 石仏から西にいくつかのピークを上り下ると「山王峠無線ロボット雨量観測所(仙台管区気象台)」の小屋がある。 ここまでは明瞭な道があり、県境はこんな調子なら簡単だなーと思いながらだ。 小屋から道は消え踏み跡となりやがて消えた。 獣道も無い獣道あるのだろうが、雪が消えて間もないので木々の枝が尾根を塞いでいる。 乗り越えくぐり払いながら進む、下草は笹であるが苦になるものではない。 談笑しながら歩いていると1133.8mの三角点のある尾根そしてピークに着いた。 ピークからは会津の山々が鳥瞰出来た。 先のどっしりとした明瞭な無名峰が印象に残った。 その先に下山時に歩く高土山側を通る送電線鉄塔が小さく見える。 このピークで全行程の1/4を歩いた。

1703峰の手前で、遠くに七ッ岳

1133.8峰の標石

【山王トンネル上通過まで】
 1133.8mの標石の横に四角い御影石が並んで埋まっていた。 何か意味があるのだろうか。 標石を後にピークを下り始めたたところに後のSatoさんから「M大のブリキ、Mプレート」が落ちていたと声が掛かる。 記名は無い消えたのだろうクギが付いていたので木に取り付け先に進んだ。 尾根を下ると残雪があった、雪の上には直前に付いたと見られる足跡があった。 足跡は肉丘のある12,3cm足形であったが、途中からは2cmの爪が各指に付いたものに変わった。 雪上を走ったのであろう。 熊であるろうか我々に気づき直前に走り去ったようである。 次のピークにはイワウチワが尾根に咲き乱れていた、ピンク、白と2種類と豪華である。 イワウチワはこの先にも時々現れた。

 県境尾根は蛇行しながらほぼ西に尾根を進むが、蛇行が大きくなり南に進路が変わる。 ブナの木が目立つようになると次にアスナロが現れ出す。 1062m峰の一つ手前のピークから進路は南から西に変わる。 ここでトップの山部は西に曲がる所を勢いあまって通過してしまった。 次のピークを越えた所で烏ヶ森の住人さんの南へ進んでいるとの声で西のはずと地図を確認する。 最近手に入れたGPSk操作と能力確認中の新GPSの地図を見てみると、西への屈折点から15分程度南進していた。 こんな時の上り返しは疲れがでるものである、しかし同行者がいると幾分気分も楽である。 屈折点まで戻ると倒木とアスナロの大木に隠された尾根が正解であった。 地図ほど明確に尾根の派生が見られない広い尾根だった。 トータル約30分のタイムロスである。 ややヤセた尾根を進むと5つの尾根に分岐している1062m峰に着いた。

 前に大きな山容の峰が高く見えた、1062m峰から間違えることは出来ないので慎重に尾根をたどって小ピークを何個か越える。 山王トンネルが下を走る手前のピークに達する、ピークは笹が茂る。 ここで小休止である水とパンを一個食べる、Satoさんからミントのど飴を頂いた甘ずっぱい味がした。 山王トンネルは沢筋の下を通っているらしい、深さは解らないが鞍部のちょっと上辺りだろうか。 この辺が予定行程の中間地点のようだ。 

真新しい熊の爪痕の足跡

才ノ沢の刻みが見られた

【1173.9m峰から分岐峰、1131峰、高土山そして八総へ】
 山王トンネルの上部付近の尾根を上がると、どっしり山の北端に登ったここはピークまで進まずなだらかな斜面を一旦下る。 広い緩やかな斜面は倒木と苔の付いた陰気な所で雪も残っていた。 チシマザサの立ち出した尾根を登り始めると一旦は尾根の並行移動となるが傾斜はきつくなる。 胸突き八丁との言葉も出る1173.9m三角点峰は直ぐそこにある。 ピークに近づくに従って背の高いチシマザサは濃くなる一部残雪を拾って歩く。 笹を分けてピークに行くが密生している。 笹を分けて標石をカメラに納めた、丁度12時だ腹減った見回すとピークを少し下った尾根に笹の薄い所が見える。 昼食場所は決った、持ち合わせのもので(おでん)済ませた。 柏もちをいただいた。 山歩きではパンだけなので甘いものは元気が出る。 元気が出た尾根を進むと、見えていた荒海山はだいぶ近づいてきた。 高土山も直ぐそこに送電鉄塔は横から縦に並びを変えている。 尾根のピークを二つ越えると分岐の1131m峰に着く。 ピークから西にやや下ると主尾根は続いていたが、県境尾根歩きのフィナーレを迎えた。 北の支尾根に入る尾根は幼いアスナロ薮である、幸い下りなので救われたが急な斜面と相まって登りなら苦労する所だろう。 鞍部に降りついて見渡すと下に巡視路の道があった。

 巡視路はゆっくりと高土山の山腹を上がっている尾根と分かれそうになる所で尾根に取り付こうかと振り向くと巡視路は頂上直下まで付いているとの事で巡視路を歩く。 鉄塔がどんどん近くなり鉄塔と高土山の中間地点に到達する。 ここは頂上に行かずに鉄塔に向った、鉄塔からの七ヶ岳の眺望をSatoさんが見せたかったようである。 七ヶ岳は雪が縞のように付いていた、アルプスの山並みのような壮観だしばらく3人で見入った。 今日の記念撮影にカメラのシャッターを切る。 この後高土山(1078.4m)の頂上に行き、東側から栃木の那須の山並みを眺めたが春霞に包まれてクッキリとは見えなかった。 後は巡視路を北にたどり、86号鉄塔の下を潜って先の尾根から高度を下げて沢筋をしばらく下る。 終始急傾斜で沢から鉄塔のある小尾根を巻いて北に進み尾根北側から沢を挟んで85号鉄塔が見える巡視路口に下りついた。 元八総小学校跡の水場で冷たい水は美味かった。 校庭でラブラドール犬が遊ぶのを横目に学校のプレートを眺めながら荒海川の橋を渡った。 デポ車(置き車)が見えた舗装道を荒海山帰りの車が走り去って行くのが見える。 今日は心安らかな一日だった良き山の友とを過ごせた事に感謝をして山を離れた。

早春をイワウチワが彩る  

このアスナロはまだまだ序の口

高土山下の鉄塔で

旧八総小学校跡

【忘備禄】
【参考:コース通過タイム】
横川山王峠駐車場( 7:35)−旧道峠上の石仏(7:55-8:00)−雨量観測ロボット小屋( 8:40-45)1133.8m三角点峰(9:10-15)−1062峰( 10:35)−野岩鉄道・山王トンネル上( 11:20)−1173.9m三角点−( 12:00-40)−1131峰・分岐( 13:30)−巡視路( 14:00)−鉄塔(下郷線 87号)( 14:15-30)−高土山( 14:35-45)−鉄塔(下郷線 86号)( 14:55)−旧八総小学校( 15:10)−駐車地(置車)・帰着( 15:20)==横川山王峠駐車場

ご注意】

 山王峠から雨量観測ロボット小屋までなら引き返す事を前提に歩かれる事もできます。 しかしその先は熟達者の領域です。 下記の注意をお読みください。

 
山歩きは、心身も心も共に休まる楽しいものです。 しかし山歩きには思いもせぬ危険も潜んでいるものです。 簡単に考えて下ったら断崖絶壁だったり思っていない所に出たりで、注意しても予期せぬ事に直面してしまう事もあるものです。 その時こそ冷静に安全な行動が求められます。 特に道の無い山は地図を読む、地形を読む技術をは必要です。 難しい所は時には経験者の同行も必要て゜しょう。 山歩きを周到な計画と安全な行動で楽しいものにしましょう。
 
県境尾根は登山道、踏跡も無いに等しいもので薮と樹林の峰です。 山域を歩くには地図読みと薮が苦にならない精神力が必要です。 尾根の分岐は複雑で大変迷い易い危険な峰の連続です。 四季(雪)の難易度も違います。 何の準備も無く安易に近づかない事が肝要な所それが県境の峰、尾根です。 

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