改めて奥の深さに恐れ入る 断崖の上南の高峰 |
【山行日】 2005年 3月 21日(祝、月) |
【天 候】 快晴 朝:気温 朝 −4゚C/日中 微風 |
【山 域】 奥日光 |
【所在地】 栃木県日光市 |
【地 図】 国土地理院 1/2.5万図 男体山
地図(南三岳,1752峰,1703峰)
地図(湯滝,1523峰)
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【 メンバー】 三岳探検隊の3名
ふーせんさん、のみねさん、山部
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【コースタイム】
湯滝有料駐車場−( 7分)−バス停上の小屋−( 55分)−小鳥の巣箱−( 7分)−1703峰−( 50分)−1740峰下−( 30分)−1752峰北峠の上−( 5分)−1752峰(最高峰)−( 1時間 5分)−小屋上の尾根・折れたダケカンバの大木−( 7分)−1703峰東下に戻る−( 10分)−1703峰の東方崖上−( 25分)−1523峰−( 5分)−バス停上の小屋−( 10分)−湯滝駐車地−( 3分)−湯滝−湯滝駐車地・帰着 |

南最高峰 |

1740峰からの「幻の岩峰」 |
【南三岳とは】
「南三岳(みなみみつだけ)」の呼称はわれわれが勝手に付けたものと思っていましたが、聞いたところでは地質学だったか火山学だったか、専門分野でも「南三岳」「北三岳」と呼んでいるそうです。
三岳全体は日光では奥白根山に次いで新しい火山で、ただ「北」と「南」では生成の時期がずれているとも聞きました。
(情報は : ナスノガルータさん、nifty山のフォーラムの談話より)
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【計画・集合・湯滝発】 |
今回の第5次三岳探検隊は山部が呼びかけました。 南で残した1752峰を来年まで持ち越したくないので意を決して呼びかけた。 まじかなので山行日が3連休最後の日で仕事の方も有りて3人となった。 三岳の歩き方を知っているのみねさんとふーせんさんとで安心である。 本日の計画は山部で湯滝から南三岳の西に続く1703峰,1740峰,最高峰の1752峰と歩き、時間によっては1523峰も伺い湯滝に戻る計画である。 3/21朝の戦場ヶ原赤沼付近の国道上は吹き溜まりが出来て地吹雪状態強風の朝だ。 湯滝を過ぎて湯ノ湖兎島手前の道路脇Pでも風は猛烈だった。 しかし温度はそれ程低くなく−4゜C程度だった。 湯滝有料駐車場(冬季は無料)に待っていると、集合場所にメンバーが集った。
湯滝駐車場から各自スノーシュー、ストックの雪支度で出発する。 一旦国道バス停「湯滝入口」に出る。 ここから沢筋に向って林道があるのを知っていた。 しかし道の奥は不明であるツボ足で雪に踏み込んだが雪はしまっていてけっこう歩ける。 小屋が現れる上空には湯元から中禅寺湖畔への温泉のパイプが通っている。 1523峰の北側の沢と小屋から北に向う沢がある。 スノーシューを付け躊躇なく北沢に踏み込む、小屋側では一部見えていた水も雪の下になり積もった雪の沢を歩く。 砂防ダムがあり斜面を歩いて突堤の上に出る。 下を見るとバス停からの道はダムの作業道のようだ。 しかし今は雪でまったく見えない。 沢は直ぐ二又になり左沢に入る、沢の源頭部に近づくと傾斜も急になり上部はもう少し緩むと崩れそうである。 左の尾根筋に回り込むと尾根は雪は飛ばされ氷化してガチガチである。 アイゼンが欲しいがそこを上がり沢の源頭部の上に出る。 この辺が湯ノ湖の滝口の駐車場の東の位置のようだ。 眼下に半分結氷した湯ノ湖と日光湯元の温泉街が見える。 |

上空に温泉のパイプが通る小屋の前 |

沢源頭の折れたダケカンバの大木 |
【1703峰へ】 |
沢源頭部のコメツガの疎林を抜けるとミズナラ、続いてダケカンバの明るい林がある。 ここまでで国道から120m位高度が上がる。 三岳には似合わぬ普通の雪山の尾根である。 等高線緩んだ雪原の先に折れたダケカンバ大木がある。 陽射の好きなダケカンバである、陽も良く射す所だが朽ちたのか途中から折れていた。 途中からトップはふーせんさんに変わった、山部が後尾を行くが疲れて少し遅れをとる。 尾根を上がりさらに130m位上がるとコメツガの樹林の中に小鳥の巣箱が架けてあった。 1703峰の頭頂部のようであるが、巣箱を過ぎると魔境のコメツガの森に入る。 いくつかの小ピークを乗り越え、巻いて1703峰を探す。 一般的な民家の大きさ位の大岩がそこかしこに乗り越えようとすると絶壁の上、戻っては巻き道を探す。 陽射のある空間に一休みをする。 ふと横を見ると風穴をのような穴が窪地にポッカリと口を開けていた。 底は見えない風が吹き抜けているような。 ひと時の至福の時が過ぎて出発である。 この時点で1703峰は巣箱の先のピークだったようで現に通過してしまったようである。(歩いている時はまだ1703mの標高点はまだ先と思っていた。) |

1703峰の手前、巣箱があった |

1703峰の尾根を下ってホッとひと息 |
【1740峰へ】
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1703峰を過ぎ休憩してから標高明示のない1740峰へ向う。 のみねさんを先頭にふーせんさん、山部大岩を巻き急登する。 密なコメツガ林を抜けると倒木を覆う雪の明るい尾根に出る。 先に尾根に立った二人から岩峰が見えると言っている。 一段高い位置に二人が、その下の所から見ると深い三岳の樹林の中に岩峰が上から確認できる。 岩峰周辺の状況がここからだと解る。 男体山がどっしりと背後にある。 岩峰は周りを凹地に囲まれているので地図に記されてより高く感じるのだ。 また樹林に囲まれて1700m以上からでないと外部からでは確認できない。 ここからが手前の凹地もあり全様を写真に収める。
写真撮影の後1740峰に向う、一旦下って岩の重なった尖ったピークに上がる。 狭く下から顔をピークに突き出すと眺望があるが、さっきのピークが勝る。 ここに赤布を取り付けた。(当時ここが1703峰と思っていた。) 北に下ると大岩の上に立って居るらしく下を見ると垂直に切り立ち、対峙する隣のピークも絶壁である。 ここは急降下してルートを探しさらに下ると絶壁がキレットを作る所に出たここは圧巻である。 民家以上の大きな一枚岩が並んで狭い回廊を作っている。 回り込みさらに下ると目の前に南の主峰1752峰が鞍部の先に聳えている。 1752峰の背後には北三岳の三角点峰、中央峰と見えている。 鞍部は雪原に若いダケカンバが陽の光を浴びている。 |

1740峰手前で眺望が |

この絵が欲しかった岩峰、男体山 |
 戦場ヶ原の先に中禅寺湖も |

ここが1740峰・赤布 |
【最高峰・1752峰】 |
鞍部から見上げる主峰南面は雪の無い垂直に近い岩場である。 とても尾根を通してここまでは来られなかった、最後に最大の壁が立っている。 3人で上がれそうなルートを探すが岩場と無理判断、雪がある歩けそうな手前のピークに上がる。 ここからは壁の全容が見える西には壁が続きそうである。 ピークの先のやや右に雪の付いた急な岩場がありそこには木がありそれを使えば上れそうである。 のみねさんがルートを開く山部が続く、スノーシューが邪魔になるが手掛りの無い岩と雪を隙間を利用してあがる。 ロープをのみねさんが出そうかといってくれたがここは我慢のにじり上がりで何とかなる。 ふーせんさんも後に続いて上がる。 この難関を通過して勝負あったと後で分かった。 高度を上げながら北に進むとなにやら見た景色である。 湯元から光徳への道の峠の上に立っている。 下は急になっている樹間からは北の三角点峰の下の広葉樹の白い雪原が見える。 この上のピークが1752峰である、ここからは西に急斜を避けながら高度を上げると頂上に着く。 実は峠を見るまでは1703峰を意識できなく、一つピークを少なく思っていた。 頂上部は5個ぐらい同規模のピークがある。 地図を見ると中央付近に標高ポイントとしているが、南の端のピークが高そうなのでここを最高点とする事とした。 良い場所でここだけは南面が開けて戦場ヶ原の先に高山、中禅寺湖が見える。 男体山、ここからも幻の岩峰も見える。 |

斜面に取り付く |

キレットここの岩は圧巻・南で一番? |
予定より早く湯元から約2時間30分でここまで来られた。 昼には早いが登頂の宴とする事とした。 ザックを降ろしてまず記念撮影である。 取り付け前の手持ち山名板でタイマーでシャッターを切る。 山名板を取り付けて宴の準備に掛かる。 お決まりの酒類撮影のため持参した物をザックから出した。 3人なのに良くも持ってきたものだ、今回はおでんを中心にの撮影となった。 おでんはのみねさんのバナーで充分温め芯まで火の通った物をいただけた。 ビールで乾杯の後は正統ホットワインはふーせんさん、眼前に広がる奥日光の自然を愛でながらの宴はあっと言う間に1時間を過ぎてしまった。 快晴で微風、今日は三岳探検日和である。 南の樹林を見ると黒いコメツガ林に所どころ白い広葉樹の明るい所がある。 これからの進路をどうするかを決める、主たる目的を達成しまた幻の岩峰も見たし次はターゲットは1523峰へ照準を合わせる事にする。 |

岩壁にルートを探る |

1740峰を北から見る |

1752峰ピークで |

写真+ホットワインで大休止 |
【1752峰から東の窪地上に〜広葉樹の丘を越えて南下する。 1353峰そして湯滝へ】 |
往路は西の尾根を通して北の1752峰まで歩いた。 復路は南の中央やや西よりを明るい広葉樹林を南下して出来るだけ直線に1523峰へ。 まず1752峰の小ピークの林立する中を横切って東に進む、途中頂上の南側をのぞくととても降りられそうに見えない。 下りなので無理する事はない、下りのトップはふーせんさんで上手くルートを見出して岩の間を下る。 ここはあまり下り過ぎると峠道と凹地に下りてしまうので斜面をトラバース、1740峰と1752峰の鞍部からの沢形を越えた。 やがて先に明るいダケカンバの明るい雪原が現れる。 1698峰からの広い雪原をがゆったりと広がっている、ツボ足の踏み跡が僅かにある直ぐに消えた。 快適に広がる雪原良い所は山部がトップに、雪はべたついて重いアップダウンを何度か繰り返しながら南へ進む。 彼岸なので太陽の昼の中天は南である。 午後1時頃なので木々の影のやや左方向に進むのだろう。 快調に進むと1703峰の尾根の南崖上に到達する。 |

南を鳥瞰してルートを描く |

陽だまりスノーハイクの感じ |
ここで小休止する見ると前は100m位急激に下っている。 そのまま進むことは出来ない山部の提案で1703峰の尾根は直ぐそこなので様子を見に尾根に上がる事を提案する。 のみねさんは南はあちらだからと思っていたが、尾根に進んだ尾根に上がり少し下ると今朝の踏み跡がある。 近くに折れたダケカンバの大木がある、このまま下って1523峰ではとさっきの所に戻った。 1703峰の尾根の付け根から東南へ崖の縁を縫うように進むやや傾斜が緩み方向を変えて南進する。 幹を鹿に食べられた林を通りすぎると先に1523峰の白いピークが谷を挟んで見えている。 1523峰北尾根が南三岳に付いているように地図にあるが100m斜面を下らなければならない。 急になった所でスノーシューを外す、南面でザラメ状になった雪に足を刺しながら下った。 途中鹿数頭が斜面を横切って行った、先行したのみねさんが沢下部にまで下りたがその先に今朝ほどの小屋が見える。 少々西に下っていたようである。 そこから沢部を1523峰北尾根の鞍部へ上り、そこから1523峰北尾根で頂上に到着する。まだ3時にもならないのでここで小休止とする。 のみねさんがバーナーに火をつけてこだわりのドリップコーヒーを入れてくれた。 パウンドケーキ付きで今日の三岳の思いにふける。 このピークは鹿の足跡が多く西から南の尾根に鹿道がある。
30分の休憩の後は西尾根を下った。 1523峰のような渋い山には人は来ないでしょうと言ったら、なんと足跡が途中から付いている。 三岳の渋さに引かれて訪れる方がいるのには驚きました。 この後駐車場に戻ってから湯滝の見物をしました。 一日お付き合いいただいたのみねさん、ふーせんさんに感謝である。
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スノーシューの爪に雪だるま |

1523峰でドリップ |

1523峰ピークにて |

湯川・マガモが遊ぶ |
【忘備禄】
【南三岳の植生、動物、地形】
南三岳の植生は1400m〜1550m位がミズナラ、ダケカンバの混生林に一部コメツガが混じっている。 良く陽が射す所の好きなダケカンバは開けた所に群生している。 南の中央部には何ヶ所か積雪時に白い雪原が広がっている。 中央の凹地を取り巻く周囲のピークはコメツガが密生した所が多い。 西の各ピークにはアスナロも多い。 下草はミヤコザザが全体に密生している。 冬は雪の下に埋もれている。
鹿の声がピーと甲高くいつ行っても聞える。 雪に足跡が付いている、単独の足跡、数頭の足跡といろいろて゜す。 糞も足跡に沿ってあちこちにある。 南三岳の鹿の行動範囲は外周部で多くは南部が多く1523峰には寝た跡が多数あって踏み跡も道になっている。 湯滝バス停付近から道路を横切り三岳に入って行くのを良く目撃す。 テンなどの小動物の足跡もいくつか見たが少ない。 中央部分には鹿も含め足跡は見たことはない。 小鳥のさえずりは良く聞くがシジュウガラのようだ。 小鳥の姿は見た事は無い。 カラスの声姿は一日に何度も確認できるが数は少ない。
南三岳の地図を見ていると光徳、戦場ヶ原、湯元とどこからも100m〜150m位せり上がっている。 中央部から南側の逆川付近へ溶岩が流れたのであろうか傾斜が緩んでいる。 せり上がったその上の西北側に外輪山のように峰がある。 俗に言う幻の岩峰を中心に火口があったのか。 そこを中心に凸凹地形の窪地、大岩が連続した場所が広ろがっている。 民家より大きな一枚岩が折り重なり、その隙間は風穴のようになっている。 溶岩は粘度の高く流れないタイプのようで大岩が盛り上がって積み重なったようです。
三岳の生成、動植物について今後も研究したいと考えております。
【コースタイム】
湯滝有料駐車場( 8:48)−バス停上の小屋( 8:55)−沢源頭部上( 9:22)−折れたダケカンバ( 9:35)−小鳥の巣箱( 9:47)−1703峰( 9:55)−風穴( 10:05)−1740峰手前・岩峰を見る( 10:15)−1740峰( 10:30)−キレットの岩( 10:37)−1740峰,1752峰と鞍部( 10:45)−断崖の手前( 10:50)−1752峰北・峠の上方( 11:20)−1752峰(最高峰)( 11:25-12:42)−1703峰東通過−小屋上の尾根・折れたダケカンバの大木( 13:55)−1703峰東下に戻る( 14:05)−1703峰の南東方・崖上( 14:17)−雪斜面を下る( 14:30)−1523峰( 14:42-15:15)−バス停上の小屋( 15:20)−湯滝駐車地( 15:32)−湯滝−湯滝駐車地・帰着 |
【ご注意】 山歩きは、心身も心も共に休まる楽しいものです。 しかし山歩きには思いもせぬ危険も潜んでいるものです。 簡単に考えて下ったら断崖絶壁だったり思っていない所に出たりで、注意しても予期せぬ事に直面してしまう事もあるものです。 その時こそ冷静に安全な行動が求められます。 特に道の無い山は地図を読む、地形を読む技術をは必要です。 難しい所は時には経験者の同行も必要て゜しょう。 山歩きを周到な計画と安全な行動で楽しいものにしましょう。
三岳には登山道、踏跡もありません薮と岩と窪地の山です。 山域に一歩踏み込むと凹凸の窪地、大小の岩、樹林で見通しも無く大変迷い易い危険な山です。 地形も地図に現れない複雑な所です。 四季の難易度は全く違います。 何の準備も無く安易に近づかない事が肝要な所それが三岳です。
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