引馬峠NO.342 (越ノ沢ルートを歩く)
            無人交易や日本最高所水準点の峠へ越ノ沢ルートを行く

            
                       越ノ沢林道終点の枕木でルートを探る

【日本最高所の引馬峠水準点探査と孫兵衛山へ】
 今回は、引馬峠の水準点探索と孫兵衛山へ越ノ沢ルートで行く。 黒沢林道を入れる所まで入り終点を発ち、林道は崩落や薮化した道を歩く。 今回は越ノ沢橋から越ノ沢の廃林道を歩く。 終点からは激薮の急斜面をよじ登り尾根に立つ。 薮尾根を歩き 1895m峰にて前回歩いた台倉高山からのルートを歩く。 引馬山の三角点を見て引馬峠への樹林を下った記録である。

     この後の引馬峠からの記録は関連ページ、「日本最高所の水準点」「孫兵衛山」をご覧ください。

【山行日】  2007年 8月 11日 (土)          【天  候】  晴、午後雷鳴あり、雨パラパラのみ
【山  域】  川俣(日光市)、桧枝岐(福島県)      【同行者】  ノラさん
【地  図】  1/2.5万図 国土地理院 地図(帝釈山)

【所要時間】
 8/11    黒沢林道終点(8:20) −越ノ沢橋(8:40)越ノ沢林道終点(9:55)*注 1830m峰の尾根上
        (11:25)
1895m峰先1950m峰との鞍部(13:00) −1938m峰引馬山(14:40)−引馬峠
        (16:10)
( *注 越ノ沢からの尾根への取り付きのロスあり) (
引馬峠で水準点の探査予定であったが下山時発見)

 8/12    孫兵衛山往復 -- 引馬峠−−火打石沢ルートで下山は、
こちら>>
        歩行時間   8/11 : 7時間50分



【関連ページ】  日本最高所の水準点はこちら>>  ノラさんのブログは、こちら>>
           県境歩きのページ、こちら>>     孫兵衛山のページこちら>>
           台倉高山(04.7.24)、こちら>>     黒岩山、物見山は、こちら>> 

 
    
    越ノ沢橋                           林道に放置されたワイヤ

【黒沢林道終点 〜 越ノ沢橋〜越ノ沢林道・終点】

 前回(2007.7.28-29)に続く第二次引馬峠・水準点探索ルートは、越ノ沢ルートを選んだ。 桧枝岐から舟岐川に沿って帝釈山への林道を走る、舟岐橋先から黒沢林道に入る。 ここから車を行ける所まで林道を走る、ダートだが乗用車でもOKだ。 黒沢から曲沢を分ける地点まで入れる、道が少し広くなった所で車が入れるのはここまでだ。

 今回は越ノ沢ルートで県境へ向うべく準備に掛かる。 車から越ノ沢橋までは前回歩いているので様子は解っているが、山側の斜面から岩や土砂が道を塞ぎ草が茂り薮化している。 また谷側も何ヶ所も崩落しているので滑落などしないように進む。  20分ほどで越ノ沢橋に着く。 この橋で一息ついていよいよ越ノ沢林道へ取付を考えていた所に橋端が薮化したササがガサガサと動いた。 やあー、薮の中から懐かしい顔が現れた、埼玉のSSKさんだ。 えーなんでSSKさんが聞けば、激励に来てくれたと解した、秋田への帰省の途中で寄ってくれた。 越ノ沢林道と越ノ沢を歩いて戻ってきた所であった。 ありがたい激励て゜あった。

 越ノ沢橋端のササのトンネル抜け沢の上流に向って、昔の林道だろう所の薮に分け入る。 沢横の道形らしい薮を行くが直ぐに道が消失してしまう。 地図には実線があるおかしいな、チシマの薮を強引に突破して高みに上がると道形があり、ビニルの遠慮がちなマークを見る。 どうやら道の入口を違えたらしい、力が入り過ぎているのだろうか、冷静に、冷静に行こう。 第二回目の今回もテントと水(7L)でザックが重い、腰で重さを支えるザックなので肩への負担は少ない。 林道の道形は明瞭でどんどん進める、約一時間で沢に出た、そこは沢の対岸に太い丸太が並べられている。 そこには木材を運ぶのに使ったのであろうワイヤーが放置されている。 ここは橋だったのだろうか、それとも切り出した丸太の運搬の為の作業台なのだろうか。 丸太の台の上に乗ってノラさんとこの先のルートを検討した。 大石が重なった沢は遡上に苦労しそうであるとの結論で沢ルートを捨てた。

     
            1840m峰の尾根                          ・1895m峰の状態

【越ノ沢林道終点 〜 1840m峰の尾根 〜 ・1895m峰 県境】

  見上げる尾根は激薮と急斜に挑戦だ、ササは密であるがノラさんとは大佐飛山の薮も共に歩いた事を思えば何とかなるだろう。 約100mの標高差である、ここだけ何とかして県境に出ればとガンバだ。 ササに乗って転倒したり、枝にザックを掛けて苦労した。 何とか木々の間に空が見えるとようやく尾根に出た。 大汗で全身ズブ濡れ担ったエネルギーも枯渇しそうだ、早お昼ではないが、コンビニおにぎりを二つ食べた。

 1830m峰の尾根には道があった、これが破線の道なのであろうか、いや地図の破線はもう少し下に引かれている。 あの薮と傾面にそんな道自体考えられない、きっともう少し沢を進み取り付ける斜面があるのだろう。 1830m峰の尾根のピークを過ぎ・1823m峰からの尾根をあわせると鞍部は広く倒木、濃い薮で真っ直ぐに進めず難儀した。 自然に県境尾根の・1895m峰に近づく、歩きながら湿原を窺ったがそれらしきものは見えなかった。 前回の台倉高山から歩いた時には・1895m峰の東側を歩いた訳だが今回は西側を歩いている積もりがピークを通過してしまった。 心理的に地図やGPSをよほど頻繁に確認しないと尾根を歩いてしまう。 ・1895m峰ピークを過ぎてササの鞍部に下りてササの切れ目のシダの木の根で小休止した。

      
           ・1895m峰先の鞍部                          ・1938m峰を歩く

【・1895m県境鞍部 〜 ・1938m峰 〜 引馬山 〜 引馬峠】

 鬱蒼とした樹林だ、栂、ダケカンバ、ブナの混生している、県境尾根の植生は濃い樹林でササは限定されて下草はシダやカニコウモリ、オサバ草などの日陰の植物が多い。 ここからはササがあってもササを避けて歩けば良い。 稜線の栃木県側は激薮で歩くのは福島側(西側)になる。 この先は前回歩いているので見知った景色に気持ち楽である。 この辺からノラさんが先頭に立って歩いている。 ピークと鞍部を何度か繰り返し・1938m峰を過ぎていよいよ引馬山の尾根に乗った。

 ・1895m峰から引馬山までは稜線の西を10-20m下部を破線がとおっているが今回も確認できなかった。
 (8/12引馬峠で合流した@宇都宮さんが「下に明瞭な道が有った」と言っていたがあるのだろうか。) 引馬山頂に近づくと高度が上がったせいか樹種がコメツガになり倒木や枯れ木が増える、陽射しの入らない苔に覆われた世界になる。 ノラさんが引馬山のピークに到達、今日の景色はどうだろう。 今年の夏はすっきりしていない、眼下には無砂谷の林道、谷の上にどっしりと平五郎山が座っている。 深いなー栃木の山、好きだー栃木の山々、栗山の山々に先に高原山まで見える。


 
引馬山からは前回(2007.07.28-29)下った岩と倒木の急斜面を避けて一旦さっきのマークまで戻った。 ここから県境を巻くように下った、傾斜が緩むといよいよ引馬峠だ先の樹林の上に明るい所が見えるあの辺が峠の水場だろう。 
      
         引馬山から見た無砂谷の林道                      先の山が平五郎山

【引馬峠の水準点、の探査】
 越ノ沢ルートで引馬峠まで歩いた、今回の目的は水準点の探索である、いよいよその再スタートに立つのである。 

【日本最高所の水準点】
 わが国の現在の公表している最高と最低標高の水準点は下記の通り。
最高点:1,672,4739メートル  (岐阜、野麦峠971号)
かつて日本の最高水準点は栃木、福島県境で尾瀬沼の東にある引馬峠で1895.60メートルの『二等水準点、徳24号』がありました。 現在は廃点となっておりますが、歴史の中の引馬峠の水準点はぜひ残したいものです。 水準点は高さの基準です、水準点を利用して道路を設計したり山の標高測定に利用します。 (『三角点探訪』より引用)

【引馬峠の存在】
 『那須の男鹿山塊の端から発し尾瀬、鬼怒沼へと延々と連なる森林の山々がある。 帝釈山脈とよばれるこの山なみにかつて無人交易が行われていたという引馬峠がある。 標高1900メートルほどの、いまではすっかりさびれてしまった峠であるが、幾世の時代をへて、どれほどの里人たちが登り通り来たのだろうか。 長い山道をたどり来て重い我荷を下し、かわりに他の荷を背負って下っていく荷姿が偲ばれる。  野良仕事や山林で働く日常の仕事のように、過酷な労働にたずさわったのだろう。 最も単純で素朴な無人交易は、人と人との信頼さして絆を唯一のあかしとして存続させていたはずである。 この事実は小さな感動を起こさせる。』 
奥鬼怒山地・明神ヶ岳研究(橋本太郎氏著・現代旅行研究所)の「引馬峠を越えて平五郎山へ」の巻頭の書であります。 引馬峠の存在を簡潔に表しております。

【峠の情報】
 引馬峠や周辺の山のようすが的確な情報があります。 
 「高原山探訪/廃なるもの探訪・引馬峠」のページは、こちら>> 
      
               引馬峠                       マークのある立ち木に「引馬峠」

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