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熊の沢山・熊の沢(三等三角点峰) NO.360 |
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日光・太郎山北方尾根に、熊野沢を挟み高山2峰尾根と熊の沢山・熊の沢三角点峰尾根がある。 共に長大な尾根である特に熊の沢山尾根の変化に富んだ地形は地図読みや岩と薮がさらに難易度を上げる。 樹林尾根からの眺望はない
それでも密な樹間の深い谷の向うに深山のシュリエットが壁のようだに見える。 栃木の山懐のが堪能できる尾根である事が分かる。 特に『熊の沢』三角点峰は周囲の山からその姿は見えず神秘的な熟達者の山である。 |
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「熊の沢山」 三角点峰尾根が先の川俣湖へ続く 撮影地 太郎山北斜面
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【山行日】 2010年 9月 10日(金) |
【天 候】 快晴 |
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【山 域】 川俣・太郎山近傍 |
【所在地】 日光市川俣字熊ノ沢
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【地形図】
1/2.5万図「川俣温泉」「男体山」「川俣湖」
・「熊の沢山」 こちら>>
・「熊の沢」 こちら>>
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【同伴者】 中山氏、蘇原氏、山部の3名
【関連ページ】高山2峰 こちら>>
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【標石データ】 Web 点の記未公開
・熊の沢山
冠字 事 22号
基準点コード 5539-23-0801
・熊の沢
冠字 事 3号
基準点コード 5539-23-2801
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【緯度 経度】
・熊の沢山 (標高 1798.12 m)
36°50′40.49 / 139°28′36.04
・熊の沢 (標高 1563.22 m)
36°50′06.69 / 139°28′49.71
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【三角点名 「熊ノ沢山」「熊ノ沢」】
太郎山( 2367.5m)と鬼怒川を結ぶ長大な「熊ノ沢山」「熊ノ沢」の三等三角点標石峰がこの尾根である。 日光連山と鬼怒川の間に位置する山々は"知る人ぞ知る"山域である。 地元の山歩きをする人たちにも知られず、深山の薮山で難易度は高い。 門森沢と熊野沢の深い谷(沢)に挟まれた熊の沢山尾根稜線からは左右の谷(沢)に下りる事を許さない。 この尾根に踏込み急傾斜の石楠花薮や岩稜地帯を通過すると再び戻るには難儀の覚悟がいる。 昭和初期までは熊野沢を隔てた東側の高山2峰尾根稜線には日光と川俣集落を結ぶ道があった、しかし「熊ノ沢山」尾根には急峻な所が何ヶ所かあり道には適さなかったのであろうか、この尾根に古道が記された書を見たことはない。 今回、この尾根の三角点標石確認に、三角点名「熊の沢山」「熊の沢」の2点を歩く。 特に「熊の沢」三角点峰は核心部で難関である。
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↓ 下の橋が門森橋

1/2.5万地形図「川俣温泉」 ↑ 「△熊の沢」がある .
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【 計画 ルートと準備 】
地形図の「熊の沢山」「熊の沢」尾根は太郎山北に派生尾根である。 尾根には太郎山北斜面から乗りたい所であるが、太郎山の裏(北側)や門森沢などの砂防工事用作業道が記されている、今回は尾根筋まではその作業道を歩く事とした。 「熊の沢山」尾根西側を門森沢及び支流の中沢、日光沢、東側を熊野沢に挟まれほぼ真北に尾根は鬼怒川・川俣へ向かって延びる。 主稜線からは多くの支尾根が派生している、今回ルートは三角点峰を通して歩く。 「熊の沢」三角点(
1563.2m)峰先の標高点 P1488mで尾根は二つに分かれる、今回は右への川俣大橋への尾根を歩く計画とした。 (
実際には、P1488mから P1179mへの北西へ延びる尾根を下って鬼怒川は門森橋を渡った。)
尾根に人の道はない今回も可能な限り獣(鹿)道を使う事になるだろう、また等高線が混み岩稜帯が予想されるのでザイルを用意した。
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P1693ピーク |
熊野沢源頭部、右は太郎山北側 |
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【尾根を通して「熊ノ沢山」三角点峰へ】
二台の車で現地いり川俣湖に掛かる川俣大橋際に一台駐車しもう一台に乗って山王峠に午前8時到着する。 山王帽子山と於呂倶羅山の鞍部となる所で川俣側でゲートのある林道口付近の広くなった所である。 付近は「宮界標」(明治期の宮内省界標)の調査で歩いているので調べは出来ている。
朝の林(作業)道は小鳥のさえずりと木々の緑はすがすがしく三人の会話が弾む。 林道は砂防工事の作業道で太郎山北斜面に崩落防止工事跡や砂防ダムがある。 地形図を見ると下の中沢には沢山のダムが記してある、谷は深くその姿は見えない。 地形図の道はP1696mの異形ピークの1600mコンターをなぞって、P1696mの北西で止まっている。 我々はP1696mから尾根を通すのでP1696mの西尾根に取り付く。道からブロック法面の無い所からミヤコザサ原を歩きP1696mに着く。 ここからは荒々しい太郎山(2367.5m)を北から見る、隣の「高山2」三角点峰が太郎山裾の切れ立つ溶岩と深谷先に凛と見る。
最初のルーファンである、地形図ではP1798.1mへ向かう北尾根に乗るのは容易に見えるが現地はその左の小ピークへの尾根に引き込まれそうになった。 こんな事ではこれから先の尾根はとても無理かなと一瞬は頭をよぎった。 広い斜面からその下の尾根に乗りいよいよ鞍部という手前で、動向の中山氏から『ガードレールが見える』との声下って鞍部に着く。 そこにはなんと林道が来ていた鞍部は高く土手が築かれている。 熊野沢側の崩落防止工事が一年以内に完了しているように見て取れる。 林道はさらに先にやや下りながら伸びている。
(後に「熊ノ沢山」山腹の先まで分かった、地形図には反映されていないものである。)
ここからはP1739mそして「熊ノ沢山」までほぼ一本尾根で上りである。 ミヤコザサに鹿道が真っ直ぐにありそれを120mの上りである。 途中で何度かの休憩を入れながら「熊ノ沢山」手前の1770m分岐ピーに着く、周囲は樹林帯で遠望は出来ないが日陰で快適である。 一息大きく深呼吸をして、黒木の頂上台地を歩くと北端に「熊ノ沢山」峰 三等三角点標石を見る。 この先へは読図力や体力、経験を要する所となる。
標石は三等三角点で頭部半分は地表に出ている。 保護石は尾根にある石を利用したようで角ばった石であり、標石との間隔を広めにとっている。 樹林の中の標石には苔がついている。 刻字は埋石の明治期仕様のもので、「三等」の等は草冠、「三角点」の角は肉角である。
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三等三角点「熊の沢山」標石及び保護石 |
ガッツ中山氏 |
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【核心部の「熊ノ沢」三角点峰へ】
「熊ノ沢」三角点峰へ「熊ノ沢山」峰から標高差一気に約350mの降下する、300mまでは広いがその先には、崖や沢源頭部で進行方向に注意が必要である。 右の大きな熊野沢支流沢を絶えず感じつつの下りとなる。 下り切ると鞍部で丁度時間は、12:00となり昼食とする。 そよぐ風とブナやダテカンバなどの緑がおかずの食事だ。 休憩位のショートな時間が過ぎると直ぐに出発する。 全体の約半分の工程だ、まだまだ遠い。
P1535m峰へは標高差70mの上り鹿道はないミヤコザサを上る、ピークから尾根は3方向に分かれている。 地形図を見ると進むべき尾根の形が「天狗の鼻」のように見える、この細長い尾根に乗らなければいけない。 目標の「天狗の鼻尾根」へは標高差50m急斜面、その先のシャクナゲの密薮で天狗の鼻の左は日光沢へ切れ落ちている。 シャクナゲの密薮と急斜面を下ると二度と戻る事は出来ないと思ったし、今回と逆方向への縦走はしたくないなと思った。 天狗の鼻の中間部に何処とも無く鹿道がきていた、山歩きでは自然に逆らってはいけない"郷に入っては郷に従い"山では鹿と友達になることだ。 鹿道が消えたら一度座って鹿の目線で見渡すと鹿道が見えるはずだ。 今回も天狗の鼻に乗ることに夢中で鹿道を見失っていた反省です。
天狗の鼻先の小ピークに「団」杭が有った、その先「熊ノ沢」三角点峰手前の鞍部手前にもコンクリート「団」杭があった。 ここから「熊ノ沢」三角点峰への標高差130m、喘ぎながらゆっくりとクマイザサとミヤコザサ混合薮を何度かの小休止をとり上がる。 「熊ノ沢」三角点峰頂上は細長い黒木の尾根、コメツガとアスナロ、笹はわずかである。 三角点標石は北端にある、ここの標石の刻字は鮮明である。 保護石と標石との間隔は「熊ノ沢山」と同じく広い、この尾根にある石を利用している。
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尾根を塞ぐ倒木
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錆ワイヤーが大木に残る
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三等三角点「熊の沢」標石
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ダンディー蘇原氏
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奥の崖見えるP1488m峰を通過する (湖面から標高差 約500m)
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【「熊の沢」三角点峰から川俣へ下る】
「熊の沢」で全工程の1/3を歩いた、これからはほぼ下りだ。 「熊の沢」から少しの間は緩やかな尾根、捨てられた何本もの廃ワイヤーが張られたり落ちている大木が縛られて食い込み痛ましい。 木材の搬出に使われたのがそのままに残されている、カッターで切るなり何とかしてやれないものだろうか。 少なくとも作業終了時にワイヤーを外すのは林業のモラルではないのでしょうか。 この地域は国有林ではない(団杭や林野庁森林管理署地図から抜けているので管理者は分かるが)。
熊の沢三角点峰から細長い尾根を下ると次の目標のP1488mのピークには目立つたものはない。 さらに進むと突然その先は開けた、鬼怒川と川俣湖、その先の馬坂沢や川俣集落が鳥瞰できる。 直下には鬼怒川に架かる橋、川俣大橋との間に食堂「またぎの里」や下の鬼怒川河原に作業宿舎、門森沢と鬼怒川合流付近の蛇行部が見える。 絶景である、もちろん正面に平五郎山から引馬峠への尾根がどっしりとあり、その上に県境の台倉高山、帝釈山、田代山、枯木山が並ぶ空撮のパノラマだで。 何度もシャッターを押した。 この崩落地は地形図に表記されていない
P1488m北側の所だ。 右側の熊野沢側には崩落地が記してあるが、記載のない門森沢側の崩落の規模は三倍以上に達する。
この下りは今日一番の30%急傾で両側は崩落しヤセ尾根である、ロープを出したが100mの長さでは足りない、その区間長は
80mはあるので輪にして使うと約50mになってしまう。 急傾斜のヤセ尾根を避けて立木に手掛りを探しながら壁のような樹林に逃げた。 一旦熊野沢側の崩落地下部まで下降しその崩落地を渡り尾根に戻る事となった。
中山氏を先頭に蘇原氏が先に下り始める山部は手にしているロープで 25mピッチ4回で熊野沢側崩落地横の薮に下りた。 先行の中山氏から『道がある』との声、鹿は岩稜のヤセ尾根を避け手前で大迂回ルートを開拓していた。 P1488m北斜面を無事下る事ができた。 そのまま下降すると尾根は小広くなる先行の中山氏から方向を聞かれたが、地形図を見ずに『そのままでオーケー』と合図した。 この先で尾根は三つに分かれる、後で気づいたが川俣大橋へは広い尾根を下った所で右に90度曲がる方向である。 右に下る地点はもう少し先と思い山部の方向出しが遅れたので、左方向の尾根にぶれて50m程下ってしまった。 急斜を下った所で一服し地形図を見ると
左のP1179m方向の尾根へ下っていることに気づいた。 二人に報告したが、戻るかこのまま行くかは『山部に任せる』との事。 私はハムレットの心境である。
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P1488m峰先から川俣湖を鳥瞰
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P1179mへはいままでのような極端な斜面は一ヶ所のみルーファンも分岐は一ヶ所のみ、P1488m峰の崩落地上で鳥瞰した時の鬼怒川に掛かる門森橋(吊橋)を確認した事が頭にある。 吊橋は地形図にもある、今回ルート計画時に地形図表記の"橋"は本当にあるのだろうかと思っていた。 その事もあったので確認出来た事でこの橋を使う事に気持ちは傾く。 それと現在時間である
時計は14:40を過ぎている、登り直して(戻って)計画尾根を進むと一時間弱のタイムロスだ、日照短くなった事で計画尾根はまだ長い。
このままP1179mへ鬼怒川の門森橋を目標に進む事を選ぶ。
、トップの中山氏は快調にP1170mへ下ってくれた。 このピークでまた休憩、残の吊橋まで標高差は
180m、まず広い尾根を左へ下ってから右へ、次の小ピークを巻いて右尾根を進むと方向を指示を出すもう間違いはNGである。
1000mのコンター(等高線)の途中の倒木に跨いで腰を下ろす、最後の吊橋への方向確認である。 地形図とコンパス、川も橋も見えない樹林の中である。
進むと道形らしい地形(旧県道 ? )があったがパス(横断)さらに一段下がると樹林の先に深緑色の橋柱が見える。 これで下界にたどりつく事ができたと全員安堵の表情だ。 橋名「門森橋」のプレートあり、吊橋の踏板は一部朽ちて穴が開いていたが橋の中央部を最初は恐る恐る歩いていた、少し歩くと怖さは消え無事渡った。 門森橋は楡の木沢(ニレノキサワ)林道反対側を鬼怒川へ下りる道があるがその途中へ出た。
県道に出てバス停の「またぎの里」食堂まで歩き、ザックを降ろして水を腹いっぱい飲む、そこから川俣大橋南詰までを歩いた。 長大な尾根歩き終え鬼怒川の上方に聳える
P1488m峰を仰ぐと疲れを越えた達成感を得た。 標石も確認出来たし、何より全員事故や怪我もなく下山できた事に、二人にお礼を言いたい気持ちである。 また確認済標石が増えた。
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鬼怒川に架かる門森橋を渡る、ダンディー蘇原氏
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【所要時間・歩行距離】
山王峠林道口 8:00 - P1693m 8:50 - P1739m 10:00 - 「熊の沢山」1768.1m峰
10:40 - P1535m手前鞍部(昼食) 12:00 - 石楠花薮先 12:40 - 地形図・蝶形1520m峰先・「団」杭
13:00 - 「熊の沢」1562m峰 14:00 - P1488m 10:20 - P1488m 14:20
- P1179m崩落地 14:35 - P1179m 15:40 - 門森橋 16:20 - またぎの里バス停
16:40 - 川俣大橋 17:10
歩行距離 約 13 キロメートル
【この山は、】
「熊ノ沢山」先は、地図読みと体力が必須の山です。 急斜面やシャクナゲ密薮や岩稜など危険な所があります一般の方にお奨めできません。 当たり前ですが人と会うことはありませんでした。 地図読み(読図)とは、地図を見るだけではない、地形と照合し次の地形を地図から想像しなければいけない。 地図読み
= 先の地形を読む(想像する) 危険を予測し、山歩きを管理する。 山を歩くなら地形図を必ず見ながら歩こう。
今回、中山氏、蘇原氏には快く同行いただき垂直に近い樹林を下降したり、密薮、切立つ稜線を恐々と通過いただきました。 地図読み必須の薮山を堪能と私は思っていますが、懲り懲りかもしれませんありがとうございました。 一週間後近くの山や林道から「熊の沢」三角点峰を確認しようとしたが見えなかった、一般道からは見ることの出来ない。 山部薮人
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栃木の山283 こちら>> |