
唐倉山の西尾根端の旛岩の上部は馬の背形
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【山行日】 2006年11月05日(日)
【天 候】 晴、気温 20℃ 下山時熱風を体感 |
【山 域】 南会津
【所在地】 福島県南会津郡南会津町木伏
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【地 図】 国土地理院 1/2.5万図 会津山口 地図(唐倉山)
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【メンバー】 ナスノガルータさん、常吉さん、上野さんと山部の4人
【栃木の山283+のHP】 2006年11月05日 唐倉山の後の「駒止湿原」は、こちらです。 |
【タイム】
南会津町青柳・国道325号 = (林道木伏椿平線・木伏線) = 元作業小屋跡駐車地(9:20発) − カヤトを抜ける(9:30) − 旛岩のスラブ下(9:42)
− 旛岩上の尾根西端・裸岩(9:50-10:00) − 御柱岩(10:05) − 烏帽子岩(10:20)
− トビツキ岩(10:30)屏風岩 − 唐倉山(11:05-50) − (南尾根を下る) − 松の大木(11:53) − 尾根の岩場(12:07) − 雑木の中尾根 − カヤトの中へ(12:18)
− 元作業小屋跡前駐車地(12:20) == (林道・木伏椿平線) == 国道298号へ出る (この後駒止湿原へ)
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唐倉山は奇岩と修験の山と何かの本で見たような、漠然とした情報しか持ち合わせていないままやって来た。 岩があるとの期待に簡易ハーネスとロープを持参した。
国道から案内板に教えられる通りに進む(林道木伏線)程なく、作業小屋跡駐車地に到着する。 駐車地からは目指す唐倉山は青空と紅葉をまとい聳えていた。 |

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約400mの標高差である、久しぶりの岩に期待を持って出発である。 カヤトの中を進むと枯れ野に黄色の花一輪(オオマツヨイグサ)である。 カヤトが終わると広葉樹のミズナラ主体の林となる、紅葉の黄葉が美しい雑木の下草がチシマザサに変わりいよいよ薮のお出ましかと期待したが直ぐに終了となった。
* オオマツヨイグサの名は、上野さんに教えていただきました。 |

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ルート上の木には赤ペンキ(古い・消えかかった)とピンクのテープが付けられていた。 それに導かれると直ぐに直登となる。 左手のスラブが見えて来る、これが旛岩のようだ。 旛岩のスラブ下を左に捲いていくようなルートもあるようだが、はっきりせず(上野氏から乱れた跡はあるとの事)、踏跡はそのまま直登となる。 急斜面を登り汗がにじむとと、 尾根上に出る(旛岩の上の裸岩 = ページトップの写真)。 |

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旛岩の上からの眺めはとても良い、眼下に林道・木伏椿平線が見える。 ここは標高940m付近であろうか。 唐倉山頂が近くに見える(写真中央)
旛岩の上は岩肌が丸い、しかし両側は垂直に落ちている。 一枚岩・スラブだ、ここで長いロープで垂直懸垂下降の訓練は爽快だろう。 カメラを持って旛岩の先に進んだが両側は急角度の手掛りなしの丸いバーンで無理は禁物だ。 ここを昔は修験者が歩いたのだろうか、「クワバラ、クワバラ」だ。
ここで小休止とした。 |

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旛岩から少し歩くと、巨大な柱が無造作に置かれている、これが御柱岩(おんちゅういわ)である。 自然の石柱には見えないどう見ても加工品だ。 今まで見た柱状節理とは違って見える。 でっかい、70〜80センチ角、長さ約7メートルだ、重ねられ一部折れたものもある。 石の基に御幣が供えられていた。
三枚重なっている石は板状である。
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御膳岩先の丸い岩の尾根、キタゴヨウとアカマツの針葉樹の枝をくぐって岩の上を歩く。 雨の時は滑りやすいので注意である。 岩場歩きは適度の緊張があり疲れを感じさせない快適だった。 |

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さらに進むとこれが烏帽子岩(エボシイワ)だろうか。 尖がった大岩で確かに烏帽子のような形の見える。 |

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屏風岩には薬師十二神が鎮座していると言う、南面は垂直なバーンになっている。 屏風岩はその名の通り大きな屏風を広げたようだ。 そのスケールは大きい。 |

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さらに尾根は急になる、慎重にホールドし歩く。 その分見晴らしは最高だ、南西方向にひと際高いピークが見えるが山名は分からない。 やや靄ったかなたに大嵐山?のように見えるが不明である。 |

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尖った岩の先に立ったが、その先の岩に飛び降りようか思ったが安全第一を考えて捲く事にした。 キレットのような所である。 北側も樹林は有るが落ちている。 |

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トビツキ岩へよじ登る。 松の緑と岩がなんとも言えない良い雰囲気である。 |

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せっかくロープを持ってきたので、使かおうということになったが、結局必要なかった。 実際に汗をかいたのは旛岩の横を直登した所だけで、あとは少しだけヒヤ汗だったかもしれない。 |

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大きな屏風岩を過ぎると雑木の尾根歩きになった。 途中に丸い大岩があったが、後は落ち葉を踏んで散らしながら進む。 所々にアカマツ、ミズナラと雑木でシャクナゲの木も見られた。 |

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あっけなく頂上に大岩が明神岩であろう、尖った感じに見えるが立ちやすい。 側に標石が二つ(主三角点、国地の三等三角点)がある。 明神岩はいくつかの大岩の上に乗っている岩でびくともしない。 今日のメンバー四人で記念撮影をする。
頂上からは、主に北東から南の展望が得られた。 明神岩に上がると上には小さな木が根付いていた。 国道が見えその上の駒止湿原方向に大きな鯨のような尾根が長くどっしりと見えた。
お昼にはちょっと早いが一服ついでに、パンをかじる。 春のようなうららかなうとうとしそうな陽気である。 |

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そんな時、単独者が上がってきた。 話では郡山の方だそうだ、その方の話では『今までで一番大変な山だった』との事また、『スリルが無くては、、、』の事でした。 なるほどと顔を見合わせるた゜けでした。
頂上からの下山は、南尾根を下る。 まずスラブの横を下る。 しばらく岩ぽい尾根だ。 途中にアカマツの大木がある凄い大木だ。 あとは登りと同じミズナラ主体の雑木である。 薮は無いに等しい、黄色に色づいた明るい樹林である。 |

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下山、歩きだしたら下からの風は熱風だ、熱い風が吹き上がってくる、11月なのに今日はなんという日だ。 今年の陽気はどうなっているのだろう。
南尾根からは上りの北尾根の間にスラブの中尾根も見え、この山が岩で出来ているのが分かる。 『ロープで下りたかったなー』なんて考えている内に最後の岩場になる。 この先が崖なのであろうか途中から、林の中へトラバースする。 岩尾根の先端横に来ると確かに岩だけの急になっていた。 こんな所をロープ持参で捲くなんて残念、今日は適度な散策気分になって終了である。 |

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しばらく樹林の中を歩くと笹の出てきた、中尾根の先端の小尾根を越えると、カヤトの途中に出た。 その先に駐車地があり、車の数が増えていた。 振り返り見れば唐倉山が金色の紅葉の上に輝いて見えた。
帰りは林道木伏椿平線から国道289号(駒止トンネル方面)に抜けてショートカットで帰った。 |
【麓の案内板】
「伝説の山 唐倉山 治承四年(1180)平氏討伐の兵を挙げ、敗れた高倉宮以仁王が越後へ落ちられるとき旅の安全を祈願された。山頂に石柱(御柱岩)があり、毎年4月8日に山伏姿で法印が梵天をおさめて祈願するならわしが行われる霊場である。 南郷村教育委員会」とある。 『国道沿いにある案内板』より
【御柱岩の伝説】
・ 唐倉山の尾根の一角にある裸岩の頂上にアマノジャクたちが一夜にして薬師堂を建てる計画をたて、唐倉山の北方にある黒岩山から石の柱を運び始めた。
しかし一人の怠け者のアマノジャクが仕事に嫌気がさし、鶏の鳴くまねをした。
すると夜が明けたと勘違いをした他の者たちは、石の柱を放り投げて帰ってしまったという。 『南会津・鬼怒の山50』(随想舎
1996)より
・ いつのことかわからないが、デイタンボウが大勢集まって唐倉山に石のお堂を作ろうと相談し、山口村台の黒岩山から大きな石柱を運ぶことにしました。 山を一またぎに、せっせと石柱を運んでいましたが、怠け者のデイタンボウがいて運ぶのがいやになり、石の陰で鶏の鳴き声を出しました。 するとデイタンボウたちは夜が明けるぞと思い、途中にして帰ってしまいました。 唐倉山にはたくさんの石柱が残っていて蛍堂の石柱だと伝えています。 (デイタンボウとは、大人 = 巨人のこと) 会津民俗研究会編『会津の伝説』(1973)より
【アプローチ】
会津田島から国道289号を西進し駒止トンネルを抜けて南会津町南郷山口のT字路を左折する。 国道401号を桧枝岐方面へ約3km、青柳バス停手前の唐倉山の案内板が立つY字路を左折して林道に入る。 舗装された「林道木伏椿平線」を約2km、Y分岐を右に橋を渡り「林道木伏線」を500mほど走って左に戻るように上ると駐車場に到着する。 駐車場の作業小屋跡のコンクリートと使えないトイレがある。 |
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