日本最高所二等水準点

日本最高所 二等水準点 No.10809 群馬県六合村渋峠近傍

日本最高所水準点標石が新設されました。
二等水準点「No.10809」 渋峠 2009.08.25



【日本最高所水準点】
   国土地理院は2009.8.20日本最高所水準点を新設するとの発表がありました。 (内容は文末に掲載) 
2010.8.20に造標作業に立会いました、埋標された「二等水準点 No.10809」標石の正式な標高は未観測のため後日発表になりますが、近傍には日本国道最高点の標高2,172メートルありますので近似値になるのでしょう。 現在の日本最高所水準点は野麦峠(岐阜長野県境)「一等水準点 971号」で標高は1,672.4739メートルであるので、今回の水準点は約500メートルも高所で最高所水準点がここに変更になることでしょう。

 かつて野麦峠日本最高所水準点よりさらに高い標高に設置された水準点がありました。 明治期に設置された尾瀬国立公園内の引馬峠 (福島・栃木県境) 「二等水準點 徳二四号」 標高1,895.6メートルです。 引馬峠水準点はその後、国土地理院は亡失(見つけられない等)により戦後廃点となってしまい地形図からも消えました。 引馬峠「二等水準点 徳二四号」は野麦峠 (岐阜長野県境) 「一等水準点971号」より標高が約223メートルも高かった事で、これまで日本最高所水準点が低くなった思いもあり残念な思いもありました。 それを払拭する今回の日本最高所に水準点が新設されたことは真の最高所水準点となり意義深いものです。  2009.08.25 山部薮人   トップへこちら>>


 
         選点、周囲の笹払い               穴掘り、岩、石も出る、汗だく作業


【水準点とは、】
 明治に始まった地図測量創世期に正確な地図を作るため三角点が各地に設置されましたが、その三角点に標高を与えるために水準点を設置し高さ確定した。 水準点は必ずしも標石だけでなく木標(杭)もありました、三角点に標高を与えるとその水準路線はその役目を終わったものもありました。 その後時代は進み電波基準点やGPSシステムによって三角点の標高が直接観測出来るようになると水準点標石の設置は少なくなりました。 今回、地殻変動を捉えるために定まった場所に水準点(基準点)標石、金属標等を新設し水準路線を観測がおこなわれます。 今回の二等水準点 No.10809標石近傍にも、既設の「地殻変動観測点 + GPS 01 建設省国土地理院」金属標や山田峠避難小屋近傍の「地殻変動観測点 + GPS 02 」金属標などの設置があります。 水準点が当初は三角点の標高を与えることから、地殻変動を捉える基準点へと少し用途が変わってきたようです。


 
        ゴロ石を入れ基礎を作る                標石を慎重に穴に入れる

【付近のようす】
 渋峠付近を通過する国道292号が日本国道最高所であり標高2172メートルのモニュメント石碑があります。 この一帯は「白根国有林・芳ヶ平」で高山帯の景観が素晴らしいです。 国道を志賀高原方面に進むと渋峠ヒュッテ、横手山があり冬はスキー場になります。 草津側には白根山や、芳ヶ平ヒュッテ・湿原のハイキングコースなどがあります。 白根山は硫黄鉱山が有ったところで、付近の道路には亜硫酸ガスを注意する掲示板が設置されています。 

【関連ページ】
・ 水準点設置のようすは、 こちら>>
   (国土地理院職員による、「二等水準点 No.10809」標石の埋標記録です。

・ 明治の旧標石、引馬峠「二等水準点 徳二四号」のページは、こちら>>
   (明治の参謀本部陸地測量部が設置、
       栃木福島県境、檜枝岐村 尾瀬国立公園内で 設置から100年目に発見される。)


 
           固定前の標石を計測             保護石のセメント固定枠設置

 国土地理院職員の方の一生懸命な作業には感服しました。 水準点設置のようすは、こちら>>


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『 国土地理院 2009.8.20発表 』 (以下、発表文掲載)

           浅間山および草津白根山地域の火山変動測量実施について
                                              発表日時:平成21年8月20日14時

浅間山及び草津白根山の火山活動に伴う近く変動を捉えるため、長野県軽井沢町〜群馬県六合村(くにむら)間に二等水準路線(63.5Km)を新設し、水準測量(観測:74.5Km)を実施します。
なお、六合村(渋峠近傍)に設置する二等水準点は、国内で最も高い水準点となります。

1.二等水準路線の新設
 火山活動が活発な浅間山及び草津白根山の火山活動に伴う地殻の上下変動、高精度に把握するために、
 二等水準路線を新設します。
 水準測量の観測は、平成21年8月〜22年1月を予定しています。

 新設する路線は、下記区間です。
  一等水準点No.10823(軽井沢町長倉山)〜二等水準点No.10809(六合村入山)
  二等水準点No.10782(嬬恋村鎌原)〜地殻変動観測点M浅間鎌原(嬬恋村鎌原)
  二等水準点No.10779(長野原町北軽井沢)〜地殻変動観測点M浅間砂塚(長野原町北軽井沢)

2.国内で高さが最も高い水準点を設置
水準測量作業地域の北端は、日本の国道最高地点(標高2,172m)となっている所でもあり、そこに設置する
二等水準点No.10809は、国内の水準点として最も高い所に設置される水準点となります。
なお、現在、最も高い所にある水準点は、一等水準点No.971(岐阜県高山市(野麦峠))で、標高は1,672.47mです。

水準点の標高は、東京湾平均海面を0mとして求められています。これらの成果は、公共測量等での高さの基準とされている他に、地盤沈下や地震・火山活動に伴う地殻変動の変動量を求めることにも使われています。

問い合わせ先
〒305−0811 茨城県つくば市北郷1番
国土交通省 国土地理院測地部
  機動観測課長    根本 盛行  TEL 029−864−5977(直通)
  機動観測課長補佐 真野 宏邦  TEL 029−864−8409(直通)

〒102−0074 東京都千代田区九段南1−1−15 九段第二合同庁舎
国土交通省 国土地理院関東地方測量部
  測量課長       田辺 正    TEL 03−5213−2060(直通)


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