明神ヶ岳(ミョウジンガダケ) 1594.5m NO.260-3
一ッ石から湯西明神の1574m峰、明神ヶ岳本峰へ歩く。 帰りは湯西明神から北尾根を下る。
 メンボリ沢近くの県道に出る。 一度は歩かなくてはならない明神ヶ岳のメインルートを歩いた。
【山行日】 2005年4月9日(土) 【天 候】 快晴 風なし 
【山 域】 湯西川地区 【所在地】 栃木県塩谷郡栗山村
【ルート】 一ッ石〜湯西明神〜山頂〜湯西明神〜北尾根 【同行者】 「なな」
【地 図】 湯西川 1/25000図
       地図(一ッ石から尾根)
       地図(湯西明神) 地図(明神ヶ岳)
       地図(北尾根・1232m峰)
【関連ページ】
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明神ヶ岳から見た、湯西明神1574m峰

山名板も元気でした。

【今日のタイム】
自宅発(6:30)==鹿沼IC(日光宇都宮道路)・今市IC==鬼怒川温泉でコンビニ 食料調達==湯の郷トンネル==一ッ石集落・(斉藤建設様)(8:40-9:00)・(裏の尾根に取付)=標高点1192m(10:55)−−標高点1383m(11:40)−−標高点1373m湯西明神(12:45-13:03)−−三角点1594.5m明神ヶ岳(13:50-14:00)−−湯西明神の峰(14:03)−−北端下尾根1500mの二又分岐(10:25)−−北尾根二又分岐1350m付近(15:43)−−標高点1232m(16:03)−−林道 フリウギ線の途中?(16:21)−−林道フリウギ の看板(16:49)−−林道二又・ゲート(17:12)−−県道・フリウギ林道入口(17:18 )−−県道・フリウギ沢前(17:24)−−水琴窟前(17:28)−−一ッ石・駐車場(斉藤建設様)(17:40-18:00)==今市IC(日光宇都宮道路)・鹿沼IC==自宅
歩行時間  8時間 40分

【明神ヶ岳の魅力とルート】
 栗山の盟主明神ヶ岳の魅力は展望の良さもあろう。 また山麓の集落にあった明神信仰の祠など、マタギの山として鞍部にあった鳥屋跡であり動植物も豊富である。 地名にヨガタァやシカバッタァ、ミッタァ、タイコンドウようにマタギ語も民族、風習など研究の題材に事欠かない。 この地で平家の歴史、伝説も忘れてはならない。 明神ヶ岳山塊は深い沢が多数ある。 急峻で遡上できない沢もある。 明神ヶ岳山塊の西の端に高倉山の峰がある。 この峰には平家の砦があったとされて、平らな場所が急峻な所にある。 また高倉山の名も国土地理院の地図で何度も場所が変わったりした。 現在は三角点の所であるが高倉山本峰は1460mの標高点の所を地元では高倉山と言っている。 何年か前に知ったのが湯西川に新しいダムが出来.、集落が湖底に沈むのである。 一ッ石集落の斉藤さんからその話を聞いた。 変わりつつある明神ヶ岳研究の題目は多岐にわたる。 

 今回は明神ヶ岳の北側のメインルートである、一ッ石から湯西明神経由で尾根を通して、明神ヶ岳本峰を歩く。 戻りは湯西明神1574mの尾根から北に延びる北尾根を歩いてフリウギ沢を周回コースとした。 残雪時でないと日帰りでは無理であろう、薮も深く岩、崖、ヤセ尾根と変化に富んだコースでした。(明神ヶ岳本峰への挑戦は3回目です。)

一ッ石からの出だしの尾根はこんな感じ

高土山先のオオゾネを横切る鉄塔を見る
【一ッ石ルート、栗山沢】
 一ッ石集落に着くバス停前の民宿に車を停めようとしていると片付けに来るからと駐車場を提供してくれた。 斉藤建設の事務所前に停める。 一ッ石集落はダム湖底に沈むので家屋を解体して戸数もあと僅かになって来た。 さて何処に取り付こうかと地図を見る。 結局一ッ石からは何処に取り付いても尾根に向うことになるので斉藤建設の裏から上がる。 水道の黒いパイプが上に向っているのでそれを追ってみた。 雪に埋もれているが温かいのであろうかパイプのあるラインが雪解けしている。 僅かに踏み跡があり100m尾根に上がるとダム水没の立木補償の番号の入ったマークが周囲についている。 500×600のプレートが斜面に付いていた、後で斉藤さんから教えていただいたがあれが水位の最高位だそうだ。 桧の植林地とミズナラなどの雑木の境界に黄色の杭がありそれを目標に境界尾根を上がる。 取り付きは急な斜面と歩き初めの疲れで休みながら歩く。 高度があがり雪から岩になると景色も得られ、湯西川対岸の横瀬山がどっしりと見られる。 高度が上がるにつれて高土山の送電線鉄塔のルートが見えてきた。 標高点1192mの雪原に着くと一気に眺望が得られ一ッ石集落の屋根も見れなくなった。 五十里湖に架かる野岩線の鉄橋が、その上に高原山がパノラマのように見える。

 尾根からは南側に栗山沢が深い谷を見せている。 北側にはフリウギ沢が対岸の尾根との間に深い谷を見せている。 遮る物も無い眺望が一気に開けた。 尾根南の斜面には雪はない、北側には雪が見られるがこの辺では少なくなっている。 いよいよ明神ヶ岳の主峰と日向明神の1518m峰が見て取れ、明神ヶ岳の山域に入った事を実感すると同時に遠い峰に時間が気になった。 快適に雪尾根を黙々と上がる、「なな」は今期久しぶりでやや太めである。 久しぶりで張り切っているが疲れているようにも見える。 ここの標高点1192mには尾根が何本かが合わされる。 ウリフギ沢の隣の水琴窟のある沢の所からのケーブルカーの線路が上がって来ていた。 県道では見ていたが何処まで行っているのか気になっていたが大変な高度を登っていた。 しばらくはこのレールと一緒に尾根を登る。 

 尾根は雪庇が厚くあって薮は全く感じさせない、一部ミヤコザサが見える所もある。 ブナの大木もあり根開きも進んでいるが尾根ではそこはまだ見えない。 標高点1383m手前で作業用のケーブルカーは終点である。 そこに今年つけたノボリの柄布のマークに気づく。 笹の中に岩がオブジェのようにある、気づかなかったがカンジキの跡がある。 日陰の所だけであったが以後、時々踏み跡が認められた。 特に栗山沢とウリフギ沢のヤセ尾根付近ではカンジキ跡が残っていた。 ヤセ尾根の棚で軽い食事を摂る。(バナナ、アンパン) ここまで来ると湯西明神のピークが想像つくようになる。 明神ヶ岳本峰と日向明神の峰とその間の尾根が間じかになった。 日光の赤薙山、丸山が馬老山の上に日向明神の峰の肩に掛かった見えている。 栗山沢は歩き易いと言うが沢からここまでは相当の斜面である。 今の時期はとても無理である。 四方の景色はどんどん広がって行く、もう横瀬山、持丸山、高瀬山は下にその先に芝草山の白い峰がその先には那須の白い山並もが見えている。

いよいよ雪の尾根になって来た

作業用ケーブルカーの軌道は先のピークまで

葛老山の上に高原山

根開きが進む・ウリフギ沢側

【湯西明神 (1574m峰)】
 栗山沢とウリフギ沢の間の尾根は高度を増すにつれて眺望が広がり沢が競りあがってくる。 後日の参考に沢をのぞくが深く雪が付いているととても上がれないと感じる。 栗山沢は立ち木があり時間を掛ければ上がれる気はするが、ウリフギ沢は大岩や崖もあり落石の危険もありそうである。 ヤセ尾根を通過すれば発達した雪庇が厚くなる。 高度を上げながら西進すると日光赤薙山、丸山は日向明神の肩に隠れてしまう。 明神ヶ岳本峰が大きくなって湯西明神との尾根が小ピークを連ねているのが見て取れる。 一ッ石からの主尾根は支尾根が急激に落ちていくのに比して穏やかに思える。 湯西明神の手前で進路を北西に変えた所で「なな」が先の尾根を凝視している。 人の声が聞えたような気がした、ヤッホーと二回連呼したが返答は無かった。 「なな」に声を掛けて雪面をひと登りするとダケカンバとブナの尾根に立つ。 ついに湯西明神のある標高点1574mのある尾根に立つ、出発する前に一ッ石で聞いた明神信仰は今は詣でる事はないと言っていたのと雪庇では祠探しは簡単にあきらめた。 尾根北端で下山時のルートの下見に北への尾根を少し見て最高点へ移動する。 地図では真直ぐな尾根もややL字に曲がり尾根を南端に進むといよいよ正面に明神ヶ岳本峰が樹間に見られる。

 ここまでついに一ッ石から辿り着いた、時間によってはここを目標にしていたので充実した気持ちに浸る。 現在時間は13時で小休止するバナナとぶどうパン、水を飲むと落ち着き体力充実する、ここから本峰へ向う事に気持ちもなる。 ピストンでスピードを上げようとザックを木に掛ける。 カメラ、ペットボトル、雨具の上着の軽装で雪庇をくだる。 20m下って樹間から女峰山と真名子山の鞍部が見えカメラを向けていると「なな」が湯西明神ピークを見上げて凝視している。 見てみると青い色が見えた続いて会話が聞える、我が明神ヶ岳隊のほかに入山者がいるようでピークに戻った。 埼玉からの二人の方であった、出身が栃木という事で栃木の山へ来られたとの事である。 明神ヶ岳へとは栃木の山を良く解っていると思った、本当の山人のようだ。 今日はここで一泊するとの事であるテントを張って、明神ヶ岳本峰へ行くそうである。 山部を知っていた「なな」を見て解ったようである。 余裕のテント泊楽しそうである、時間もないのでお先に本峰へ向う。  

湯西明神のピーク

尾根先から日光の山並み

明神ヶ岳本峰を見る

埼玉のお二人、本峰の尾根で

【明神ヶ岳本峰】
 本峰への尾根は滝倉沢と栗山沢に削られてヤセた所がある。 特に栗山沢側には雪庇が張り出している、踏み抜きに注意しながら歩く。 滝倉沢側にトラバースを一ヶ所した、温かくなって雪庇の崩落はまじかに迫っているようだ。 途中には気持ちの良いピークが二ヶ所あり、最後の明神岳本峰には問題も無く到達した。 前回は雪のないシダのある開けた山頂であった。 それに増して明るい雪原で標石は埋もれている、場所は解るがそのままにした。 前回のルートであるヨガタァ(西の鞍部)をのぞいてみる、続いて日向明神・1518m峰を写真に収めてに南側にも行ってみた。 懐かしい山名板も塗料が剥げ初めていたが健在で、木切れの標石脇の山名板も生きていた。 タイムリミットが迫り14時丁度に山頂を後にした。 

ヤセ尾根・右が栗山沢側

やれやれの頂上だ

本峰から見た。日向明神

本峰から見た。小真名子

【戻りは北尾根、フリウギ沢】
 本峰からの戻りは同じ尾根のピストンである、途中で埼玉の方とすれ違い別れを告げて湯西明神へ向う。 途中にワイヤーに縛られたミズナラがある、いつもながら痛々しく思う、作業終了時にワイヤーをカット出来ないのだろうか?。 湯西明神に戻りザックを回収、背負って張られていたテント脇を通って尾根の北端まで歩く。 北端からは上って来ながら見ておいた北への尾根を下る事とする。 北端から70m位下がって尾根分岐までは平穏な尾根である。 分岐では北東へ尾根を探しながら右に急峻なフリウギ沢を感じながら下る。 標高1350mの分岐も解りづらく斜面はなおも傾斜をます、
アイゼンにワカンジキで道を付ける。 その道を「なな」が付いて来るアイゼン無しには滑落もある、注意しながら大岩を巻くヤセ尾根と試練の連続の所で登りには使いたくないと口に出てしまう。 前沢の支流のタカ沢とフリウギ沢の鞍部から標高点1232mの尾根に着いた時はほっとした。

 この尾根のフリウギ沢側には林道が来ている。 この道は山部の地図には無いが一ッ石からの尾根を歩きながら林道を見ていたのでいざとなれば道に出ようと考えていた。 尾根を北に進むと三角点峰1169.1mがあるが手前鞍部から林道に下りて林道歩きに切り替える事とする。 判断は陽が落ちてきた時間である、16時20分最後のパンを食べた「なな」にはチョコレートを残りはパン1っ個と水200ccである。 林道は遠く長く先の尾根に消えている。 ただ歩くしかないカンジキは外す、林道は雪に埋まりアイゼン無しではステップを切りながらになるのでしばらく付けて歩く。 尾根を巻いてショートカットしながら林道を進んで高度が下がるとアイゼンは不要となった。 雪はくるぶし位沈むが歩き易くなった。 地図に無い道なので地図に線を入れながら進む、三角点峰1169.1mの下を通ったのでメンボリ沢手前まで北上したようだ。 標高点971m下を通過して桧の植林地を歩く、フリウギ造林地の看板を通過して人工物を見る。 さらに進むと二又に林道がなり、ゲートのある雪に押し潰された小屋を過ぎると程なく県道に出る。 県道を一ッ石に向って歩く、フリウギ沢の橋を渡り水琴窟を過ぎると登りの尾根にあった作業用ケーブルカーの所があった。 そこから水量が多い湯西川を見ながら一ッ石集落まで歩いた。

 バス停前の家は立ち退きで土台のみになっていた。 車に戻ると斉藤さんが心配して庭に出ていた、ダムの事、湯西明神の事など話を伺って家路についた。 「なな」は牛乳を飲んで助士席で疲れた様子で目を閉じていた。 

下りでは県境の尾根が見えていた・中央は荒海山

標高点1232mから見た湯西明神

フリウギ沢の先に一ッ石尾根と高原山

雪に埋もれたフリウギ林道
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