太平山 たいへいざん 1959.6m NO.282
栃木の山を歩いて良き友を得た。今回はノラさんと群馬から重鎮さん


【山行日】 2004年 11月 23日 (日) 【天 候】   快晴
【山 域】  日光 【同行者】  重鎮さん、ノラさん・山部の3人
【地 図】  1/2.5万図 国土地理院
        地図(太平山)
        地図(親水公園)
        地図(黒檜岳)
【関連ページ】  重鎮さん「群馬移動通信」はこちらです。
    しぼれさん「しろうと山やの部屋へ」はこちらです。
                黒檜岳-2  (2004.06.05)
                黒檜岳、シゲト山(2003.06.08)
【コースタイム】
 足尾・銅親水公園駐車場(7:40)−−久蔵沢分岐(7:57)−阿蘇沢分岐(9:03)−−1356mP・観測機器(10:05)−−1805mP(11:35-44)太平山(12:25-42) ・休憩(12:53-13:35)−−1752mP(14:15)−−1557.2三角点(14::46)−−植林地・林道(15:15)−−銅親水公園(16:40)














 栃木の全山を歩こうと思いいよいよフィナーレが近づいた。 どれだけの山を歩きもう忘れかけた山もある。 あと2山となった今日歩く大平山と近くの三俣山である。 両山を一緒に歩くことも出来るのであろうが今日は大平山を目指す事と計画を立てていた。 いつも見守ってくれていた多くの山仲間たちと最後の山はお礼登山としたかった。 しかしその山も何となく歩いてしまいいよいよとなった。 今日の大平山へノラさんが同行を申し出ていただいて心強くしていた。 日が近づいてきたある日今度は山のHPで有名な「群馬移動通信」の重鎮さんからご一緒にとの連絡があり楽しみがまた一つ増えました。 ある意味薮山の先輩であるお二人と歩ける光栄に前夜は遅くまで眠れませんでした。 早朝ノラさんとは我が家で合流して足尾へ向かった。

 予定通り足尾の銅親水公園に到着、重鎮さんとも予定通り合流した、『重鎮さんですか、山部です、ノラさんです。』と声を掛け手を差し伸べ握手をした。 最近手を差し伸べ握手するほどの方は無かった。 直ぐに旧知の仲のように感じた、重鎮さんは山部と顔と体も似ているような気がする。(重鎮さんに失礼かな)

 廃墟のような足尾の工場のシュリエットから朝の陽が差し込んで眩しくなり周囲も華やいだ感じになった。 銅親水公園駐車場から松木川、から久蔵沢に沿った道を歩き始める。 自動開閉式のゲートが待ちうけ横を通り抜けて久蔵沢林道を肩を並べて歩き始める。 秋枯れた草原と雑木林を進む、半月峠への久蔵沢に沿った道に別れて安蘇沢林道へ入った。

 はじめは岩山と沢の間の道を歩き高度が上がってくると松木川の対岸の上に見慣れた中倉山の尾根が顔を見せだした。 真っ青な晴天である、何度かの降雪が有ったようで日陰では白いものが見える。

 草木が枯れ土が流失し岩が現れ風雨にさらされさらに侵食し荒れ果てた足尾の山々は日本のグランドキャニオンとも言われる。 公害の原点である足尾鉱毒事件によるものであるが、これほど自然の生態系に影響が広範囲に及ぶとはと思うばかりである。 今歩いている道は林道ではない、「安蘇沢保安林管理道」と書いてあった。 治山用の道で荒廃した山々に植林などのための管理道である。 銅親水公園の所の巨大な砂防ダムは裸にされた山々の大量の土砂の流失をかろうじて止め。

 ある報告によると【1999年に建設省が足尾地区の治山事業に投じた金額は、20億3000万円であり、栃木県は8億円、林野庁は2億余】とある。 明治の頃までの歯車が一企業のために狂ってしまったのである。

 崩れそうな岩に道を歩くしかないように思う、安蘇沢に沿っての道から別れて進むと、行き止まりとなってしまった。 見上げると上に道が見える、無理せず戻ってまた安蘇沢の道に戻った。 安蘇沢を隔てた尾根の上部に巨岩が見える、あの尾根もいつかは歩きたいと思った。 道の両側が柵に囲まれた所に立札があったが何が書いてあったか忘れてしまった。 柵の一部に出入口があって、針金で留めてあった。 1557.2m三角点の尾根である。 地理院の地図には現在地の道は載っていない。

 今日の尾根である1356mの標高点へ向かって歩く、ここまで来ると次第に松木川と対岸の荒涼とした山々が見える。
 大平山の尾根への取付点である1356mの標高点へ到着する。 道はここで行き止りとなる、草の種子でも蒔いてあるのだろうか法面にはゴザが敷かれてあった。 道の上の尾根には無人カメラが設置されていた、太陽電池で駆動しているようで時折モーター音がする。 我々の姿を捉えるのが目的ではなく、松木川全体を鳥瞰しているように思える。(当たり前でしょう) 対岸の中倉山はノラさんと今月初めに歩いた。 こちらから中倉尾根を見ると東の方にオベリスク(石の塔)が見える。 あの所には道がなく中倉山へ行った時もオベリスクの所は通らない、仁田元沢に沿って南に回り込んで登るのである。

 遠くには皇海山も見える栃木の山には数知れない深さがあった。 感慨深いなー、それに良き山仲間たちが栃木の山の深さをさらに深めた。 ありがたい皇海山、庚申山、足尾の山々が今日の晴天を呼んでくれたのだろう。 
 






 1356mの標高点から笹尾根歩きである。 背の低いミヤコザサにはうっすらと踏跡があり、この尾根が大平山へのルートであることがわかる。(人が踏んだか鹿が踏んだか不明であるが鹿と考えるのが自然なのでしょうね) 少し歩くとミズナラやダケカンバの樹木が出てアクセントがあり良い尾根である。 パワーがない疲れも出たどうもエネルーギー切れのようだ、ここでの小休止を願い出て一服した。 アンパンを頬ばり、水を飲んだら落ち着いた。 笹は次第に深くなる、テープが何ヶ所かあった深い笹原を泳ぐように歩いた所もあった。 笹原は広くどこを歩いても良いようだノラさんは先に行ってしまった、重鎮さんも行ってしまったトボトボと笹原を歩く。 1800m付近で待っていた二人と合流してすばらしい展望を楽しむ、山頂方向から二人の登山者の姿が見える。

 段々と近づいてくる、『ヤッホー』と声を掛けると返事が返ってきた。 小奇麗なご夫婦である、こんな時間に大平山を下ってくるとはどこから来たのだろう、時計を見ると11:45である。(後にこの方はHP「しろうと山やの部屋へ」のしぼれご夫妻であった。 大平山の山頂はまだ遠い笹原の先の稜線にダテカンバの白い幹とコメツガの黒い森が見える。 一歩一歩また一歩笹原を歩く、これほどの広大なミヤコザサ原は初めてである。 頂上南側の尾根分岐点に到着する、一つコブを越えるとその先が頂上だ。 笹の中に倒木が隠れているが、鹿の道もある。 分岐点で90度に方向を変えて思い思いに各自笹原を歩く着いた。 大平山の名板が目に入ってた、沢山あるもう要らないくらいある。 今日持参した3D山名板であるが要らないような雰囲気である。

 設置させていただこうか、おもむろにザックから取り出した。 気恥ずかしくも設置した所をカメラに撮られた、あと一つ三俣山を残すだけになった。 山頂の展望は今一つであったのでさっきの尾根の先まで戻って昼食とした。 ビールで乾杯笹原の風はビールと相まって爽快であった。 皆でのどかな笹原に大の字になり時の過ぎるのを楽しんだ。 ノラさん重鎮さんと歩けて本当に良かった、山部のために遠い栃木までありがたい、山は良き友まで作ってくれた感謝である。 足尾の山々の鳥瞰も何事にも変えがたい、地味な山並みをぼんやりと眺めていたが時の過ぎるのは早い、下山ルートを相談して再度大平山へ向かう。 
   







 山頂から社山へのルートを止めて山頂先の1950mのピークから派生する南東尾根を下る事となった。 この尾根も笹尾根である。 その笹は丈がミヤコザサにしては長い、顔くらいまで届くものまである。 何度か倒木に投げられてもんどりうって笹原に倒される。 めげずに笹原を下る又も転げる少し強引であった。 重鎮さんは慎重である、ノラさんは軽やかで笹原を下るしばらく深笹が続きうんざりしていると笹丈が短くなった。 鹿達が笹尾根を横切っていく、警戒のキーンと甲高い声を出す。 笹尾根には鹿道が通っているが当てにならない感じである。 ノラさんの『鹿がつまづいたのを見たことがない』と言うような事を言ったので笑った事があったのもこの辺だ。


 尾根が緩むと祠の屋根のような石があった1650m付近の笹原である。 尾根の疎林のミズナラに熊の爪跡があり、この辺も熊のエリアである。 1557mの三角点の標石のあるピークはなんとなく自然に巻いてしまった。 道形のような踏まれた道に誘導された。巻いた所の先に崩落止めの吹きつけた所に出る。 そこのモルタルには通過跡があり、スリップは無さそうなのでそこを通った。 重鎮さんはここを通らずに尾根を通すらしい、かえって不安定に思ったがそこを通ってきた。 その先の尾根が分岐しているどちらもヤセている、分岐西側尾根には小さいが人が見える、何か観察しているようだ、声を掛けたが返事はない。 そちらの尾根はヤセているようだ、東への尾根には道がある鹿道のようだ。 急な斜面であるまた石も浮いている、危なそうな所は草につかまりながら下った。 ノラさん重鎮さんが後に続いた。

 その先にヌタ場のような水溜まりがあり尾根は終わった、尾根の先からは植林地になって作業道が幾重にもありそれを下った。 道は防鹿ネットにある扉に導いてくれた。 扉は針金で縛ってあった、今朝歩いた道に降りた。 朝のように三人横に並んで銅親水公園へ向かった。 途中で軽の四駆に会った、熊の観察とのことである本当だろうか。 単に熊の撮影のように見えたのだが、車には
許可証のようなものがあったがそれもいかがなものか分からない。 今日の大平山はのんびりと和気藹々の山歩き楽しかった。







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