三界岳 さんかいだけ 2172.9 m NO.357
三角山とも言う、三等三角点「滝澤」設置峰


山頂が白いダケカンバのピークが三界岳 (撮影地 女峰三角点峰付近)

     山部薮人 09.10.12記
【山行日】     2009年 10月 11日(日)
【地形図】     1/2.5万図  「日光北部」地図(女峰) 地図(三界岳・「三角点滝沢」)
【所在地】     日光市
【天  候】     晴 風強い 周囲の山々はガスに見え隠れする。
【同行者】     山部単独 

【コースタイム】
志津ゲート発(5:30)−−馬立(5:55)−−水場(7:35)−−唐沢小屋(7:50)−−女峰山(8:30-40)−−尾根分岐(9:10)−−尾根露岩通過(9:50-10:30)−−2189峰(10:50)−−三界岳(12:00-05)−−尾根露岩通過(13:25-45)−−尾根分岐(14:20)−−女峰山(15:10)−−唐沢小屋(15:50)−−(界標調査)−−馬立(17:00)−−志津ゲート着(17:30)

一週間前の女峰山は、こちら>>

 志 
前週の三岳探検隊での三界岳は時間と尾根先の露岩に阻まれて敗退した。 今回はそのリベンジである、目標には「鉄は熱いうちに打て」のようにモチベーションを維持するため期間を置かないことが私のやり方。 前回は露岩の約10m下まで降下して見たがロープの長さと手掛りの無い登りをどうするかの課題を持って帰路に着いた。

地元小山から一週間日光山地の雲を見ていた、男体山や女峰山には雲が掛かっていた。 台風後は冬の天気になって安定している。 私は晴れ男、前々週の前白根山の時も我々の所だけ快晴で周囲はガス、前週も我々の所だけは終始陽が射していた。 心は晴男そのジンクスは確率9割であろうか、しかし山に入ればどんな天候でも対応しなければ単独では歩けない。 さて、今日に備えて準備をした、唐沢小屋での前日泊はやめて早朝発にした。 最悪時は唐沢小屋の中で震えて朝を待つこととした。(シュラフ、コンロなどの装備はしない)

     前週の三界岳敗退は、こちら>>
朝日に燃える、馬立手前林道から男体山 凍てつく唐沢から霧氷の前女峰を見る

露岩への道
志津乗越には沢山の車が林道いっぱいに止まっていた。 その間をすり抜けて林道を進みゲート前付近に駐車できた。 すでに2台の車が止っていた。 私の車の音に1台の車の中でランプが点いた。 出発の準備を始めたようだ。 私は直ぐに準備し一番に出発した、夜明け前の出発で寒い、歩けば直ぐに汗ばんで暑くなるのは分かっているが薄い上着を羽織った。 馬立、御沢川を越え御沢川の支流唐沢の砂防堤を見下ろして、その沢に沿って笹原、さらに樹林を抜け沢を越え水場に着いた。 台風の影響か水場の水量は多くパイプからは勢い流れ出ていた。

水場手前では「宮界標」を見ていると大きなザックを背負った夫婦連れが下山してきた。 風花が待っていたので様子を聞くと昨晩は吹雪だったという。 どうりで寒いと思った空にはガスが流れ暗雲立ち込めるといった感じである。 水場で小休止しメロンパンを半分頬張った。 今流行のミルクティーを飲む。 汗が出る前に上着を脱ぐTシャツの下に薄い長袖の二枚重ねとなる。 薄手のナイロンパンツのみで寒くなったら雨具を着込むとする。 一服していたら後続の埼玉の方が先行していった、直ぐに後を追う。

唐沢小屋を過ぎると雪だろうかベンチに雪が乗っていた。 強風、前女峰はガスに見え隠れしている。 唐沢の岩が凍てついている。 2300m以上の木々には霧氷が着いている、女峰山山頂は強風にさらされている。 前週の様子からは一変していた。 霧氷は発達し海老の尻尾がそこ彼処に見られる。 強風にガスが尾根を越えて飛んでいく。 下方の鬼怒川や沢からの空気が尾根にぶつかり尾根上で冷やされ霧氷を作っている。 北風であるその先には雲は無い。 時間が経てば天候は次第に落ち着くであろうとこれからの天気を読んだ。 現在時間8:30今後の行動を決断しなくてはならない。 埼玉の方はしばらくして下山との事である。 これからの時期を考えると仮に三界岳に到達しなくても先週の先を見てこなければならない。 午前11時に次の判断をし、12時には撤退と決め前進した。


女峰山山頂、氷点下5度


凍える、二等三角点標石


霧氷の女峰山 (撮影 三角点標石峰)

三界岳は女峰山の北方にある、三界岳へは北東へ赤薙山への表日光の尾根を進み途中で分岐し三界岳の尾根に乗る。 この尾根は野門沢と下タケ沢の間にある。 三界岳ピークの北方には上タケ沢があり三つの沢が山名の通りの三角形を作っている。 三界岳へは野門から野門沢を渡り北尾根を忠実にたどりピークに達するのが標石設置やその後の林野管理の道筋のようだ。 奥鬼怒と奥日光を分ける尾根に向って北に何本もの沢があるがいずれも深い谷になっている、その中でも三界岳周囲は急峻になっている。

私は三界岳の尾根は女峰山や帝釈山から何度も見ていたが今までは三界岳を意識していなかった。 その三界岳を目指すとなれば当然女峰山ルートを探る、尾根を通して歩きたいと考えた。
赤薙山に続く尾根の分岐は地形図を見ていると尾根分岐は分かりやすく疎林で入り易い。 リボン類の少ないのは三界岳を目指す方が少ないからだろう、黄色の布を三つ見ているがその他は露岩までの赤テープが二つだけであった。 


赤薙山への尾根は霧氷・ガスに煙る

露岩を越える
途中の尾根はコメツガやシャクナゲはあるがルートを隠すほど深くない。 前週は露岩に行く手を阻まれたが、ロープを使い確保しながら露岩の下部を巻いて岩棚に乗って鞍部に達した。(50mロープ、変形8環、セルフビレー(ロープマン)、ハーネス) ここを越えればロープの出番はない。 2189峰との鞍部は木の根の張った尾根で問題ないが野門沢側は崩落した所がある。 その先のヤセ尾根は見通しの良い岩尾根だがここも問題はない。 2189峰の中間部で時間は11時30分。 あと一つ鞍部を越さなければ三界岳には着かない時間との戦いだ。 シーザーではないが「戻るべきか、行くべきか」迷った。 先に行こうと決断した、根拠は「唐沢小屋」があるからGOとなった。 露の付着したシャクナゲを通過雨具上下はぐっしょり濡れた。 30分弱で山頂に立てた。


尾根上の露岩

2189峰へヤセ尾根続く

三界岳
三界岳山頂は樹木が伐採された開かれた所であった。 その尾根の先は下草の無い疎林が続いていた。 周囲を探索すると航空測量用の白板が落葉に埋もれていた。 この山の三角の形を見るのは野門からになる、三界岳は女峰山の尾根から来る山ではないようだな気がする。 2189峰には鹿道があった、野門沢と下タケ沢に下っていたので沢からの尾根越えルートも考えられる。 しかし、沢越えなら富士見峠下部からになるのだろう。 しかし、それは想像に過ぎない。


滝沢・三等三角点

カラー3D 山名板

帰路
歩いた道を忠実に戻るが2189峰の北のピークで西側の鹿道を歩いたら西の尾根に引き込まれ歩いていないなと感じ確認したら間違っていました。 ところがそこからの露岩の尾根のビューポイントでした。 そこから東側の鹿道をたどって尾根に復帰する。 鞍部を慎重に通過し、いよいよロープを使った登高に挑戦である。 全てを一人で行うので登ってからロープが絡んで回収不能なんて事は許されない。 ロープマンにて墜落回避の確保する、手掛りを探して移動する墜落しないと思うと意外と大胆になる。 手掛りがあれば何とかなるが、ここは崩落しているので手掛りが無いそこをロープを利用で安全に戻った。 ロープは水分を吸って重くなった。 8mm 50mで1.7Kgであるので2本のロープだけで3Kgだ。 ザックに戻し歩き始める、

      
                ガスが来る、2189峰の丸い露岩尾根からヤセ峰を見る

尾根分岐に着く足跡が沢山付いている、尾根縦走は多そうである朝一番であった三人連れは赤薙山近くでテント泊との事、寒くて眠れなかったと言っていた。 女峰山へ向う途中で前方に二人連れが見えた。 頂上で会うと3人居た、若い方と他人のようだが霧降から来たと言っていた、今日は唐沢小屋に泊まって明日は帝釈山、小真名子山、大真名子山を歩いて志津へ向うと言う、3人と一緒に唐沢小屋へ、振り返ると後に赤薙方面からこちらに来るのが見えた。

唐沢小屋で雨具を脱いで身軽に、そのまま下山した。 途中で笹原の中に界標を3基を見るデータを取った。 そんな事をしていた訳でもないが車に戻ったのは17:00で真っ暗になってしまった。 疲れたが達成感がそれに癒された。 急ぎ林道を下ったが戦場ヶ原赤沼で紅葉狩帰りの車でストップ、その後ノロノロでいろは坂まで1時間半も掛かった。


三界岳 中央ダケカンバの疎林が三角点ピーク



「女峰山・二等三角点」標石から女峰山ピークを見る

一週間前の女峰山は、こちら>>

三界岳へは、登山道はありません、 ロープでの確保などが必要な危険な峰でした。
この山への登山は危険でお薦めできません。マークなども殆んど有りませんでした。

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