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2012年-report-103

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第三回富士山標石調査 一等三角点『富士山』 剣ヶ峰 】



富士山最高所や地図測量の基準点のある剣ヶ峰 2012. 9. 1

剣ヶ峰の標高は明治20年(1887)に白山岳から平板測量により標高3778mを求めました。 その最高点位置は何処だったかははっきりしていません。 現在剣ヶ峰には二等三角点『富士山』 標高 3775.6mと電子基準点『富士山』 標高 3777.5m、その『付属標』 標高 3774.9mが設置されています。 測量・測地の基準点としては電子基準点『富士山』 標高 3777.5mが日本最高所にある基準点です。

しかし、山岳としての現在の標高は、3776mですが、二等三角点標石から約12m先の岩が最高点です。(電子基準点近傍の岩) 明治20年測量当時の標高3778mが正確だったことに驚くばかりです。







富士山の火口・大内院 火口底の標高 3537m

富士山には沢山の火口があり、火を噴き溶岩や火砕流が森林を焼いたのであろう。 山頂の火口からは最大の噴出量が飛びだし現在のような山の形が出来たであろう。 山頂には大内院と小内院という大小の火口がある。 大内院の火口底と剣ヶ峰とでは標高差は239mもある。 現在立ち入り禁止となっている。 6月末に来た時には火口(お鉢)が全面雪に覆われていた。 現在も剣ヶ峰下の斜面には万年雪が残っている。 近くの大きな岩は虎岩で50m位垂直の壁となっている。 見方によっては虎に見えるようだがイメージは無かった。







電子基準点『』富士山』 3777.5m 電子基準点付属標 3774.9m

赤茶色の洒落た塔が電子基準点『富士山』だ。 寒冷地用なのだろう、モニュメントの意味もあるのだろう。 説明板と金属標の付属標が設置されている。

この電子基準点はつくば市の国土地理院と衛星回線でつながっている。 刻々位置情報が富士山山頂からつくば市の国土地理院へ送られる。 地形に変化があるとすぐさま情報が送られるということである。 たとえば最近聞く、富士山噴火説であるが、あってほしくないなー。 電子基準点は平成14年(2002)に設置されました。







「日本最高峰富士山剣ヶ峰 三七七六米」碑  二等三角点『富士山』標石

ここが富士山の最高点の剣ヶ峰である。 「日本最高峰富士山剣ヶ峰 三七七六米」碑が建つ。 写真には人物はないが、この最高点碑前での記念写真撮影の順番待ちの列が長く続いている。 碑の右に三角点表示杭(白)、保護石に囲まれた二等三角点『富士山』標石がみえる。 標石の上に修験者が置かれたお札木置かれて賽銭もあった。

遠くにシュリエットのように見えるのは、右から成就岳、伊豆岳、大日岳、碑の裏の平らな所は久須志岳である。
 







二等三角点『富士山』 3776.5m

明治以来の富士山の最高所にある基準点である二等三角点『富士山』3776.5mの初期の点の記によれば「頂上ノ最高は標石寄ヨリ北方約十米ノ岩」とある。 この点は明治20年(1880)と同じ所かは不明である。 昭和37年(1962)に保護石の台座を再製し現在の標高 3775.6mの高さに設置されました。 さらに昭和52年(1977)に地震予知計画らよる精密測地網測量で標高観測が行われました。 この時は従来の経緯儀による角度観測でなく光波測距儀による斜距離の測定値から算定方法でしたが従来の値を更新するだけの精度がなく改訂されませんでした。 

平成1年(1989)に行われた調査では 3776.2mだったそうです。 平成2年(1990)に民間測量業者によるGPS観測と御殿場から山頂まで二等水準測量が行われ三角点の標高は3775.7mとされ、さらに平成8年(1992)静岡大と民間測量業者が水準測量路線に沿った重力測定をもとに補正し標高 3776.2mとされました。 しかし、国土地理院の測量でないため公式の値としていません。 平成4年(1992)には、気象庁測候所の土台に補助点を2点設置した。

・今回、補助点(2点)は確認できなかった。 日本の最高所の高さへの思いはいつの時代にもロマンを秘めている。 富士山は活火山で生き物だ、過去の高さが間違っていたのではない、生きていて常に動いていると思った方が良いのかも知れない。 標石は戦前の陸地測量部時代の規定のものであった。 150mm角柱、上面は面取りあり、上面の「+」は55mm線が交差する。 また、近年「ICタグ」が穴明し接着されている。 保護石4個、各石の材質に違いあり。







二等三角点『富士山』 3776.5m 2012. 9. 1


上面にはICタグが埋められている。 プラスチックカバーが無かった。 所詮自然石に接着剤など化工品で取り付けても風雨や温度など特に厳しい富士山などでは外れてしまうだろう。 ICタグは表示杭に仕込む方式にすればよいだろうに。

基準点である標石に現地で穴明加工をする事の行為は基準点に支障はないのだろうかと心配している。 測量法にも基準点の成果に異常をきたす行為を禁じているのだが、明治以来引継がれてきた標石は近代日本の生き証人なのだ。 標石を大切にしましょう。

標石の周囲には丸い川原石に文字が記されて置かれている。 この山には無い石だ、途中で投げ出してしまいたかったろう。 元々の祈願文は読めなかったが、最近マジックで書かれたものがあった、「2011年8月20日 1回目の富士山登山。 ついに山頂まできたぞ!!」







二等三角点『富士山』 3776.5m 2012. 9. 1

規定に刻字であった。 拓本作業が終了、写真を撮ろうと火口方向を見るとガスが掛かり始めた。 急いでシャッターを数回押し下山準備をした。







富士山山頂の基準点及び標高の相関図


第三回富士山調査二等三角点 『 富士白山』 こちら>>

第一回富士山調査 2012.6.30-7.30 二等△ 『富士白山』 こちら>>

第二回富士山調査 2012.7.7-7.8 二等△ 『富士白山』 こちら>>

出典 : 「日本の測量史・富士山の測量」上西勝也氏 こちら>>


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