ゆぜんだけ 温泉ヶ岳頂上直下の古穴  NO.116-3


温泉ヶ岳山頂直下の笹原に古井戸のような大穴あり。 穴の存在は大永七年(1527)日光修験・修験者の私記にもあり、今から480年前のことだ織田信長生誕(1534)前の頃である。 今回、この古穴調査に現地を訪ねた。  
【山行日】 2009年 9月 5日 (土)
雄大な、温泉ヶ岳 2332.9m
【山 域】  白根山
【地 図】  1/2.5万図地理院(男体山)
       地形図(金精峠・温泉岳)
【天 候】  晴、時々雲が流れる
【所在地】 栃木県日光市
【同行者】 ノラさん、山部の2名

【関連ページ】
 宮 界標が並ぶ修験者の歩いた道は、
                         こちら>>

   


温泉ヶ岳山頂直下の笹に隠れた大穴、存在は古書にあった。


【古穴の調査への順路】
 温泉ヶ岳(2332.9m)山頂から大穴の調査向った。 頂上周りの笹は前夜の夜露に濡れている。 薄い踏跡(鹿道)を5m程下るとその道は次第に右に曲がって下り行く。 今回はその道を下って北に笹を掻き分けて大きな木のあるテラスのような平地に出た。 その大きな木の根元に古井戸のような古穴が口を開けている。 温泉ヶ岳は白根火山帯の山であるので噴気孔であると危険なので慎重に周囲を観察する。 火山性ガスがあると植物の生育に影響があるのでその辺も観察する。 空気の流れは感じ無い岩の間を吹き抜けてくる流れも感じられない。 底には山砂が堆積しているが水はない。 大きな岩の重なりによるその隙間のように見えた。 岩は10m以上の深さで垂直な壁で囲まれた空間になっている。

 この古穴、笹に隠されているので「落とし穴」のようで、転落危険で注意を要する。 


穴に垂直に落ちていた倒木を取lり除き、古穴の全貌を調査 (写真提供 ノラ氏)



古穴の全容をのぞき見るが暗い

ライトで底を見る


【山頂直下の古穴の事が、古書にあり】

 温泉ヶ岳(ゆぜんヶだけ)の大穴の傍を日光修験の夏峯行の道筋が通っていた、修験者の私記にその記述がある。

 夏峯行者の私記『補陀洛順峯入峯次第』によると、『温泉ノ獄へ参後夜ノ勤アリ 夫ヨリ駈レハ頂上ニ穴アリサヽノ中也 可用心』の書である、 大永七年丁卯(1527)に入峯したことを享禄四辛卯閏年五月(1531)慶住房清応が書した、元禄五年円音坊宥景により書き写されたものがある。

出典:「日光市史 史料編 中巻」 P999上段   情報 :@宇都宮氏



N36. 49. 28.5  E139. 24. 15.2  2324m

深さ 6.448m 穴横幅 2.822m


穴の確認

 場 所 
   ・温泉ヶ岳山頂からの東斜面の踏跡を約10〜15m下った地点に、棚状の平地あり、
    その中心に大木が数本ある、すぐその横に笹に隠れた大穴あり
   ・ 周囲の斜面は一面の笹原で頂上から勢いよく、下を見ずに下って転落と思うと、ゾーとする。
   ・ 緯度経度  N36. 49. 28.5  E139. 24. 15.2 (GARMIN 60csによる簡易計測)

 穴の大きさ
   ・上部は、円形 直径 2.822m、 深さ 6.448m
   ・下部の形状は、角型の大きな岩による偏四角な長方形の空間を作っている。
            
 穴の状態と確認作業
   ・情報によると、噴気孔との情報もあったので、亜硫酸ガス等に注意しながらロープ確保により、
    下部に入る。 底が確認出来たので下記の確認記録した。
   ・穴上面縁は真円で周囲の笹が30cm位覆いかぶさり、穴を小さく見せている。
    その下にはシダ類が少し岩の重なり部分隙間にある。
    訪問時には、大きな枯木一本が底まで垂直に入っていた。(2人掛りでロープで引き上げる。)
    上面にも2本の木が被さっていた。 これも撤去する。
   ・レーザー計測器により、穴の寸法を測る。  岩の重なり具合と状態を観察する。

穴の状態
   ・火山で出来た山と聞いていたが大穴の周囲の岩は花崗岩である。 岩の大きさは不明だが
    四面を作る壁はそれぞれ1つの岩面で形成されている。

   ・やや変形であるが長四角形の空間を作っている。
    底面は、1200 × 1600 /mmで、底に砂が均一に堆積して平らである。 
    底は、水は浸透しているようで砂は洗われている感じで綺麗。

   ・噴気孔ではない、大岩の空間である。 空気の流れは感じられない。


【装 備】

   ・食料(飲料500ml 4本・パン3個外)、雨具、ヘッドライト、鉈、手袋、ロープ、カナビラ類
    界標小道具(小スコップ、ハサミ、ブラシ、メジャー)、カメラ、地形図、GPS、メモ用紙など


【コースのタイム】
   ・金精トンネル口駐車場発( 6:20)−−温泉岳分岐(7:40)−−温泉岳山頂(8:00-30)−直下の古穴
    <調査>(8:05-:35)
温泉岳分岐(8:50)念仏避難小屋方面の界標調査へ続く

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