
高薙山頂上を見る (北東峰ピークより) |

標石・高薙山 |
【概 要】
栃木の北部山岳の中でこの高薙山の周りは今も生きているようである。 谷も深く根名草山、大嵐山、手白山も斜面には樹木剥ぎ取り崩落している斜面が見られる。 高薙山の魅力はなんといっても急峻な山容にある。 西沢金山跡のゲートの前に立っていると沢横の1670m峰の斜面からガラガラと岩が沢近くまで転がってきた。
今年最後の雪の中を歩き寒い思いをした。 その時は日光湯元から歩いた。 今回は西沢金山跡から北東尾根を登り、下りは山頂正面からの南東尾根を使った。 下りのルートはSatoさん、Yoshiさんが歩かれているので参考にさせていただいた。
メンバーは烏ヶ森の住人さん ノラさん 山部の三人、和気藹々の山行となった。 |
【1753m峰を目指して】 |
西沢二又の右沢の横に舗装された林道ゲートがある、ここが今回のスタートとなる。 早朝に家を出て7時に到着である。 山仕度を終えゲートを潜って出発する。 沢に沿って道を約50m歩くと右に薙ぎがある。 薙ぎの手前の右の緩斜面に取り付く、ミヤコザサに倒木が混ざる。 そのまま進むと眼前に地図にはない大岸壁が行く手をふさぐ、壁に沿って右に巻いて行く尾根の先端の壁に上がれる所がある。 ダケカンバと笹の斜面を登っていくと尾根は明瞭になる。 程なく崩落地点の上に出ると、日光の山々が西沢の上に見えた。 対峙するのは於呂倶羅山で、隣に金田峠が見える。 一息ついてまた尾根をたどる、暑い日差しは林でさえぎられているが汗が滴る。 (取り付きは西沢金山寺跡付近にピンクリボンがあったのでそこの方がベストなのだろう。)
西沢金山寺跡からの尾根形を合わせると1753mピークの南東尾根の先端に到着する。 樹種がコメツガが増えてくる下草は笹であるが薄く歩行はスムースである。 平らな尾根を進むとやがてピークが現れる。 ピークに立つとその先にさらに高いピークが見える。 一旦笹の鞍部に下り上り詰めると1753m峰ピークに達した。 ピークには標石「山」がどんと座っていた。 コメツガとダケカンバの林で緑がすがすがしく感じる所だ。 そばにあるホーの木がよりみどりの葉を見せていた。 |

西沢金山跡のゲート |

1753mの標石 |

鞍部の二人 |

御前橘 |
【高薙山、北東峰へ】 |
1753m峰ピークまで上ると距離的に約1/3歩いた事となる。 しかしここからは上り一方になる、1753m峰から見る鞍部は一面の笹原が広がり昼寝でもしたい所で広葉樹の明るい葉が茂る。 笹原から尾根に取り付くと笹は次第に少なくなりダケカンバの林となる。 倒木を超えながら尾根に入りいるとピンクの建設用のリボンが付けられていた。 岩と倒木は果てしなく続く、傾斜は変わらず上りであるが藪もないに等しい”やや拍子抜け”などと軽口など言いながら進む。 1772mポイント先の薙ぎ頭の崩落地点からは日光の山々と西沢右又の沢筋が鳥瞰できる。 今日は日差しがあるがやや霞がかかりはっきりと遠望できない。 崩落は尾根際まで来ているが歩行に問題はない。 進むとコメツガの樹林の倒木は変わらす続く2000m付近で一息ついた、見渡すとシラビソが現れコメツガと入れ変わる所だった。 白い樹肌がコメツガより美肌で上部に多く見られる。 このあと少しでシラビソは見られなくなった。 樹林の中には僅かであるが残雪があった。
尾根は傾斜を強めて岩が現れ、一部巻いたりよじ登ったりするが想定内である。 シャクナゲ薮もあるが問題はないシャクナゲの花もこの辺はまだ残っていて見ごろだ。 岩場の途中に可憐な「御前橘」が見られた。 岩から背の低いコメツガの尾根を進むと山頂の前衛峰(北東峰)が見える。 前衛峰のコメツガとシャクナゲ薮を分けるとピーク下にでた。 シャクナゲを分けて見上げるとピークがそこに見える。 上がって見ると高薙山三角点峰がすぐそこにある。 高薙山頂の分までの眺望がある。 ピークの周りはシャクナゲがスクラムを組んだ藪で西の湯沢側からのルートを閉ざしているように見える。 いよいよ高薙山へ向うシャクナゲを分けて一旦下りコメツガの森を稜線のシャクナゲを避けながら下る。 倒木を避け乗り越えて鞍部に来ると東側に一帯の大きな樹木が倒れて明るくなっている。 風だろうか雪だろうか大規模に倒れている。 鞍部から高薙山の北斜面は倒木で明るい。 斜面はその中にミネザクラの大木があったこの時期なので桜ではなくズミかと思ったが花がピンクの小さなミネザクラであろうか。 その斜面を進むと小さな「にせKUMO、古賀志山歩会」の山名板が目にはいる。 標石も見えるが「3D、達筆、AKi山」が見えない、一瞬方向を失うが頭の上に山名板があった頂上に到達した。 同時に右手からノラさん烏ヶ森の住人さんが標石を囲んだ。 |

折れた大ミネザクラ (この辺ではこの木のみのミネザクラ) |

後ろに前衛の北東峰(2150m)が見える |

山頂から南西を見る・薄っすらと白根山 |

高薙山(2180.7m)にて |
【高薙山、南東尾根を下る】 |
山頂は薮はなく、西側はシャクナゲが今を盛りに咲き乱れていた。 眺望を求めて南西端に行くとシャクナゲの藪は雪のない蜜なものであった。 日光白根、温泉ヶ岳が尾根の上に変わらずに座っている。 日光の山並みはやや靄に薄っすらとある。 雪と違った表情がここにある、山頂に立った感激にひたった。
いよいよ下山である。 朝スタート前に金田峠から西沢金山跡への昔のルートを歩く提案もしたが、今日はSatoさんルートで一致し下り展望台の大岩に向かう。 まず頂上から尾根を見出すべく方向を定めくだる。 尾根は2193m峰を右に見て感じながら下降する。 コメツガの樹林の中は倒木も多く、乗り越えながら下る尾根も明瞭になり始める。 烏ヶ森の住人さんが太郎山方向に進むとよいとアドバイスが後方からある。 樹林から尾根に出て岩を巻き下を歩き振り向くとその岩が大岩だ。 ノラさんが岩に登り見渡している、続いて山部も大岩に立った。 深い谷の先に先人の歩いた金田峠からの道があるはずである。 思い探すように谷に吸い込まれるように峠からの尾根に目をやる。 改めて高薙山の谷の深さと緑濃い尾根をのぞき見る。 感動もそこそこにまたシャクナゲの薮に突入だ。 所詮下りだと侮ると方向を失いかけない、しばらくは地図と地形を慎重に(実際は感ピューター)歩く。)
途中の開けた所からは目指す二つのピークが視認できる。 樹種がダケカンバに変わると笹が深くなる。 笹薮というより笹の海に、波にのみ込まれるような感じである。 傾斜が緩むと笹は蜜になりここを上りで使わなかったの幸運であった。 ここをSatoさんYoshiさんは難なく往復したのだ、底知れぬパワーか技なのか脱帽である。 笹波に何度も紐を解かれた。 笹の尾根から1670m峰へ方向を変えて行く鞍部の所で、山部は直進後ろの二人は鞍部で待ってくれるが密な笹は横に上に進ませてくれず遅れをとってしまう。 ばらばらになって鞍部から笹原を上る。 密なクマイ?笹を過ぎミヤコザサに変わる尾根になって進むと左に白い薙が下に落ちている地図にはない。 その尾根を歩いていると雷鳴が聞こえる、まだ近くではないここまで来れば着いたも同然という気になってしまった。 気が緩みそこが第一の1670mピークと勘違いを始めてしまう。 山王林道を走るバイクの音も近くに聞こえ降りたも同然と気楽な気だ。 |

展望岩に立つノラさん |

展望岩下より2193峰を見る |

第二展望岩付近 |

シラビソの尾根 |
第二の1670mピーク手前の鞍部をろくに方向も確かめずに薄い赤ペンキがあり西沢左沢に下ろうと山部が言う。 ノラさんは先の赤ペンキをと言いその場はそれに従い第二の1670mピーク下まで赤ペンキを伝う。 ここでまた山部が左沢側に下ろうと言い一気に下ってしまった。 間違ったら西沢左沢を下って西沢橋まで沢を歩けばいいじゃないかと。 これが間違い沢の冷水で火照った顔を洗うとなんと気持ちが良いのだろう。 下りながら沢を観察すると沢の30m位下手は両側が切り立った岩に囲まれ沢の流れが見えない。 もしやと思っていたが沢で一服して、沢の中を歩いて行くとそこは沢が途切れて10m近くの滝になっていた。 その先は不明であり両側の岩の状況では沢歩きは困難と見て再度第二の1670mピークへ上り返す羽目になった。 申し訳ないなーと思いつつ岩と木の根につかまりながらゆっくりと急斜面を上がった。
第二の1670mピークを巻くように左に左にと赤ペンキと踏み跡を進むと鞍部に出る。 赤ペンキは前のピークに向かっているが、また右の沢に下りたいような気がする。 一帯はカラマツの植林に変わって人の手が入ったのであろう。 手前の深い笹原はカラマツの植林でもと人手をかけたのであのような笹原になったのかな?。 歩きながらいろいろの事が頭の中をめぐる。 そんな事を考えていると余計方向がおろそかになる。 第一1670mピークからも右の尾根に入り込みそうになる。 赤ペンキは古いものであり矢印→があるが行きか帰りを示すかが明瞭でないので注意が必要である。 ノラさんが先頭に変わり確実にルートをつかんで尾根を下る。 後をついて行くまた下に沢が近づいて来る、今度こそ本来のルートのようだ。 沢には砂防ダムが見える、作業道らしきものも見える。 先行するノラさんが道に降り立ち帰着を実感した。 幸い雷も日光側に向かったらしくこちらには来なかった。 三人の衆智を合わせての山歩きが出来楽しい一日になった。 終始、SatoさんYoshiさんが歩かれたという実績に安心感が気持ちに余裕だった。 |

1750m付近で地図を読む |

深い笹原を進むノラさん |

第一の1670m下のピークの赤マーク |

ノラさんと山部・西沢の橋に戻る (撮影:烏が森の住人さん) |
【ご注意】
ご注意この山は深く登山道はありません、誰にも会わないのが普通です。 笹、シャクナゲ、コメツガの薮があります。 下りルートにマークなども一切ありませんでした。 特に危険な山です。 |
04.04.03の高薙山はこちらです。 05.04.23の高薙山はこちらです。
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