袈裟丸山 けさまるやま  1957.9m NO.252
袈裟丸山の山頂を前袈裟丸山(1878.2m 三角点標石)という人がいる。中袈裟丸山(1903m 1/2.5万地図の名前が側にある)という人もいる。奥袈裟丸山標石(1957.9m)という人もいる。前袈裟の標識には袈裟丸山0.5KMの記載がある、そうすると後袈裟丸山(1908m)が袈裟丸山だろうか。 袈裟丸の連峰を歩けば理解できる、奥袈裟から前袈裟までの連峰一帯を袈裟丸山と言事が解る。 国土地理院の山岳標高見直しによれば袈裟丸山連峰の最高点は奥袈裟標石の先のピーク(1961m)だ。 地理院の 1/2.5万地図も連峰の中間に書してあるのもうなづける。前袈裟丸にたどり着けばそれも袈裟丸山到達なのだろうが。 山を目指すなら奥袈裟まで歩いて、植生の変化と各ピークの眺望を楽しみたいものである。 
【山行日】 2004年04月24日(土)
【山 域】 足尾
【地 図】 国土地理院
 1/2.5万 地形図(袈裟丸山)
【天 候】 快晴、雪雲襲来一時雪 強風 
【所在地】 足尾町、群馬県東村、利根村 
【同行者】 「なな」 / 奥袈裟から宇都宮の斉藤さんと二子山もこ゜一緒した。


タイム】
自宅発
(4:10)==国道50号,122号==沢入・林道西山線(6:30)==塔之沢口・通過==折場口着(6:50)/・弓の手コース(7:10)−−尾根分岐(一般コース)−−1220付近ベンチ南尾根分岐(7:50)−−賽の河原(8:00)−−1607峰・雨量観測設備・アンテナ(8:15)−−小丸山・小袈裟(8:30)−−避難小屋(8:45)−−前袈裟丸山(9:28)−−後袈裟丸山(10:10)−−中袈裟丸山(10:30-40)−−奥袈裟丸山(11:40-12:45)−−中袈裟−−後袈裟(13:18)−−前袈裟(13:53)−−避難小屋(14:21-27)−−小丸山巻道(10:31-37)−−賽の河原 B−−1607峰・アンテナ山(15:01)−−二子山(15:20-33)−−1607峰下登山道復帰(15:50)−−賽の河原(15:54)−−展望やぐら−−ベンチ(16:02)−−尾根分岐(健脚コース)−−折場口・帰着(16:20)==大間々==自宅(19:00)帰着

歩行時間  9時間10分(休憩含む)
    関連ページ 二子山はNO.253を開いて下さい
自宅、折場登山口往復 95km(国道50号,122号、沢入経由)


【袈裟丸山(前、後、中、奥袈裟の総称)】

前袈裟丸山

後袈裟丸山頂から前袈裟を見る


【山行動機と実際の歩き】
尊敬する、Yoshiさんの「高原山探訪」のページで小法師岳、巣神山を見て今度はと計画する。
今日はヤシオツツジの開花下見と二子山そして小法師岳、巣神山の予定であったが。
途中の雨量観測設備の所まで歩いて袈裟丸山を見ているうちに奥まで行きたくなったので予定変更した。二子山も後回しで袈裟丸山に向かう。


【取り付き点・折場口】 7:20 〜

早朝4:10自宅を出発する。足尾への渡良瀬渓谷沿いの国道122号線は何度も走っている。沢入の[袈裟丸山登山口]の案内板はいつも見ながら通過していた。今日は国道から[袈裟丸山登山口]の案内板を林道西山線にはいる。しばらくは杉の植林地の中をくねくねと高度を上げて走る。大石、大岩のごろごろした山肌は崩落しそうだ。道の高度が上がると南いわき幹線の送電線を峠でくぐると山肌にヤシオツツジのピンクを目にする。峠からは5分位で登山口の折場登山口に着く。駐車場、トイレ、水場と三拍子揃っている。今日はすでに三台止まっていて誰もいない。コンビニで買った、お稲荷さんで朝食とした。行動食は大福3個とチョコ、同行の「なな」はウインナーとチーズである。先発者を追って二子山に向け出発する。(途中で予定変更して袈裟丸山になったが)

        折場口・取付点

冠雪の赤城山

取付尾根のヤシオ      


【賽の河原・雨量観測施設・小丸山・避難小屋】 〜 8:00〜8:15〜8:30〜8:45 〜
案内板にこのルートは弓の手コースと書いてあった。以前は沢筋をあがっていたが現在は尾根の笹道をメーンコースになっている。始めに丸太の階段があり健脚コース、一般コースがある、一般を選ぶ。木の根の張った尾根道はヤシオが咲き始めたがまだ早過ぎた。北斜面が鹿であろうか葉のないミヤコザサの広がる尾根を上がる。開けた笹原からミズナラ、ダケカンバの林の笹原を歩くと南の尾根からの道との合流地点の丸太のベンチに到着する。風は冷たく腕が寒いので雨具の上着を着る。前のジッパーを開けたままである半袖シャツを素肌に一枚だけ着ている。歩き出して途中で雲に隠れていた赤城山が現れたやはり冠雪していた。すぐにツツジの林(この辺をツツジ平と言うらしい)を抜けると賽の河原に着く。ここで寝釈迦のある塔之沢コースを合わせる。石積みのある賽の河原の雰囲気は異様な光景の所だ。

賽の河原

小丸山(小袈裟)の笹原

避難小屋
賽の河原から少し歩くとアンテナが見えてくる。近づくと国土交通省の袈裟丸山雨量観測施設だ。日光の社山、黒檜山と同じものだ。今日の予定ではここから二子山に向うが、気分は目の前にある袈裟丸山の尾根を捉えている。俗に言う“据え膳食わずば男、、、”のである。予定をあっさり計画変更して袈裟丸山にする。登山道に戻って小丸山を目指す一旦下って鞍部にそこから少し上がって次の賽の河原に着く。いよいよ小丸山へ小沢の様な石の道を歩き途中からミヤコザサの中に道が変わり高度を上げて行く。笹原の中で道は分岐になっている、地図の道は山頂を通っている下っている道は怪しいので上を目指す。小丸山頂からは袈裟丸山連峰、皇海山、鋸11峰、庚申山の展望台だ。少し木々が目障りだが。笹原を駆け下ると鞍部にはかまぼこ形の避難小屋、トイレがある。ここの鞍部は笹もない草もないがらんとした空間である。ここで小休止をする。「なな」にウインナーをあげる、ピーナツチョコを分けて食べる。


【前袈裟丸山 1878.2m】 〜 6:32 〜

後袈裟から見た・前袈裟丸山

前袈裟丸山頂
避難小屋からは笹道になる1685峰に一旦上がり鞍部に下りると影に雪が残っている。ここからいよいよ前袈裟の連峰の尾根に直登する。途中トラロープの結び目が見えているが雪に埋まっている。残雪のある登山道を登り切り尾根上に出ると群馬県の北の展望が開ける。遠く長野の山々も白く輝いている。すぐそこに武尊山(ほたか)も山頂に雪雲をまとって見える。尾根を高みに向かって歩くとすぐに三角点のある前袈裟丸山のピークに到着する。折場登山口から見た袈裟丸山は前袈裟の南のピークなのだ。小丸山からの尾根筋は前袈裟の下に繋がっている。ここの三角点は一等であるこれで栃木の山にある一等三角点はすべて拝む事が出来た。(平地にある喜連川町の早乙女・弥五郎坂は未) ここからの眺望は霞が無ければ関東平野がすべて見られるベストポジションに思える。
ここで先行の埼玉の幸手の方に追いつく、お一人での袈裟丸山歩きとの事です。その方はここで引き返すとのことでした。山部と「なな」は奥まで行くので一服してから北の雪斜面を下降する。後袈裟との鞍部(コル)に下りる、鞍部を八反張(はったんばり)と言い古い爆裂火口壁で崩れやすい地質です。前袈裟山頂にも危険通行止めの表示もあります。山部と「なな」は問題なく通過する。つぎのピークの後袈裟丸山の斜面を上がって行きました。


【後袈裟丸山 1908m】 〜 10:10 〜
 斜面を登って行くと立派な案内板と去年立てられた道標(大田高校設置)が見えてきます。後袈裟丸山のピークは大きな木は無くぐるりと眺望が楽しめます。この辺りからは笹と石楠花が見られるようになります。案内板には郡界尾根登山口からここに最短で来られるとあります。郡界尾根コースは石楠花とミツバツツジ、アカヤシオのトンネルのようです。カメラで何枚か写して次の中袈裟丸山へ向かう。


【中袈裟丸山 1903m】 〜 10:30-40 〜

中袈裟山頂にて
後袈裟丸山までは多くのハイカーが袈裟丸山登山にやってくるようだ。しかし後袈裟から中袈裟、奥袈裟は往復3時間の表示で歩く人は少ないようだ。樹林の中を尾根に沿って中、奥袈裟を目指す踏跡は明瞭で間違う所はない。袈裟丸山の各ピーク間30分で疲れず飽きさせない。東側は垂直な壁がそそり立っている尾根を回りこむたびに振り返ると急峻な山を感じさせる。
やや水平移動して登り切ると中袈裟丸山の山頂に立つ、山頂には山名板がある小さなピークです。展望もよく県境尾根から小法師岳から巣神山へ続く笹の小法師尾根が見えてきます。餅ヶ瀬川流域の自然が手に取るようで深山を感じました。

群馬県の山々は雪雲で上越の山は見えない武尊山も雲に隠れてきた。風は冷たい体感温度はとても低くなっている。尾根の群馬側はピークを除いてこの辺は樹林で見通しはない。ここまでのコースは明瞭でどこにでもある歩きだった。中袈裟のピークからいよいよ奥袈裟に向かう。ピークからさらに奥に歩を進める。

中袈裟丸山 ・ 山名板

袈裟丸山連峰 (粕尾峠から 4/29)


【奥袈裟丸山 1957.9m】 〜 11:40-12:45 〜
中袈裟丸山からはあまり歩かれる人は少ないようで華やいだ感じはない。静けさの中の尾根歩きで時々尾根を外すもすぐに復帰する踏み跡が続く。途中のコルでは大岩と大岩との間から男体山が見られ時折風花の舞う絵のような所だ。ここまで前袈裟で会った幸手の方以外はない、静かな独り占めの袈裟丸山だ。ただ時々ある残雪に靴跡がある、先発の方のものだ。踏跡は雪で時々隠されているがルートを確実に探し当てて奥にと続いている。

暗い樹林から石楠花を分けて奥袈裟下のコルにまず下りると笹の道となる。笹は何日か前までは雪に埋まっていたのだろう、笹が倒れて踏み跡が解りづらいしかし靴跡はここもしっかりとつかんでいる。奥袈裟の頂上に近づくにつれて樹林の中は雪が一面に残っている。もちろんアイゼンなど必要ない雪の斜面は頂上まで雪が続いて下草は雪の下となっていた。奥袈裟丸山の頂上は南北に長く樹林で見通しはない。かろうじて小法師岳、巣神山、夕日岳方向見える。皇海山、鋸山、11峰は樹林と薮で写真は無理のようだ。

ここまで来るとすぐそこに小法師がある、今日の予定だった小法師岳へは山頂のプレートに書いてあり下りを考えると2時間で行けそうである、巣神山から国道へ出ると4時を回りそうである。そこから車を取りに戻るとタクシーでもきついかな。もう少し早く出発すればなんて考えながら持ってきた大福を食べる。

頂上には誰もいない静けさだけが待っていた先行の人の姿はない。早でして六林班峠、庚申山に向かったのであろうか。「なな」と今日はここから戻って二子山によって帰ろうと相談していた。樹林の中で人影が動いた、先行の方だった。『こんにちは』、『こんにちは』と声を交えると山部さんですよねと手袋を脱いで差し出した。握手をして談笑した。[山部薮人・なな]も知られるようになったものだ。内心苦笑した。

宇都宮の斉藤さんでよくページに訪問いただいているとの事、合わせてYoshiさん、烏ヶ森の住人さんのページを参考にされているとの事でした。この後二子山から登山口まで一緒に歩きました。

奥袈裟丸山

小法師岳・巣神山方向



【下山・中袈裟・後袈裟・前袈裟丸山】 〜 (
中・未計測)〜13:18〜13:53 〜
奥袈裟からの戻りは斉藤さんと一緒で楽しく歩けました。来るとき気になったビニル紐のマークを外しながら各ピークでもう一度振り返りながら歩きました。途中雪雲の上空通過で風花から雪に変わり冷たい風が通り過ぎて行きました。後袈裟で郡界尾根ルートから上がって来た二人連れと挨拶をして、前袈裟まで一気に歩きました。ここからは避難小屋、小丸山は巻道を通ってロボット雨量施設のアンテナ山まで歩きました。  この後歩きはNO.253 二子山をご覧ください。

中袈裟中腹から奥袈裟(雪が飛んでいる)

皇海山・鋸11峰、小法師岳


【足尾の山の成り立ち】
地質とか難しいことはわからないが、袈裟丸山は火山の爆裂火口の縁と何かで見た。 どうりで焼け焦げた岩が見られたのかと思った。 賽の河原の岩石は火山地帯のものだ。現在は笹に覆われて一部しか見えないが各所に火山の痕跡があるのだろう。 「寝釈迦」や「双輪塔」近くには柱状節理が残ったものだろうか、風化したものだろうか。 以前庚申山への途中にある[天狗の投げ石]を見てなんで同じような形の石があるのか不思議に思った。 これも柱状節理が折れて出来たものだろうか。近くに赤城山、白根山、男体山、太郎山など沢山の火山があった。 袈裟丸山の火口は栃木県側だろうか、火口が長い割れ目状だったのだろうか。 興味は尽きない。 足尾の山々の成立を調べてみよう。


* 袈裟丸山を丹念に研究された増田宏さんの「袈裟丸山」のページはこちらです。

 近くの山の関連ページ 二子山  NO.253  小法師岳 NO.255
  ページトップへ   登頂リスト 2004年へ  表紙ページへ    05.02.16一部追加記入