06.11.15 幻の岩峰の標高変更 、文末に記載 |
魔境の凹地の先に見たものは 急峻の岩幻の峰 |
【山行日】 2005年 3月 6日(日) |
【天 候 】 快晴 気温:朝−16゚C/日中−5゚C |
【山 域】 奥日光(光徳) |
【所在地】 栃木県日光市 |
【地 図】 国土地理院 1/2.5万図 男体山
地図(南三岳) 地図(光徳) |
【 メンバー】 第四次南三岳探検隊
常吉さん、ふーせんさん、のみねさん
上野さん、FM大野さん、山部の6名 |
【関連ページ】
初回 の 北三岳三角点峰 (02.05.26)
前回 の 北三岳 (05.01.30)
次回 の 南三岳 (05.03.21)
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【コースタイム】
光徳駐車場−( 15分)−光徳沼−( 3時間)−幻の岩峰1714m−( 50分)−昼食のピーク−( 30分)−1698m峰−( 35分)−1640m凹地付近−( 5分)−1752m峰下の峠道−( 20分)−光徳の山王峠道出合−( 5分)−駐車地帰着
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幻の岩峰の頭 |
 狭い「幻の岩峰」にて |
【三岳とは、三岳探検隊とは、】 |
三岳概要
奥日光に三岳という名の山があることは知らない方の方が多いと思う。 戦場ヶ原、湯元、光徳牧場、ハイキングで人気の切込湖
刈込湖に囲まれた地域が三岳である。 山域は北と南に分かれる北三岳エリアに三角点が置かれている。 国土地理院の1/2.5万図には三岳の名の記載があるのは北三岳である。 南には幻の岩峰がある。 家ほどもある大岩が積み重なった所や小ピークが点在し、コメツガ、ダケカンバの密な樹林に覆われて下草はミヤコザサが密生している。 凹地、窪地、岩の積みかさなっているので深い穴がそこかしこにある。 樹林とそこかしこにある奇岩、大岩、奇峰、小ピークが見通しを遮っている。 地図には現れない地形に余程の自信家でないと足を踏み入れられな所だ。 そしていったんその魔境に入れば、ルートファインディングの難しさ現在位置を正確に解らない。 外見はとぼけた山容に見えるが安易に魔境に入れない山なのかも知れない。
* 「南三岳(みなみみつだけ)」の呼称はわれわれが勝手に付けたものと思っていましたが、聞いたところでは地質学だったか火山学だったか、専門分野でも「南三岳」「北三岳」と呼んでいるそうです。
三岳全体は日光では奥白根に次いで新しい火山で、ただ「北」と「南」では生成の時期がずれているとも聞きました。
(情報は : ナスノガルータさん、nifty山のフォーラムの談話より)
南三岳
南と北を分けるのは元金精道路料金所から光徳牧場への古道で分けられています。 湯元からの道標も今は朽ちて辛うじて残骸が残っています。 古道を進むと中国の桂林を思わせる直立するピークが南側に見えます。 それが南の1752m峰で南の最高峰です。 南三岳は湯滝より南はなだらかに戦場ヶ原まで下っています。 東、北側は急傾斜になっています。 南三岳も北三岳も凹地、窪地が点在しています。 初めて南の中に入って見た幻の岩峰は1/2.5万図に標高は無いだけに神秘性もあり南のシンボルかもしれない。 鹿などの動物もたくさん住んでいる手付かずの自然が残っています。 深い樹林の森と20m以上もある大岩の重なる神秘的な山域です。
北三岳
戦場ヶ原から湯元に向って北を見ると正面に南三岳の上に北三岳の三つのピークが目に留まる。 そのピークが三岳の名になったのだろうか。 三角点
水準点の置かれている四つのピーク(1944.4m峰 1901m峰 1883m峰 1882m峰)と同等のピークが二つ、それに続く小ピークが無数にあります。 地図で見る限り北西の小峠付近からゆっくりと南東に向け上がっています。 実際には5,6mの岩が重なり10m程の岩もあります。 南、東側は急傾斜の樹林が続きます。 凸凹の窪地(があり、初夏も深い樹林の中には氷化した雪が残っています。
三岳探検隊
奥日光の三岳の魅力にとりつかれ山人達である。 山の情報交換の場 「niftyのFYAMA北関東」で集った人々とそれに続く方々です。 のみねさんの地図には歩いたルートの赤線が何本も書き込まれてありました。 好きなんですねー神秘の山、魔界の山、魔境の山を三岳探検隊は。 探検隊の隊員は地図読みの達人と薮山好きの人達である。 地図読みの上野さん、ナスノガルータさんの双璧にのみねさん、ふーせんさんの総合力、人望の常吉さん、FM大野さん、山部はお会いした事は無いが酒呑童子さん(今は北海道にお住い)で今回で第4次三岳探検隊になります。
三岳へはページ末のご注意もご覧ください。 |
【集合・光徳発】 |
第4次三岳探検隊々員の車が続々と集合場所の光徳に集って来る。 先週末からの雪で関東地方は平地でも積雪、ここ奥日光は連日の降雪で雪はたっぷりである。 今日は北関東は天気は良さそうである。 栃木の県南の今朝の温度は−4度で戦場ヶ原では車の外気温度が−16度を表示していた。 陽射が出てくれば今日は暑くなりそうである。 今回も冬ウエアーは着ず雨具上下で上は半袖のみで暑さ対策とした。(この日は大成功) 身支度が終わりいざ出発である。 駐車場から光徳牧場の中を沼に向う。 大人の雪遊びに6人は笑顔で雪原を歩く、いつもながら上野さんの軽々と走る姿は青年のようだ。(全員青年である、しかしそのまま何年か過ぎてしまっただけである。) クロカンのコースにもなっている光徳沼周辺は栃木景観百選にも選ばれた所で雪をまとった沼は絵になる。 沼尻でスノーシューを装着する。 ここで逆川の橋を渡っていよいよ南三岳へ足を踏み入れます。 今回は南三岳を南から北へ縦断します。 途中に地図の標高表示のない「幻の山、岩峰」があると言うでこれが本日のメインである。 次に1698m、1752m峰へと魔境の地を歩く計画である。 |

光徳牧場 後は北三岳三角点峰・左 |

栃木の景観百選「光徳沼とその周辺」 |
【幻の山・岩峰へ魔境へ踏込】 |
南三岳の縦断のスタートが切られた。 トップはふーせんさん、軽いフットワークで急な斜面に道を付ける。 ここの積雪量は1m位であろうか、岩を交わしながら急斜面を上がる高度を上げる。 逆川の沿った道と分かれて斜面を上がった所で鹿の足跡があッたが北に向っていないので使えない。 方向は初めは西に続いて北西に進む、しかし直線には歩けない大岩、小ピークを交わすそしてピークを乗り越す。 果たして尾根をつかんでいるのであろうか。 地図の等高線が緩んでもいっこうに状況は変わらない。 本来なら緩やかな広々とした尾根の筈だが同じように見える。 こんな時頼りになるのは上野さんで地図読みの達人である。 のみねさん、常吉さんは幻の岩峰に一度立っているので少しは安心である。 南の南部はミズナラとコメツガの樹林で鬱蒼としている。 当然見通しはなく周囲の山々は見えない。 地図と地形を照合しながら歩くのである。 1/2.5万図に現れないピーク、凹地の連続であり、周囲だけでなく大まかに山全体のうねりを感じる必要がある。 そんな感じで全員の英知を出して魔境の道「幻の山、岩峰」に向って進んでいると確信するしかない。 等高線は10m間隔であるから19.9mの高低が現れないので現実との相違がある。 中々一筋縄ではいかない所である。
何処まで続くのだろうか、雪がなければ苔むした「もののけ姫」の魔界の世界でなかろうか。 岩陰から光る目玉がこちらを見ているような気がする。 360度岩に囲まれた凹地コメツガの間を潜り抜けここまで来た、ここからの脱出はコメツガにつかまってよじ上るこの繰り返しだ。 歩いている所は岩の上と思っているが樹林の枝先に着いた雪の上だったりする。 当然先頭者は注意をしているが、ドサーとはまってしまう、しかしこれも織り込み済みで誰か落ちないかを楽しんでいる。 今回も何人か魔界のワナにかかった。 そろそろ「幻の山、岩峰」のはずである、どっしりとしてピークの斜面を上がる。 ここだろうか、のみねさんから違うこんな所でないと言う。 違うのかこの辺の筈だがそれでは東に少し移動だ。 次のピークに上がるすると突然樹林越しに凹地の上に「幻の山、岩峰」が見える。 高度差は凹地からすると6〜70m位で四方は垂直である。 そそり立つの表現の方が良いのだろう、見るまでは幻の山であったが感じは魔界の棲む城といった感じである。 カメラのシャッターを何枚も切ったが濃い樹林に阻まれて良い物が取れなかったのが残念である。 魔界の山だからだろうか今居る所の前に凹地がある、今居る小ピークも10mを越える切り立った岩の上に居る。 のみねさんのアドバイスによると東南側から上がったとの事であるので迂回して東方に取り付き点に向う。 アップダウンを繰り返し取り付きに着く。 |

ルートを確認して出発・光徳沼 |

露岩と急な斜面を上がる |
見上げると雪の切り立った斜面以外は垂直な岩場で上がれそうもない。 ふーせんさん、のみねさんを先頭に手掛りの少ない雪の急斜面をバランスを取りながら頂上直下の岩のテラスにメンバーは集合する。 スノーシュー、ザックをここにデポする。 上のピークには岩をよじ登らなければならない。 ここからのルートを作りに、のみねさんが岩に付いた氷雪を落としてルートを作る枝を手掛りに懸垂ながら上部へ上がる。 上がった所は頂上下の枝先の雪の上のようだ。 眺望があり東側の山並みが見られる。 ここからは上野さんがルートを開く、常吉さんが押し上げて頂上に立つ続いて全員がピークあがる。 頂上はコメツガの上に積もった雪の上で一畳程のスペースである。 雪庇の縁が不明で動きは制限される。 ピークの北端に2本大木がある下から見ても解る、あれだけ太い木が垂直の岩山に生きている。 気の遠くなるような年月生き続けて来たものだ、自然環境の厳しい奥日光にあって凄いに尽きる。 ピークからは金精山、五色山、中禅寺湖までの西側も見える。 360度の展望がコメツガの森の樹林の上に開けている。 今日はこれで充分と思った日光にこのような所があるとは知らなかった、まだまだ知らない所があるのにだ。 このピークは光徳、湯元、戦場ヶ原からは見えない。 周囲の山々からは見えるのだろうが、樹林にまぎれて確認した事はない。 |

先頭はこんなリスクが、待っている |
腕まくりやる気満々 |
【小ピークの宴】 |
「魔境の山岩峰」に立てて爽快な気分で凹地を迂回して1698m峰へ向う。 何度か先頭者が穴を踏み抜く落とし穴に転落、ピーク乗り越えるとまた次のピークがある。 明るい雪上に上がるそこは陽だまりの尾根の雪原ここを宴の場所に決定する。 各人の持ち寄った、ワイン、ビール、バーボン、ベルモット酒とつまみ類よくも皆さん何処に入れて来たのか持ち寄ったもの物沢山です。 のみねさん、FM大野さんがバーナーに火を付けてホットワインを作った、ふーせんさんの正統ホットワインの作り方(虫?のような香木?を入れた)の指導の下のホットは暖かく皆でいただいた。 山部は何杯もいただきました、ホロ酔い加減、陽も差して体の内外ともぽかぽかである。 至福の時はあっという間に過ぎてしまうものである。 最後にバーボンをいただいた、少し雪を入れて飲んだらこれがいける。 ここから魔境のピークは黒々とし手前の木々に全容ははっきりと見せてくれないが凛としている。 カメラで上手く撮れないのが残念である、ここに来た者だけが目にする事が出来るものだろう。 |

宴に持ち寄ったもの (写真・常吉さん) |

小ピークは快適 (写真・ふーせんさん) |
【1698m峰〜1752m峰下〜光徳へ】 |
宴のホロ酔いで1698m峰へ向う、先頭はふーせんさん、のみねさんが大部分歩きFM大野さん、常吉さん、上野さん、山部はショートで楽しく歩けました程なく1698m峰ピークに到達する。 ピークはなだらかな所で樹林の中の眺望はない。 ここからのルートを相談する、とり合えず1752m下まで向う事として広い尾根でダケカンバの林を歩く。 明るい気分の良いダケカンバの林で1698m峰ピークのコメツガと違って清々しい。 これから南三岳最高峰へアタックか時間との相談である。 1752mへは今日は時間が足りないという事になり次回にする。 「幻の岩峰」で今日は充分である。 ここから光徳へ戻る事として峠道へ向う。 明るい樹林から一旦凹地へ下って小尾根を乗り越して雪斜面を転げるように湯元、光徳の道へ出る。 峠からの沢筋には今日歩いたであろう踏み跡が付いていた。 ここから光徳へ下る、鹿の足跡は山に向っていた。 光徳牧場手前の学習院寮先で時間調整の陽だまり休憩する。 ダケカンバの明るい林は落日に映え輝いていた。 陽が南三岳の山影に沈みかけていた。 至福の一日がゆっくりと過ぎていく、今日は終日快晴の山日和の一日だった。 帰りは中禅寺湖畔の湯でゆっくりと疲れを流して家路に着いた。
* 後日、峠先から光徳まで雪原に付いていた足跡は、たぬきせんべいさんが北三岳の中央峰へのもののだったようです。 この山域が好きな方が他にもいるのですね。 どんな方なんでしょうね三岳研究会が出来そうですね。 深いですね。
(情報は : 常吉さんのページ と nifty山のフォーラムの談話より) |
【三岳のスナップ】 |

1698m峰ピークにて |

ここは何処なんでしょう(写真・常吉さん) |
 変化に富んだピークにて |
 軽快なフットワーク |

ダケカンバの尾根にて |

湖畔の湯(日光;レークサイドホテル) |
【忘備禄】
【コースタイム】
光徳駐車場( 8:40)−光徳沼( 9:07)−幻の岩峰1714m( 12:10-20)−昼食( 13:10-14:13)−1698m峰( 14:38-46)
−1640m凹地付近( 15:18)−1752m峰下の峠道( 15:35)−学習院寮先・休憩( 15:55)−駐車地・帰着( 16:38) |
【標高変更】 06.11.15
幻の岩峰の標高の訂正、これまでページ上では1699mと記載していました。 現地では1700m強の標高をGPSでは表示しましたが、地形図では1650mの等高線の記載でした。 大正四年の地形図を見る機会がありそれには1714mの標高記載がありました。 順次幻の岩峰の標高を1714mに変更します。
*大正四年の地形図はstarionさんからの情報です。 日光稜線紀行(starion)さんのページはこちらです。* |
【ご注意】 山歩きは、心身も心も共に休まる楽しいものです。 しかし山歩きには思いもせぬ危険も潜んでいるものです。 簡単に考えて下ったら断崖絶壁だったり思っていない所に出たりで、注意しても予期せぬ事に直面してしまう事もあるものです。 その時こそ冷静に安全な行動が求められます。 特に道の無い山は地図を読む、地形を読む技術をは必要です。 難しい所は時には経験者の同行も必要て゜しょう。 山歩きを周到な計画と安全な行動で楽しいものにしましょう。
三岳には登山道、踏跡もありません薮と岩と窪地の山です。 山域に一歩踏み込むと凹凸の窪地、大小の岩、樹林で見通しも無く大変迷い易い危険な山です。 地形も地図に現れない複雑な所です。 四季の難易度は全く違います。 何の準備も無く安易に近づかない事が肝要な所それが三岳です。
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